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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「宮本から君へ」(2019)を見た。池松壮亮と蒼井優が超絶演技でぶつかり合う。

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宮本から君へ」(2019)を見た。MOVIXさいたま。

 「池松壮亮蒼井優の熱量がハンパない!」という反響が大きかったので見ることにした。すこし気が早いが、日本アカデミー賞のノミネーションとも言うべき優秀主演男優賞と優秀主演女優賞は確実で、”最優秀”にもっとも近いのではないか。

 こんな蒼井優の目つきや迫力は見たことがない。 

シェイクスピアの「ハムレット」の中のセリフの一つに「弱き者、汝の名は女なり」とあったが、この映画では、男のほうと言えそうだ。バカが付くほど直情的で、救いようのない破天荒の主人公や、体育会系のコミュニケーション力が欠乏した男が登場するのだ。

原作はバブル崩壊の時期(1990年35号から1994年34号)まで雑誌「モーニング」に連載中から、主人公・宮本浩の超無器用ながらも、実直で周囲を巻き込む破天荒さが賛否を呼んだ問題作だ。「軽々しく受けられる役ではない」と語った池松壮亮が、劇中前歯を3本をへし折られるシーンがあるので、撮影前には3本抜く覚悟だったとか。流石にそれは蒼井優や周りから止められたという。

新卒営業マンの主人公が、恋や仕事に不器用ながらも成長し、自分なりの生きざまを見つけていく物語。・・・とひとことで言ってしまうと簡単だが、その凄まじさは「あゝ、荒野」(2017)をも彷彿とさせる。ラブシーン(濡れ場)や卑劣なレイプシーンなどが強烈で、映画は15+指定。その描写のすさまじさから、余談だが、映画館では、見るに堪えないからか映画を途中で諦めて出ていったカップルがいた。

池松壮亮蒼井優は「鉄人28号」(2005)から最近の「斬、」まで数本で共演しているので、互いに全幅の信頼があるようだ。そのぶつかり合いは、超が付くド迫力だ。

・・・

文具メーカー「マルキタ」で働く営業マン・宮本浩(池松壮亮)は、笑顔がうまくつくれず、また気の利いたお世辞も言えない人物だが、一方で人一倍正義感が強い超不器用な人間。会社の先輩・神保(松山ケンイチ)の仕事仲間である、自立した女・中野靖子(蒼井優)と恋に落ちる。

宮本は、靖子の自宅での食事に呼ばれるが、そこに靖子の元彼・裕二(井浦新)が現れる。未練がましく付きまとう裕二を拒むため、宮本と寝たことを伝える靖子。怒りで靖子に手を出した裕二に対して、宮本は「この女は俺が守る」と言い放つ。この事件をきっかけに、心から結ばれた宮本と靖子に、ひとときの幸福の時間が訪れるのだが…。

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この映画の映画化は、7年前から企画されていたという。紆余曲折があった後、撮影は昨年(2018年7月頃)行われたが、公開直前になって、出演者の一人、ピエール瀧の薬物問題が起こり、オクラ入りかと思われたが、制作サイドが撮り直しをせずに、公開に踏み切ったといういきさつもある。

映画では、主人公・宮本が愚かな言動が多いにもかかわらず、魂を振り絞るかのような池松壮亮の名演によって、最初は突き放すように見ていた観客も、もっとやれ、と共感もする気にもなるのだ。

レイプという許しがたく理不尽極まりない行為をおこなった人間に対して、どのような報いがあるのか、と思ったら、納得の結末だった(それは言えない・・・)。

 

  ”凄まじい女優根性、汝の名は蒼井優”(笑)。

こんな役を引き受けらるのは、蒼井優二階堂ふみ沢尻エリカくらいか。清純派女優は翔んで埼玉に逃げるか。

池松壮亮も「あゝ、荒野」の菅田将暉と同じくらい全身全霊で役に取り組んでいて、すごいのは言うまでもない。

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主な出演:

池松壮亮

蒼井優

井浦新

一ノ瀬ワタル

柄本時生

松山ケンイチ

ピエール瀧

佐藤二朗

古舘寛治

 

<スタッフ>

原作:新井英樹「宮本から君へ」(百万年書房/太田出版)

監督:真利子哲也 

脚本:真利子哲也、港岳彦

主題歌:宮本浩次「Do you remember?」(ユニバーサルシグマ)

配給:スターサンズ/KADOKAWA

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キネマ旬報」のベスト・テンの上位(1位も?)は間違いなさそうだ。

ただ内容が激しいので、観る人を選ぶのも事実。