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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「疑惑の影」(1943)ヒッチコック監督作品。</span>






アルフレッド・ヒッチコック監督の「疑惑の影」(原題:Shadow of a Doubt、1943、日本公開は1946年末)を見た。”ヒッチコックに進路を取れ”の一環で?見た。

善良そうに見えるジョセフ・コットン(「第三の男」)が実は、意外にも、とんでもない食わせものの悪人だった、というのが驚き。

若手女優のテレサ・ライト(当時24歳)がハツラツとしてかわいい。淡々とした流れで、日常性が持つ恐怖をだんだんと盛り上げていくところはさすがサスペンスの神様ヒッチコック

音楽は、「失われた地平線」「我が家の楽園」「スミス都へ行く」などのディミトリ・ティオムキンで、後に「素晴らしき哉、人生」「真昼の決闘」「ジャイアンツ」「友情ある説得」「OK牧場の決斗」「リオ・ブラボー」「アラモ」「北京の55日」などの多くの名作の映画音楽を残している。

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カリフォリニア州の静かな田舎町サンタ・ローザの町に住むニュートン一家は平和な生活を続けていたが、長女のチャーリー(テレサ・ライト)は家庭を生き生きとしたものにしたいと思いそのためには母の弟のチャールズ・オークレー(ジョセフ・コットン)に来てもらいたいと思っていた。

そんな時に、チャールズ叔父から電報があり、チャーリーは、自分の希望が叶ったと”以心伝心”と喜ぶように、チャールズ叔父が、カリフォルニアのニュートン一家にやってくることになったのだ。実は、チャールズは、ある犯罪のため身に迫る危険を知ってやってきたのだったが、ニュートン一家は知る由もない。

チャールズの実の姉など一家は悦んでチャールズを歓待した。
ある日、ジャック・グラハムとサンダースという二人の男がニュートン家を訪れて来た。

彼等は政府の調査員として米国の中流家庭の調査に来たとのふれこみだったがチャーリー叔父はなぜか、彼等が探偵ではないかと見破り二人を避けていた。

ところがうっかりしたところを写真に撮られたので怒ってフィルムを奪ったが、そのただならぬ様子に傍らにいたチャーリーは怪しんだ。その夜チャーリーはジャックから、彼等が叔父をある殺人事件の容疑者としてその確証を握りに東部の警察から派遣されて来たのだといわれ、協力を求められた。

しかし、叔父を信用しているチャーリーは、彼の申し出を固く断った。
だが叔父が破り棄てた新聞の記事にも疑いを持った彼女は、早速図書館へ行き新聞の綴込みを調べると、金持ちの未亡人を次々に殺害して金を奪った犯人が西部へ逃亡した形跡があり、目下追跡中であると書かれてあった。

そして最後の被害者の名前が、叔父から土産にもらった指輪の裏に刻まれている頭文字(T.S.)と符合しているので、もはや叔父の犯罪を認めない訳にはいかなくなった。

チャーリーは家族の名誉を守るために、叔父が逮捕される前に家から出そうと決心した。叔父に対して自分がすべてを知っていると匂わせたり、証拠となるべき指輪を示して退去を迫ったが、叔父は平気な顔で滞在を続けるのだった。



逆に自分の身の安全を計るために、事実を知っているチャーリーを殺そうとして、排気ガズを充満させたガレージにチャーリーを閉じこめたのだが、幸いにもチャーリーは救われた。

やがて叔父は自ら出発すると言い出した。
彼は町で知り合った金持ちの未亡人と密かに他所へ行く予定だったのだ。
出発の日叔父を見送りに列車内に入ったチャーリーの手を叔父はしっかり握り、列車が動き出しても離さず、彼女を車から突落して殺そうと計った。

しかし列車に轢かれたのはチャーリー叔父だった。
サンタ・ローザの教会で、彼の葬式が行なわれた時、チャーリーとジャックは二人だけが知っている事実を胸に秘めて参列していた(MovieWalker)。

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映画の冒頭にダンス・シーンがある。
このシーンが、何回かフラッシュバックして、劇中に登場する。
その意味が徐々に明らかになっていく。オープニングに映し出されるのは、ブリッジ(陸橋)と廃墟になったような町並み。子供たちが缶けり遊びをしている。やがて古びた安アパートの一室が映し出され、男がベッドに寝そべっている。



テーブルや床には、無造作にお金の札束が丸めて放り投げられている。
いかにもうさんくさそうな男。そこへ、管理人のおばさんがやってきて、来客が二人来ているが、と伝えに来る。男は、居留守を伝えていたのだが、来客は「友人だ」といって、また来るというので、男は起き上がって、出かけるのだが・・・。

このあたりから男が何者かに追われていることが分かるが、謎に満ちた導入部から引き込まれる。男の独り言は「シッポをつかまれるものか」だった。このあたりはヒッチコックの常套手段か。

小道具の登場も、それがどんな伏線になるのか見所だった。
ルビーの指輪と指輪の裏のイニシャル、新聞の切り抜き、ワルツの音楽、家の階段の工作、車庫の車、ニュートン家の主と、出入りしている友人との”シャーロック・ホームズ”並みの人を殺す方法のトリックの話し合いなど、様々な味付けが面白い。

ニュートン家の3人の子供たちのうち、10歳くらいの娘アンの大人びた言動も面白い。叔父に長く滞在されては、プライバシーが無くなって困るというのだ。チャーリーと叔父は、ともに何か隠し事があるのではと、おたがいに思っていたのだが、一見親しそうに見えたが、チャールズ叔父が、自分の安全のために、姪であるチャーリーを列車から突き落として殺害しようと豹変するところはさすがに怖い。

傑作とは言えないかもしれないが、ヒッチコック監督らしさが随所に見られる佳作。
第16回アカデミー賞で、原案賞(ゴードン・マクドネル)にノミネートされた。

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製作:ジャック・H・スカーバ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原案:ゴードン・マクドネル
脚本:ソートン・ワイルダー
    アルマ・レヴィル
    サリー・ペンスン
撮影:ジョゼフ・ヴァレンタイン
音楽・ディミトリ・ティオムキン
モノクロ: 107分
出演:ジョゼフ・コットン
    テレサ・ライト
    マクドナルド・ケリー
    パトリシア・コリンズ
    ヘンリー・トラヴァーズ


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