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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「わが谷は緑なりき」(1941、日本公開1950)


 
わが谷は緑なりき(原題: How Green Was My Valley1941、日本公開1950を見た。”いまさら見たのか”シリーズ。ジョン・フォード監督、ダリル・F・ザナック製作、アルフレッド・ニューマン音楽という超一流スタッフによる名作。こういう白黒映画を見ると、映画は色がついていればいいというものではないことがわかる。
 
作品は第14回アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、助演男優賞(ドナルド・クリスプ)、撮影賞(白黒部門。アーサー・ミラー)、美術賞(リチャード・デイ、ネイサン・ジュラン)、室内装置賞(トーマス・リトル)など6部門で受賞
 
炭鉱の町で働く一家が不況やリストラ、事故などで離ればなれになり、そんな出来事を一番下の息子ヒューモーガンの目線で描いたヒューマン映画
 
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今や初老となったヒュー・モーガンは生まれ故郷のロンダの谷を出ようとしていた。ヒューは谷が緑だった頃、一家みんなが揃って幸せだった少年時代をしみじみと回顧する。モノローグが流れ「私の知っている人々はみんな死んでしまった。今は私の記憶の中にだけある」と言い、続けて「いや彼らは生きている。私が思い出すたびに、思い出の中で彼らは生きているのだ」と語り、そこから回想物語へ場面が切り替わってゆく。
 
モーガン家の男たちは、末っ子のヒューロディ・マクドウォール)を除いて皆炭坑夫であった。 父ギルムドナルド・クリスプ)を始め5人の兄たちが稼いだ賃金はいつも家の戸口で出迎える気丈な母ベスサラ・オールグッド)のエプロンに置く。
 
アンハードモーリン・オハラ)が湧かしたお湯で身体を洗い、食事につくのが日課である。そんな平穏な日々の中で長男が結婚、一家は幸せだった。 披露宴の日、アンハードは新しく谷に赴任してきた牧師グリュフィードウォルター・ピジョン)と出逢い、互いに密かに惹かれあう。
 
ある日、会社が賃金を引き下げた事から息子たちは組合を作ろうとして父と対立する。しかし、老いた父の反対にあって彼らは家を出てしまう。
 
やがてストライキが起こり、ストに反対した父は仲間たちからの非難を浴びる。
吹雪の中の野外集会で夫を非難する連中をやりこめた母は帰りに川へ落ち、助けようとしたヒューは重症の凍傷になってしまう。
 
 
再び歩けるようにはならないかも知れないとの医師の言葉に絶望しかけていたヒューを救ったのはグリュフィード牧師の愛情溢れる手助けだった。数ヶ月後、ヒューは健康を取り戻し、再び自分の足で歩けるようになる。
 
ヒューの面倒をみたことからモーガン一家と親しくなったグリュフィード牧師は、アンハードを深く愛するようになる。しかしグリュフィードは彼女の幸福を思って炭坑主の息子との結婚を勧め、自分は身を引く。
 
ヒューはグリュフィードの助けもあってモーガン家で初めて学校へ通うようになる。しかし隣町の学校では教師もクラスメイトたちもヒューを炭坑夫の息子とバカにしてからかい、登校初日からケンカになってしまう。
 
傷だらけで帰って来たヒューを見て谷の人々は憤慨、ヒューにボクシングを教えて鍛える。谷の人々の後押しもあってヒューはガキ大将からも一目置かれるようになり、やがて首席で卒業する。
 
ストライキは終わったが、炭坑では働き口が激減。谷の人々の心も時代と共に荒んでいた。兄たちは新天地を求めてひとりまたひとりと谷を去っていく。
 
そしてある日、長男が事故死。ヒューは進学を諦めて炭坑で働き始めた。         炭坑主の息子へ嫁いだアンハードは結婚に破れ谷に帰ってきたが、グリュフィード牧師との心ない噂をたてられる。
 
人々の偽善に傷ついたグリュフィード牧師は谷から去る決意をする。         その時、炭坑から落盤事故を報せる警笛が鳴り響く。ヒューは戻らない父を案じて、グリュフィードらと共に坑道へ入って行く・・・(Wikiより)
 
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50年前のことはよく覚えていると回想から始まるが、ナレーションも主人公のヒュー。男の回想の物語で、タイトルのあとに、本のページをめくりながらオープニングクレジットが表示され
本がめくり終えられると、本を閉じる男が映されカメラは男から離れ家の外にでると、そこは真っ黒なボタに埋め尽くされた炭鉱町わずかな煙が立っていモノクロのカメラが味わいがある。
「母のショールに荷物を包み、私は谷を離れようとしている。二度と戻らない。50年間の思い出が眠る谷。・・・目を閉じると現在は消え去り、懐かしい谷が見える。緑に染まった谷は、ウエールズで一番美しかった
厳しい時代に翻弄される一家の物語だが、映画のラストの言葉「わが谷は緑なりき」が印象的だった。
厳格なモーガン一家。父・ギルムは威厳があり、食事中の会話は禁止。 
母親・ベスは、最後に食べはじめ、最初に席を立つ。この母親は肝っ玉母さん。
ギルムは、ベスに対して、口癖のように「お前はいい妻だ」というと、ベスは決まって「よしてよ」と応えるところがほほえましい。
 
緑にあふれた田舎の炭鉱町の家族を描くとともに、長女と牧師のはかないラブストーリーも描いている。牧師(ウォルター・ビジョン)が、教会を去るに際して、出席者たちが陰で噂ばかりしていることに対して、天罰や恐怖におののいている偽善者だと演説するシーンは迫力がある。
 
後に「猿の惑星」シリーズや「史上最大の作戦」「クレオパトラ」などに出演したロディ・マクドウォールが主役級の子役で出演しているのも興味深い。モーリン・オハラの美貌も忘れがたい。

登場人物:

モーガン家の人々

ヒュー(末っ子):ロディ・マクドウォール

ギルム(父):ドナルド・クリスプ

ベス(母):サラ・オールグッド

アンハード(姉):モーリン・オハラ

イヴォール(長兄):パトリック・ノウルズ

ローウィン(兄嫁):アンナ・リー

イアント(次兄):ジョン・ローダー

デビー(三兄):リチャード・フレイザー

オーウェン(四兄):ジェームズ・モンクス

ギルム Jr.(五兄):エヴァン・S・エヴァンス

現在のヒュー(ナレーション):アーヴィング・パイケル

ロンダ谷の人々

グリュフィード牧師:ウォルター・ピジョン

サイフォース:バリー・フィッツジェラルド

ダイ・バンド:リス・ウィリアムズ

リチャーズ医師:フレデリックワーロック

隣り谷の人々

ジョナス教諭:モートン・ローリー

スタッフ:

製作:ダリル・F・ザナック

監督:ジョン・フォード

脚本:フィリップ・ダン

原作:リチャード・レウェリン

音楽:アルフレッド・ニューマン

 
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