映画「ロミオとジュリエット」(1968)のフランコ・ゼフィレッリ監督がローマで亡くなった。96歳だった。AP通信などが伝えた。
ゼフィレッリ監督といえば「ロミオとジュリエット」であり、オリビア・ハッセー。10代で劇場で見た当時は、”運命の皮肉”に涙したが、監督の名前ゼフィレッリを覚えるのに舌を噛みそうだったという記憶がある。
ルキノ・ヴィスコンティのスタッフとして演劇界入りし、主に美術・装置を担当。ヴィスコンティが映画に進出すると、その助監督も経験。間もなく自らも映画監督を手掛けるようになった。
古典劇をベースにした清爽な青春映画で知られる。
1968年の「ロミオとジュリエット」では原作に忠実でオリビア・ハッセー、レナード・ホワイティングらティーンエイジの役者を主役に起用して世間を驚かせ、シェイクスピアの映画化としては最高のヒットを記録させた。オリビア・ハッセーは当時16歳で、その清楚で可憐な美しさで大人気になった。
ハッセーは「ロミオとジュリエット」以外では「暗闇にベルが鳴る」(1974)などがある。作品的にはあまり恵まれなかったが「ロミオとジュリエット」の影響は絶大で、1960年代後半から1970年代初めにかけて日本の映画雑誌の「スクリーン」「ロ ードショー」などの表紙を何度も飾った。
ゼフィレッリ監督作品では「ブラザー・サン シスター・ムーン」(英題:Brother Sun Sister Moon、1972)も印象に残る。中世の修道士、聖フランチェスコの物語を題材に、信仰に目覚めた若い日々に焦点を絞ることで青春映画の快作に仕立て上げた。音楽も素晴らしかった。
そのほかではジョン・ヴォイト、フェイ・ダナウエイ主演の「チャンプ」(1979)ブルック・シールズが人気となった「エンドレスラブ」(1981)「オテロ」(1985)「ハムレット」(1990)「ジェイン・エア」(1996)「ムッソリーニとお茶を」(1998)「永遠のマリア・カラス」(2002、遺作)などを監督。オペラの演出でも知られた。
ニュースで知ったときは、50年前の名作「ロミオとジュリエット」の監督が存命だったことに驚いた。人生100年時代というが、96歳は大往生だ。
ご冥福を祈ります。