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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「誘拐の掟」(2014、日本公開2015)

 
誘拐の掟」(原題:A WALK AMONG THE TOMBSTONES2014)を見た。
96時間シリーズでアクション俳優としての新境地を開拓した実力派俳優リーアム・ニーソン主演のサスペンス・ミステリー。原題のTombstoneは墓石のこと。
 
ニューヨーク市民を震撼させる連続猟奇誘拐殺人犯と、元刑事の私立探偵との息詰まる対決がスリリングに描かれる。マイノリティ・リポートの脚本家、スコット・フランク長編映画監督第2作。
 
ローレンス・ブロックの“マット・スカダー”シリーズの一編獣たちの墓を「96時間」「フライト・ゲーム」のリーアム・ニーソン主演で映画化したハードボイルド・サスペンス。
 
残忍な犯行を重ねる猟奇殺人鬼と落ちぶれた元刑事マット・スカダーの緊迫の攻防をスリリング描く。共演は「ザ・ゲスト」のダン・スティーヴンス。監督は「ルックアウト/見張り」のスコット・フランク
 
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マット・スカダーリーアム・ニーソンは免許を持たないモグリの私立探偵。ニューヨーク市警の刑事だった1991年に、飲酒状態で強盗を撃退するも一般市民も巻き添えにしてしまい、その時のトラウマから刑事を辞めた過去を持つ。
1991年、ニューヨーク。ある晩、マットはアルコール依存症患者の集いに参加した後、ピーターという顔見知りの男に誘拐事件の仕事を依頼される。そしてピーターの兄であるケニーの豪奢な自宅に訪れたマットは、ケニーが麻薬の売人であることを見抜き、誘拐事件はあくまでFBIが担当すべきということで仕事の依頼を断る。
しかし別の夜、マットの自宅に押し掛けてきたケニーから事件の経緯を聞かされ、その異常さにマットは言葉を失う。
ある日、ケニーの元に「妻を誘拐した」という電話が入る。身代金として40万ドルを要求。金を用意したケニーだったが、妻が乗っていると告げられた車のトランクには、何十にも小分けされたビニール袋が。それらはケニーの妻の体の一部だった。
ケニーが麻薬の売人であることからも事件を警察に持ち込むことも出来ず、マットは仕方なく仕事を受けることにする。
マットはまず図書館に行き、近辺での起きた事件のなかで猟奇性が類似する事件を探す。コンピュターの扱いに慣れていないマットは近くにいた黒人少年T.Jの力を借りて、過去に近くの墓地にバラバラにされた遺体がビニールに入れられ廃棄されていた事件に辿り着く。
この事件の目撃者と、墓地の管理人の聞き込みを開始したマットは、事件の奇妙な関連性に気がつく。事件の目撃者の家を訪れたマットは、刑事の経験から彼が麻薬の売人であることを嗅ぎ付け、そして墓地の管理人の部屋のなかに、その売人と事件の被害者の性行為を盗撮した写真を発見する。
麻薬の売人とその恋人や妻が遭遇する猟奇殺人。そして三度繰り返されようとする猟奇殺人。マットは自身の過去のトラウマとも戦いながら、この異常な事件の核へと近づいていく・・・。
        ”助手”となったT.Jにアドバイスするマット(リーアム・ニーソン)  
図書館でマットと知り合ったT.Jという少年は、マットが探偵と知ると、興味を持ち、ハードボイルドの探偵として知られる名前を口にする。「サム・スペードやフィリップ・マーロウのような?」と。サム・スペードは「マルタの鷹」などでハンフリー・ボガートが演じた探偵の名前。フィリップ・マーロウは、言うまでもなくレイモンド・チャンドラーが生み出したハードボイルド小説の探偵T.Jは、自分にも名前をつけてほしいというので、ダンテ・カルペッパーと名乗ることにした。
マット・スカダーが携帯も電話も持ち歩かないことから、T.Jに「アーミッシュみたいだ」といわれる始末。ちなみにアーミッシュとは、映画「刑事ジョンブック」(原題:Witness,1985)にも登場するが、アメリカ合衆国ペンシルベニア州・中西部などやカナダ・オンタリオ州などに居住するドイツ系移民(ペンシルベニア・ダッチも含まれる)で、非暴力で前近代的な生活を営む宗教集団移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって自給自足生活を送っている。
身代金要求に関して、公衆電話を何か所か変えて指示を出す方法は映画「64 ロクヨン」(2015)などに似た手口だった。マット・タイガーを演じるリーアム・ニーソンは「96時間」(原題:Taken)のブライアン・ミルズほど腕っぷしが強いわけではなく、アルコール依存症と闘っている状況。ただ、犯人との電話交渉では、一歩も引かず、誘拐された娘の生存を優先し、身代金の手渡しにも条件をつける。このあたりは元刑事。

誘拐された14歳の少女を電話口に出せないのなら、生きている証として、少女が飼っていた犬の名前(現在の犬とその前に飼っていた犬の名前)を電話で知らせろ、と言うものだった。
犯人は、知らないふりをして、わざと遊び半分に、適当な名前をいくつか言うが、現在の名前は「ワトソン」であると告げる。こちらの電話口の少女の父親が、うなずく。その前の犬の名前は、ロシア語の名前で「バラライカ」というと、まさに”ビンゴ”、これで父親は納得。少女の生存は確認できた、といった具合。
映画の終盤の攻防は、ややバイオレンスが強烈で、あまり後味がいいものではない。
映画としては、「96時間」のような歯切れのいいアクションを期待するとやや肩透かしで、スッキリという内容ではなかった。
★★
  
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