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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「陽のあたる場所」(1951)</span>



陽のあたる場所」(原題:A Place in the Sun, 1951)を見た。
テレビ放送をかつて斜め見したことがあり再見とは言いたいが、じっくりと見たのは今回が初めて。

監督はジョージ・スティーブンスで、主演はモンゴメリー・クリフトエリザベス・テイラーシェリー・ウインタース。映画の製作がスタートした1949年には、子役から注目されていたエリザベス・テイラー(1932年2月27日 - 2011年3月23日)は17歳だった。映画史に残る美女といえば、50年代のエリザベス・テイラー(愛称:リズ)と断言できるだろう。

原作はセオドア・ドライサーの小説「アメリカの悲劇」で、映画化は、1931年のジョセフ・フォン・スタンバーグ監督に続き二度目。

1950年ごろのハリウッド映画は全盛期といえる。
1951年度の作品としては、「巴里のアメリカ人」「欲望という名の電車」など今も語り継がれる映画があり、「陽のあたる場所」はアカデミー賞では「監督賞」「撮影賞(白黒)」「脚色賞」「作曲賞」「衣裳デザイン賞」「編集賞」など6部門を制覇。作品賞、主演男優賞(モンゴメリー・クリフト)、主演女優賞(シェリー・ウインタース)はノミネートされたが逃した。

ちなみにこの年の作品賞は「巴里のアメリカ人」で、「陽のあたる場所」と同じ6部門で授賞。12部門と最多ノミネーションだった「欲望という名の電車」は、演技部門で独占に近かった。主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)、助演男優賞カール・マルデン)、助演女優賞(キム・ハンター)のほか美術賞を受賞。



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ジョージ・イーストマン(モンゴメリー・クリフト)は野心に燃える青年だった。
母子2人きりの貧しい家に育ち、シカゴのホテルでボーイをしていたが、ウォーソーの町で水着製造工場を経営している伯父のチャールズ・イーストマンに会い、幸い彼の工場に職を得た。


伯父の邸宅で社交界の花アンジェラ・ヴィカース(エリザベス・テイラー)に会い、心を惹かれたが、ジョージにとっては、身分違いの遠い存在に思えた。

ジョージと同じ職場にいたアリス・トリップ(シェリー・ウィンタース)は、身よりのない娘で、ある夜映画館でふと隣合わせになったことから、2人の仲は急に深まった。

会社では男女社員の交際が御法度になっていたので、2人は人目を忍んで逢瀬を楽しまねばならなかった。ジョージは伯父の邸のパーティに招かれ昇進の機会を与えられて、アンジェラと再会した。

アンジェラはジョージの純真さに惹かれた。その日はちょうどジョージの誕生日だった。アリスは下宿でささやかな祝宴の準備をして待ちかねていた。アリスは妊娠していたのである。思い余ったジョージは彼女に堕胎をすすめたが、医者は引き受けてくれなかった。

アンジェラとジョージは、ますます愛し合うようになり、2人は夏をアンジェラの別荘に過ごした。アンジェラの両親も2人の仲を許し、2人は許婚同様の間柄となったが、ある夜ジョージの元にアリスが電話をかけてきた。彼は母の急病と偽って別荘を出て、アリスと会った。アリスは、いまから駆け落ちしようと迫ったのだった。



アリスは結婚を迫り、もし承諾しなければ自身との間を公にすると脅した。
翌日ジョージは出世の妨げになるアリスを溺死させようという下心からアリスを湖に誘った。だがアリスのひたむきな愛情を知った時、ジョージは、彼女を溺死させる気持ちを失っていく。

アリスはジョージの底意を感じとって恐怖にかられ、ボートの上に立ち上がったため、ボートは転覆して、アリスは溺死し、ジョージは岸に泳ぎついた。次の夜、ジョージは捕まった。森の中をさまよう姿をボーイスカウトなどに見られたほか、アリスとの付き合いが一部に知られていたからだ。

裁判が開かれジョージは殺意のあったことを認めたが、犯行は否定した。
しかし陪審員は彼を有罪として、死刑が宣告された。刑執行の直前、ジョージを訪ねたアンジェラは彼に永遠の愛を誓うのだった(MovieWalker)。

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物語的にはすんなりとは受け入れがたい悲劇を描いている。
上流階級と労働者階級の身分の違い、考え方の違いなど相容れない社会の矛盾も大きい。罪を犯した主人公は、手を下したかどうかではなく、殺意を持ったことが罪だということで、極刑を受け入れている。

アップになった時のリズの表情などは、美しさがひかる。
アンジェラ(E. テイラー)が初めてジョージ(モンゴメリー・クリフト)を見たときに言うセリフなどが面白い。ジョージがパーティから離れて一人でビリヤードをやっていたからで「(あなたは)一匹狼さん? それとも気取り屋さん?落ち込んでいる?」と語りかけてくるのだ。

役者の表情や心理描写、とくにアンジェラに気持ちが傾いているジョージが、湖でボート事故で4、5日女が見つからなかったことがあるという話を聞いたり、テレビでも、水死事故についてふれ、「他人事ではありません。次はあなたです」といったコメントがあり、次第に殺意が湧き出てくる表情などが巧みで、考えさせられる面もあるが、脚本もしっかりしていて、見応えがあった。


パーティの会場となる個人の大邸宅は、まるで豪華絢爛の超一流ホテルか城のようで、戦後まもない日本から見たら羨望の的で、かけ離れた存在に写ったかもしれない。検事役でレイモンド・バー(映画「裏窓」テレビ「鬼警部アイアンサイド」)も出演している。

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