「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(原題:The Imitation
この映画は「実話に基づく」で始まる。
英国政府が50年間も隠し続けていたアラン・チューリングという実在した天才数学者の知られざる人物像が明らかにされる。邦題の「エニグマ」”と”「天才数学者」の秘密のために、50年間もその存在すら隠されていたのはなぜか。
第二次世界大戦時、ナチス・ドイツの旗が欧州の20にも及ぶ主要都市にはためいていたときに、英国政府は、極秘(トップシークレット)事項のプロジェクトを進めていた。それはドイツ軍が誇る難攻不落の「エニグマ」と呼ばれる暗号解読だった。
英国のチャーチル首相直轄の秘密のミッションの指揮を執るのは海軍のデニストン中佐(チャールズ・ダンス)だった。中佐は、6人の精鋭を解読チームとしてブレッチリー・パークに集めるが、その中の一人、アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)は、自信にあふれた態度で、個室で一人で仕事に没頭したいと訴える。
一方、MI6のスチュアート・ミンギス(マーク・ストロング)はチーム一丸となることを求めるが、チューリングにとって暗号解読は自分の能力を試すゲームに過ぎなかったのだ。リーダーのヒュー・アレグザンダー(マシュー・グード)のもと奇襲作戦やUボート情報の暗号文を分析するチームを尻目に、チューリングは一人でマシンを作り始める。
デニストン中佐から、製作費を却下されると、チューリングは、中佐の上司は誰かと問うと「チャーチルだ」という返事。チューリングのマシンに関するこだわりと自信は確固たるものがあり、なんとチャーチル首相に手紙で直訴し、首相から責任者に任命されることになる。
そして、責任者として、二人の同僚を「無能だ」とクビにしてしまうのだ。
子供の頃から孤立し、唯一の親友とも悲しい別れをしたチューリングには、他人との交流など不要だった。
1940年、解読は一向に進まず、メンバーの苛立ちはチューリングに向けられる。
そんな中、目的を伏せた試験でチューリングより早くクロスワードパズルを解いてチームに加わったジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)が、チューリングの心を少しずつ開いていく。クラークは、成功させるためには、仲間を大切にするよう助言。その助言に従って、仲間たちと接する態度も大きく変えた。
中佐から1カ月の猶予を引き出したチームは、遂にエニグマを解読する。
無線通信に常に登場する、ある言葉が鍵だった。
しかし、解読したことが敵にばれれば、エニグマの構造を変えられてしまう。
それはチューリングの人生、仲間との絆をも危険に晒し、さらにソ連スパイ疑惑にまで向けられる。そしてチューリングのある大きな秘密が重なり、彼の人生は思わぬ方向へ進んでいくのだった・・・(Movie Walkerほか)。
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最後のナレーションの第二次対戦当時、”チューリング・マシン”とよばれた機械は、現在においてはコンピューターと言い換えることができるという言葉はずしりと重く響いた。英国が、こうした業績を秘密裏にしなければ、米国がのちにコンピューターを中心としたIT産業を席巻したように、そのポジションは英国が握っていたかもしれない。
チューリング自身のある隠された秘密は、当時は犯罪とみなされていたことも描かれている。実在のチューリングは1954年6月8日、家政婦がチューリングが自宅で死んでいるのを発見した。検死の結果、死亡したのは前日で、青酸中毒による死とされた。41歳の死だった。その後、チューリングはその業績で再評価されたという。
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出演者では、デニストン中佐を演じるチャールズ・ダンスが貫禄たっぷり。キーラ・ナイトレイは、チューリングに想いを寄せるが、チューリングが自身の秘密を告白しても、「それが何か(So what?)」と気丈な女性を演じている。
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