「今夜、ロマンス劇場で」(2018)を東京・有楽町のよみうりホールの試写会で見た。実はこの試写会、同県人のブログ友の悪たれKさんが行けないのでと送ってくれたものだった。
会場は1階・2階席合わせて1,100席あるが、ざっと1,000席が埋まっていた。
試写会入場券1枚につき2人入れるが、fpdのように1人参加も見受けられたからだ。
観客1,000人のうち、20代の女性同士やカップルが70%、アラサー/元アラサ―以上の女子が20%、残り1割がおっさんということになるかと思う。若い女性たちは、綾瀬はるかや坂口健太郎が目当てのようだ。
今やドラマ、映画、CMにと飛ぶ鳥を落とす勢いの綾瀬はるかと、イケメンと言われる若手俳優・坂口健太郎が主演のラブコメということで、おっさん世代には、やや場違いな雰囲気もある。それでも臆することなく見るのが”真の?”映画ファン(笑)。
一応のストーリーとしては、映画監督を目指して撮影所で助監督として働く健司(坂口健太郎)と、スクリーンから飛び出してくる、ずっと彼を夢中にさせていたスクリーンの中のお姫さま・美雪(綾瀬はるか)との不思議な恋愛模様を描くファンタジー・ラブストーリー。
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この映画は、国内外の作品の「オマージュ」なのか「パクリ」なのかあいまいなツッコミどころが満載。ある説によると「この映画は、○○に似ていますね?」といわれたときに「やはり気が付きましたか?」というのが「オマージュ」。「いえいえ、違いますよ、○○の部分は・・・」と否定しようとするのが「パクリ」だという。
それはともかく、どちらにしても、あきらかに〇〇だろうと思われるようなシーンがある。勝手に列挙してみる。
●その1:「オズの魔法使」・・・「オズの~」の少女ドロシーを姫にすると、姫が森で出会う3人の風変わりな人物と、虹の風景。
●その2:「ニューシネマ・パラダイス」・・・劇場の支配人が熱心な映画ファンで映画監督を目指す健司に映像フイルムについて助言する。実際に健司がフイルムを映写機に設定して映写を始める、師弟関係のような絆ができる。
●その4:「ローマの休日」・・・映画の中でお姫様として登場し、立ち上がる気品ある姿などはオードリー・ヘプバーン。
●その6:「カイロの紫のバラ」・・・白黒のスクリーンから主人公がカラフルな現実の世界へ現れる。あこがれのスター女優が、熱心な観客の目の前に現れるという点では、設定は異なるがブリジット・バルドーの「ラムの大通り」もそうだったが。
ただ、映画好きの製作関係者が、様々な洋画を組み合わせて「オシャレでしょ!」と作っているような意図が感じられ、イタイと思える部分もある。
この映画は、病に伏している老いた健司(加藤剛)が、若き日を思い起こしてシナリオを書いているものだった。シナリオに基づいて、映像で登場する綾瀬はるかが、健司に対して「無礼者!」などの男言葉を乱暴に使っているが、どうも棒読みのように響いて、これもイタイ。会話に”演じている感”がありすぎる。
やや批判的に書いたが、良かったところは、映画俳優といっても、映画が埋もれてしまえば、すぐに忘れ去られてしまうということを映画館の支配人(柄本明)がいうところ。
美雪(綾瀬はるか)が出演していた映画も、フイルムが倉庫に埋もれていたものを健司が発見したことで、何度も繰り返してみているうちに、出演者の美雪にも、それがテレパシーで通じたのか、その発見してもらったことがきっかけで、モノクロの映像の世界からカラフルな現実に飛び出すことができたというファンタジーだ。美雪が「発見してくれてありがとう」というシーンもあった。
場面の見どころもある。
映画のオープニングでは、東映の京都太秦撮影所のような映画セットが、大型クレーンで上から移動しながら俯瞰で撮影されていくシーンは見ごたえがあった。ほとんどワンテイク(ワンシーン)。松竹の「蒲田行進曲」を彷彿とさせるような雰囲気もあった。一番の拾いもの、役得は北村一輝か。こういうにやけたニヒルさははまり役だ。
この日は、昼から池袋で2本映画を見て、有楽町へ。
少し早めの夕食は、「てんや」の天丼(並み)を。
腹ごしらえをして、いざ試写会へ・・・だった。
会場は6時開場、6:30上映だったが、5:30に着いたらすでに階段に数十人並んでいた。