「ザッツ・エンターテインメントIII」(1994)を見た。
第1作(1974)、第2作(1976)は劇場でリアルタイムで見ているが、「III」は見逃していた。「III」はMGM創立70周年を記念して製作された。ミュージカルの醍醐味を一気に味わえる。同じ作品タイトルが続くと、2匹目のドジョウなどと言うが3匹目のドジョウは見ごたえ十分だった!
「ザッツ・エンターテインメント」(1~3)は、MGM(メトロ・ゴールドウイン・メイヤース)のミュージカルの黎明期から黄金期までの代表的な作品を出演者たちが映像とともに振り返りながら紹介するというので、往年のハリウッド俳優、女優が登場するのも見どころ。
OVERTURE(序曲)が5分ほど流れ、MGMのライオンが吠える。案内役としてジーン・ケリーが最初と最後に登場する。1930年代ごろは映画が最大の娯楽であり「MGMミュージカルの成功は一日にしてならず」とケリーが語る。
前2作とは異なり、MGMに保管されていたアウト・テイク(未使用フイルム)が数多く紹介されている点に特色がある。
たとえば、エレノア・パウエルが「魅惑のリズム」を踊るシーンの撮影風景(「レディ、ビー・グッド」)やフレッド・アステアが「アイ・ワナ・ビー・ア・ダンシング・マン」の本編とアウト・テイク(未使用分)で寸分たがわぬダンスを披露するシーン(「ベル・オブ・ニューヨーク」)などは目を見張る。「踊るニューヨーク」(1940)でのパウエルとアステアのダンスがいい。
ジュディ・ガーランドが「サマー・タイム」に先立ってハーフタキシード姿を披露するはずだった「ミスター・モノトニー」(「イースター・パレード」のアウト・テイク)や撮影中に降板した「アニーよ銃をとれ」のナンバーなど、貴重な場面も収録されている。
なおジーン・ケリーはこの映画の出演時は81歳と高齢で本作が最後の映画出演となり、2年後に亡くなっているので、よくぞこの作品を残してくれたとミュージカル・ファンは思ったに違いない。まさにハリウッドのミュージカル史を記念する作品となった。
この映画を見て、映画の様々な舞台裏なども知ることができる。
1933年の映画では、女性たち全員がシャワーを浴びながら歌うシーンがあるが、観客にショックを与えるとして公開された映画では、プロダクション・コードに引っかかりそのシーンはカットされた。
「雨に唄えば」(1952)のテーマ曲「Singin' in the Rain」は、1929年のMGM映画「ハリウッド・レビュー」のフィナーレに唄われた曲であり、この映画には喜劇王のバスター・キートンも出演している。キートンは無声映画で活躍したが、MGMのトーキー映画とは合わずに数年間のMGM 映画出演に留まった。
1930年代の映画で印象に残るのは、映画「March of Time」の歌曲「ロックステップ」や「ハリウッド・パーティ」(1934)。この映画には、すでにアメリカで人気のキングコングのコスチューム(ぬいぐるみ)の人物が見られた。
エレノア・パウエルが主演の「ブロードウエイ・メロディ」(1938)では、パウエルがメイン舞台で踊っていると、舞台の一部を移動させる光景や、クレーンカメラなどによる撮影の全景が見られる。

圧巻は何と言っても、エスター・ウイリアムズの「水着の女王」(原題:Neptune's Daughter, 1949)などの水中レビュー映画。エスターによると「スイミング・プールはもともと”ターザン映画”のために作られたプールであり、”アメリカのマーメイド”と呼ばれた」と振り返る。
22本制作された中には「This Time For Keeps」(1947) のほか「濡れたらダメよ」(原題:Dangerous When Wet、1953)「世紀の女王」(原題:BATHING BEAUTY、1944)などが含まれる。
このほかではジーン・ケリー、フランク・シナトラ、アン・ミラーなどが出演した「踊る大紐育」(原題:On the Town,1945)やアン・ミラーの「イースター・パレード」(1948)、さらにビューティ・ダイナマイトと呼ばれたシド・チャリシーの「いつも上天気」(原題:
It's Always Fair Weather, 1955)などが印象的だった。
未見作品も何作品かあり、とりあえず”必見リスト”には「ブリガドーン」(1954)を入れておきたい。
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