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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「バターフィールド8」(1960)エリザベス・テイラーがアカデミー賞主演女優賞。


     スカラ座のパンフは「バタフィールド8」と「バター」でない。

 

バターフィールド8」(原題:Butterfield 8, 1960)を見た。
かつてテレビ放映で一部は見ていたが完全に見るのは今回が初めて。
この映画で、主演のエリザベス・テイラーアカデミー賞主演女優賞を獲得したが、テイラーは作品が気に入らず、映画は一度も見ていないという。
 
Wikiによると、テイラーの受賞は、それまで3回ノミネートされながら受賞せず、肺炎で倒れたことへの同情からの受賞であって、作品の評価は高くはなく、「キネマ旬報」でも35位だった(中川右介「大女優物語」新潮新書)という。それはともかく、エリザベス・テイラーの絶頂期の頃の映画で、その美貌は、多くのハリウッド女優の中でもトップクラスであっただろう。
 
 
映画は、表向きはモデルが職業だが、薄倖なコールガールを描いたドラマ。
原題の「バターフィールド8」とは、主人公グローリアの電話番号。ジョン・オハラの原作をジョン・マイケル・ヘイズチャールズ・スクニーが共同で脚色し、「明日泣く」のダニエル・マンが監督。
 
出演は「去年の夏突然に」のエリザベス・テイラー、「年上の女」のローレンス・ハーヴェイ、エディ・フィッシャー、ダイナ・メリル、ミルドレッド・ダンノックなど。メトロカラー・シネマスコープ
 
             スコッチを飲むグローリア
・・・
ある朝、グローリア(エリザベス・テイラー)はニューヨークのある豪華なアパートの一室で目をさました。ここはリゲット(ローレンス・ハーヴェイ)の部屋で、彼の妻エミリー(ダイナ・メリル)が実家に帰った留守に泊り込んだのだ。
 
グローリアが目をさました時、リゲットはおらず、250ドルの金が置いてあった。
しかもメモ書きで「250ドルで十分?」とあった。
 
ショックを覚えたグローリアは、口紅を使って、鏡台に「No Sale」(売り物じゃない!)と書き殴るグローリア。
 

                                 「バカにしないでよ!売り物じゃないわ」

 

グローリアの本職はモデルだが、その生活は男から男へと奔放な日々を送っていた。男の愛情を信じないグローリアにとって、リゲットだけは別だった。リゲットを知って初めて恋を知った。それを金ですまされ、グローリアは腹を立てたのだった。
 
昨夜、引き裂かれたドレスの代わりにエミリーのミンクのコートを着て外に出た。グローリアはその足で、幼友達のスティーヴ(エディ・フィッシャー)を訪ねた。スティーには何でも打ち明けることができ、彼も本当に彼女の身を心配してくれた。それでスティーヴのガール・フレンドのノーマのドレスを借り、コートを置いて我が家に帰った。
 
リゲットは発明家を父に、貧しい家に生まれた。大学在学中、富豪の家の娘エミリーが彼を見染め、結婚した。薬品会社の重役と恵まれた生活も、彼の活動家の性格に合わず、またエミリーの無理解はリゲットを酒と女に追いやった。
 
 
酒場でふと巡り合ったグローリアと深い仲になったのも無理はない。しかし、彼にはグローリアの心が金であって、真実の恋とは気がつかなかったのだ。エミリーが帰宅してコートのないのに気がついた。
 
リゲットは警察に届けるのを抑え、グローリアを探した。
一方、グローリアはリゲットを訪ねたがエミリーがいたのでコートを返しそびれた。
ようやくナイト・クラブでリゲットはグローリアに会えた。
 
リゲットはグローリアが浮気でもしていたんだろうと激しく責めた。リゲットの誤解を悲しんだグローリアはスティーヴを訪ねると、彼はノーマと結婚するといった。
 
  幼友達のスティーヴだけは、グローリアの心情を理解し相談相手になっていた。

 

リゲットは、失意のグローリアの真実に気づき、エミリーに離婚を宣言して彼女の後を追った。街角で二人は再会し、リゲットは求婚した。夢にまでみたリゲットとの結婚も、自分のいまわしい過去のことを考えたグローリアは、自分一人で新生活に入る決心を固めた。リゲットは考え直すようにモーテルに誘った。彼女の失望は募るばかりだった。
 
 
グローリアの自動車は走り出した。リゲットの車が後を追った。
グローリアが後のリゲットを振り向いた瞬間、高速度で走っていた車は工事中の停止柵に激突し、断崖からもんどり打って転落した。グローリアは死んだ。リゲットはエミリーと別れて、あてどない旅に立った(Moviewalker)
 
・・・
コールガール(売春婦)というと派手な印象だが、グローリアは、純粋で、男運に恵まれない薄幸な女で、映画の冒頭のグローリアは、数分間もセリフもなく一人部屋で動き回る一人芝居のシーンが孤独感を表していた。
 
 
エリザベス・テイラーが28歳の時の作品で、その美貌は輝くばかりだが、6年後の「バージニア・ウルフなんかこわくない」(1966)で、二度目のアカデミー賞主演女優賞を獲得していることからも分かるように、単なる美人女優ではなく、演技派大女優であることが分かる。
 
エミリーを演じたダイナ・メリルも、エリザベス・テイラーに劣らぬ美貌で、気品があった(写真)。「ザ・プレイヤー」「ウエディング」などに出演している。
 
リゲット役のローレンス・ハーベイは、1958年の「年上の女」ではアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。端正で古風な顔立ちをいかし、重厚で知的かつインテリな役どころが多かったが、1973年に胃がんのため45歳で亡くなった。
 
歌手として有名だったエディ・フィッシャーが、グローリア(エリザベス・テイラー)の相談相手、スティーヴに扮しているが、この映画の当時は、エリザベス・テイラーと結婚していた(1958-1964)。フィッシャーは、私生活では、デビー・レイノルズエリザベス・テイラー、コニー・スティーヴンスなどの女優たちと結婚、離婚を繰り返し、5回の結婚と4回の離婚を経験。キャリー・フィッシャーは、デビー・レイノルズとの間に生まれた娘。
 
一方、エリザベス・テイラーは、リチャード・バートンとの2回を含めて、7人の相手と8回結婚。結婚・離婚を繰り返す理由を聞かれたテイラーは「分からない。私にもさっぱり分からないの」と応えている(笑)。本人がわからないのに、凡人のわれわれはさっぱり分からない。
 
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