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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ブルックリン」(2015)2016年7月公開。

 
ブルックリン」(原題:Brooklyn2015)は、アイルランド=イギリス=カナダ合作のヒューマンドラマ。監督はジョン・クローリー。昨年、アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、脚色賞の主要3部門にノミネートされていた。日本での劇場公開は2016年7月1日。
 
この映画、凄い! すべてにおいて一級品。
 
1950年代初頭を舞台にアイルランドの田舎町からニューヨークへと移住した女性の波乱の生涯を描いているが、悩みながらも気丈に生きる主人公の成長物語として感動させられた。
 
”私の名前は、エイリッシュ・フィオレロよ!”
 
の言葉が印象に残る。
 
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アイルランドの町で慎ましく暮らすエイリシュ・レイシーシアーシャ・ローナンは、意地悪な店主ケリーが経営するグローサリーストア「ケリーの店」に勤めているが、地味な存在で毎日鬱屈な日々を過ごしていた。

美人で仕事ができ、一家の大黒柱として華やかに活躍しているキャリアウーマンのローズ・レイシーフィオナ・グラスコットのことを愛しつつも、ローズの存在はエイリシュにとって少しばかりプレッシャーとなっていた

そんな妹の未来を心配するローズの考えもあり、ローズの知りあいのフラッド神父が後見人となって、エイリシュはアメリカはニューヨーク、ブルックリンへ移住し、新しい人生を始めることを決意するのだった

アメリカに渡る船に乗ると、船は揺れ、食べたものは吐き出してしまう始末。たまたま乗り合わせた同室の女性から、自室のトイレは鍵をかけ、ほかの人には貸さないこと、税関を通るときは、毅然としてアメリカ人のようにふるまうことなどのアドバイスを受ける。
 
アメリカでの生活や仕事は、何かとせわしく苦しいことばかり生まれ育った小さな町とはあまりに違う生活が待っていた。ブルックリンの高級デパートでの仕事には慣れず、下宿先の同郷の女性たちは既に洗練されて会話もままならない。
 
激しいホームシックに陥り、アイルランドから届く姉の手紙を読み返し涙に暮れるエイリシュの様子を見かねて、同郷のフラッド神父(ジム・ブロードベント)はブルックリン大学の会計士コースを受講するよう勧める。やがて学ぶ喜びを知り、少しずつ前向きになっていくエイリシュ。
 
 
そんな中、あるパーティーでイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と出会ったエイリシュは、毎週大学に迎えに来るトニーの誠実さに少しずつ心を開いていく。
 
最新の水着に身を包み、コニーアイランドでトニーと過ごすエイリシュは、いまや洗練されたニューヨーカーになっていた。ところがある日、故郷から姉ローズが亡くなったという突然の悲報が届き、エイリシュはアイルランドへ帰郷。そんな彼女を待ち受けていたのは、トニーとは正反対のジム・ファレル(ドーナル・グリーソン)と再会するのだった。
 
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主演のシアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)というアイルランド女優は「つぐない」(2007、アカデミー賞助演女優賞にノミネート、未見)では13歳ながら存在感を示したという女優。「ブルックリン」の撮影時は20歳そこそこだが、演技もしっかりしているようで、久々のスター女優誕生という印象。

「ブルックリン」では、自分の大切な故郷で描けたかもしれない人生と、新天地で開拓した新しい人生の狭間で悩みながらも進み続け、内気な田舎娘から美しく変わる過程を、ローナンは繊細に表現している
 
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1952年が舞台になっているが、その年に公開された映画である「雨に唄えば」や、アイルランドで撮影が行われたという「静かなる男」などが劇中登場する。
 
 
主人公エイリッシュがブルックリンで知り合ったイタリア系の男トニーが、家族に会ってほしいとエイリッシュを自宅に招く。家に入る前に、「(兄弟の)末っ子である8歳のフランキーには要注意」とエイリッシュに念を押す。その意味は、食事中にわかる。
 
フランキーは、「兄はアイルランドのギャングに殴られた。アイルランド人は大嫌い」というのだった。これには父親も我慢できずフランキーを家の奥のほうに連れていく。しばらく間があって、フランキーが現われ「無礼なことを言って、バカでした」と言いに来たのだ。
 
この8歳のフランキーはトニーと違って、賢く、アイルランドに里帰りしているエイリッシュあてのトニーの手紙のスペルのチェックもするのだ(笑)。「みんなのエブリバディ(Everybody)の”e”が抜けているなどと指摘される始末。
 
トニーが、コニー・アイランドに泳ぎに行こうとエイリッシュに提案。
エイリッシュが、アパートの女友達などに話すと、「イタリア男はグラマーが好きだから、コスチューム(水着)は注意しないとね」と声をそろえて言う。エイリッシュが、水着を試着すると、実際グラマーだった!
 
 
エイリッシュがローズの墓参りに戻ったときに、エイリッシュの母親は「(3年前に)夫を亡くしたときも、あなたたち(娘であるローズとエイリッシュ)たちのために涙をこらえた。あなた(エイリッシュ)がニューヨークへ行った時も。ローズが亡くなり、誰もいなくなった」というのだが、寂しさを隠しきれなかったようだ。
 
 
エイリッシュが里帰りした時に、エイリッシュの将来の伴侶にと母親らが、旧知のジム・ファレルをエイリッシュに近づけさせたのだが・・・。エイリッシュは、ジムの誠実さなどを認めつつも、エイリッシュが一時帰国の前にトニーと挙式しているという噂を意地の悪いケリーの耳に入っていて、「ジムと会っているようだが、イタリア男と結婚しているのでは」と横やりを入れてきたので、「私の名前は、エイリッシュ・フィオレロよ!」ときっぱり言い切ったというわけ。
 
 
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再びアメリカに向かう船の中での、見知らぬ女性との会話もグッと来た。これから夢を描いてブルックリンに向かおうという若い女性に、いまや自分がアドバイスができる立場に成長していたのだ。
 
おれ達の友人たちがヤンキース・ファンだと落ち込むぜ、というセリフもあった。みな、ドジャース・ファンのようだ。
 
また、ラストシーンが感動的で、目頭が熱くなるようなエンディングで、ハンカチも必要?

 
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