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<span itemprop="headline">映画「危険なメソッド」(2011)</span>



危険なメソッド」(原題:A Dangerous Method2011)を見た。
イースタン・プロミス」のデヴィッド・クローネンバーグ監督が、二人の偉大な心理学者ユングフロイトの友情と決別の軌跡を、知られざる史実をベースに実在したある女性患者との関係に焦点を当ててミステリアスかつ官能的に描き出すヒューマン・ドラマ。ジャンルは、歴史・文芸映画か。
 
1904年、チューリッヒ。若き精神科医ユングは、精神分析学の大家フロイトが提唱する“談話療法”を新たな患者ザビーナに実践し、彼女の心の奥底に眠る性的トラウマを突き止めて治療に成功する。

しかし二人はいつしか医者と患者の一線を越え、愛人関係に。
そんな中、一度は師弟のような友情を築いたフロイトとの間にも溝が生じ始めるユングだったが…。フロイトを演じたヴィゴ・モーテンセンゴールデン・グローブ賞助演男優賞にノミネートされた。


  


心の奥底に眠る感情をあぶり出す“言語連想テスト"やユングフロイトが意見交換する“夢分析"シーンなど知的好奇心を刺激するエピソード数多く描かれている。
 
1993年のノンフィクション本Most Dangerous Methodの舞台版であるThe Talking Cure(2002年)原作、その脚本家であるクリストファー・ハンプトン自らが脚色した。
 
クローネンバーグとヴィゴ・モーテンセンコラヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミスに続いて3度目。
 
ストーリー
1904年。ロシア系ユダヤ人女性ザビーナ・シュピールラインキーラ・ナイトレイが、チューリッヒにある精神病院ブルクヘルツリ(チューリッヒ大学付属病院)へ重度のヒステリー患者として運び込まれた。
 
29歳のカール・グスタフユングマイケル・ファスベンダーはこの病院で精神科医として働いていた。精神分析学の大家フロイトが提唱する“談話療法”に刺激を受けた彼は、受け持ち患者であるザビーナにその斬新な治療法を実践する。
 
間もなくユングは、ザビーナの幼少期の記憶を辿り、彼女が抱える性的トラウマの原因を突き止める。彼女の発病のきっかけは、幼少期に受けた父親からの折檻だった。その屈辱とマゾヒスティックな快感が彼女の中でせめぎ合い、彼女自身が自分を汚らわしい存在と位置付けていた。
 
更に、彼女の中には「ドイツ語を話す天使の声」が生まれ、本来そのような罰を受ける謂れはないのだと無意識に自己を守り始める。こうしてザビーナの精神は引き裂かれ、統合失調症と呼ばれるようになったのだ。
 
一方、ザビーナは非常に賢い女性だった。家は裕福で、厳格な父親が高い教育を受けさせていた。ザビーナは、ボーイフレンドを作る暇もなく勉学に励んできた。そこで、ユングと病院は彼女を単なる患者として扱うのを止め、医学の道を目指す彼女にユングの助手という役割を与え
 
助手としてのザビーナは、実に優秀だった。ユングが実験の為に自身の妻エマを装置に繋ぎ、次々に言葉を連想させていく。ザビーナの役目は機械が測定した肉体反応の記録だが、同時に彼女はエマの深層心理を鋭く分析していた。
 
妊婦のエマの妊娠や、出産によって失うだろう夫からの関心に対する不安を指摘するザビーナ。ユングは、彼女の洞察力や適応力に目を見張るものがった


 
しかし、やがて医師と患者の一線を越えてしまった2人は、秘密の情事を重ねるようになり、ザビーナをめぐるユングの葛藤はフロイトとの友情にも亀裂を生じさせてゆく。ユング貞淑な妻よりも遥かに魅惑的なザビーナとの“危険なメソッド”に囚われ、欲望と罪悪感の狭間で激しく揺れ動くのだった
 


・・・
精神医学界の権威、ユングフロイトに大きな影響を与えた一人の女性の物語で、冒頭で車の中で暴れている女性がキーラ・ナイトレイとは気がつかないほどだった。



実は
統合失調症患者であり、顎を突き出し、まるでチンパンジーのように騒ぎたて、キーラ・ナイトレイがヒロインであるザビーナを怪演。ザビーナの精神的葛藤を体当たりで演じるキーラ・ナイトレイこの身体表現が圧巻だった
 
・・・
心理学など全く詳しくないが、心理学三大巨匠といわれるフロイトユングアドラーの3人名前だけは聞いたことがあるといった程度。
 
同じ時代を生きた3人は、力動精神医学を研究する精神科医であったということ学説に共通点も見られたが、フロイトの弟子であったユングも、共同研究者のアドラーも、フロイトが提唱した「無意識」の概念を継承しつつ、異なる考えを持って研究を進めていったという
 
3人の学説の違いは以下のとおり
フロイトの無意識論意識は氷山の一角」
ユングのタイプ論自分の性質を捉え、自己実現を試みる」
アドラーの心理学「人は行動の理由を過去に求める」
 
わかったようなわからないような(笑)。
フロイトは、人間の行動にはすべて心理的な裏付けがあり、それは「無意識」だとした。我々の発言・行動の多くは、意識的でも、無意識の影響が大きいというもの。このフロイトの無意識の学説は、現在のカウンセリング技法に広く浸透しているという

この他にもフロイトは画期的な考えをいくつも提示しているといい、人間の無意識が顕著に現れる「夢」に着目。無意識は、自ら自覚できない性質のもの。フロイトは夢の分析で、無意識を探ることした。目が覚めた時に、リアルに感情が動くような体験をしたことがあるのではないかというものだ。
 
確かに無意識で見た夢が、何かしら現実と結びついているのではないかと思われることがある。なぜ、この夢を見たのかと考えることはある。すぐに夢の中身は忘れてしまうが…。

                                                  予告編



主な登場人物(俳優):

ザビーナ・シュピールライン(キーラ・ナイトレイ
ロシア系ユダヤ人の女性。厳しい父親との関係(幼い頃折檻を受けていた)から統合失調症となり、入院する。良家の出身で、大学まで進学している才女。ユングとの出会いを通じ、精神病患者を救う分析医になりたいと強く願うようになる。
スイスのブルクヘルツリ精神病院に勤める精神科医フロイトの学説に傾倒している。真面目で向上心が強く、研究熱心。プライベートでは、貞淑で財産もある妻との間に子を設けるが、研究対象だったザビーナの危うい魅力に惹かれていく。
精神分析学の権威。たくさんの弟子を抱え、自説にプライドを持ち、新しい意見に耳を傾ける事が難しくなっている。若く精力的なユングを後継者に指名するが、次第に非科学的になっていくユングの考え方が受け入れられない。

エマ・ユングサラ・ガドン
ユングの妻。控え目で、夫の研究にも協力的な妻。妊娠で体形が崩れたり、第一子が女児だった事を気に病んだりするなど、神経質な面も。

やや理屈っぽく理解しづらいところもあるが、精神分析の分野で20世紀初頭の歴史上にいた有名な人物像の一端を知ることができたのは、見た価値がありそう。こうした人物がナチスの台頭でユダヤ人であったために、殺されたという厳しい現実も後で起こるという悲劇も待っていた。


☆☆☆



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