「地下水道」(原題:Kanal, 1956)は、当時31歳のポーランドの映画監督・アンジェイ・ワイダの名を一躍世界に知らしめたポーランド映画。高崎市(群馬県)のミニシアター「電気館」で見た。第10回カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した。「世代」に次ぐいわゆる「抵抗三部作」の2作目。
アンジェイ・ワイダ監督は昨年10月、90歳の生涯を閉じたが、今年の「高崎映画祭」では「追悼・アンジェイ・ワイダ」として3作品がデジタル・リマスター版で上映された。撮影はイェジー・リップマン、音楽はヤン・クレンズ。主演はタデウシュ・ヤンチャル、テレサ・イゼウスカ、ヴィンチェスワフ・グリンスキーほか。
映画は1944年のワルシャワ攻防戦をテーマに描く。
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その中の一つ、ザドラ中尉の率いる中隊は事態打開のため、地下水道を通り、市の中心部に出て活動を続けることにする。夜になって隊員は地下水道に入っていくが、やがて離ればなれになり、ある者は発狂し、またある者は暗闇と悪臭と恐怖心に耐え切れず、マンホールから外に出てドイツ軍に発見され、射殺されていく。
負傷したコラブと、彼を助けて道案内してきたデイジーの2人も、やっと出口を見つけたと思ったのもつかの間、そこは河へ注ぐ水路であった。一方、先を行くザドラと二人の隊員は遂に目的の出口を見つけたが、出口には頑丈な鉄柵が張られ、爆薬が仕掛けられていた…(Wiki)。
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ワイダ作品のテーマが、ドイツ軍などに敗れたポーランドのレジスタンスを描いていることから、ヨーロッパでは、登場人物は敗者としてとらえているが、日本の学生たちは、むしろ敵と戦ったヒーローととらえているところが興味深いという。
「地下水道」の中は、猛毒ガスが充満し、狭い空間であり懐中電灯があるが、電池が徐々に無くなっていく恐怖などを描いている。レジスタンスのリーダーは、前方に出口らしき明るさを発見。部下に、後ろに続く仲間たちを助けるために、遅れている仲間を呼んでくるように命令するが、自分の保身から、ウソをついて戻らなかったが、これがあとでリーダーの逆鱗に触れるシーンなどが見ごたえがあった。
また、地上に抜けるマンホールを取り除いて、助かったと思って地上にでるとドイツ兵たちが待ち構えていて、すでにレジスタンスのメンバーの多くがとらえられていて、銃なども没収され捕虜となっていた。
第二次大戦の末期、出口の見えない戦争の中で生きた悲惨なポーランド人のレジスタンスを描いている。絶望から脱出できたと思ったら、さらなる絶望が待っていたという厳しい現実。とくに発狂してしまい、言葉をかけても気がふれた状態になってしまう恐ろしさなども描いている。
デジタル・リマスター版は画像が鮮明でコントラストもよく、新作を見ているような印象。
「地下水道」(原題:Kanal)
製作:1956年、ポーランド
監督:アンジェイ・ワイダ
出演:
コラブ:タデウシュ・ヤンチャル
ザドラ中尉:ヴィンチスワフ・グリンスキー
マドリ中尉:エミール・カレヴィッチ
ミハウ(作曲家):ヴラデク・シェイバル
ヤン・エングレルト
配給:NCC=日活、東洋映画
言語:ポーランド語
公開:1957年1月10日
上映時間:1時間35分
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