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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「クリスタル殺人事件」(1980)

 
クリスタル殺人事件」(原題:The Mirror Crack’d、1980)は、アガサ・クリスティ原作「鏡は横にひび割れて(The Mirror Crack'd from Side to Side、1962)」のミステリー映画だが、ポワロ探偵は登場しない。
 
 アンジェラ・ランズベリー
探偵の代わりに”ジャッカル”俳優(「ジャッカルの日」)のエドワード・フォックスロンドン警視庁のクラドック主任警部に扮して事件の解明に挑むが、この警部も主役とは言い難く、実際には、警部の叔母ミス・マープルアンジェラ・ランズベリー)の推理によって、
事件の全容が明らかにされていく。
 
マーブルが甥のクラドック警部に語る。「パズルと同じで、完成しないとわからない。ピースが欠けている」と。
そして、最後には、パズルの完成となるが・・・。                                                                 
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クリステイ作品の映画は、いつもながら豪華キャストだ。
タイトル・ロールの順番は不規則のようで、最初にアンジェラ・ランズベリーだが、エドワード・フォックスロック・ハドソントニー・カーティスジュラルディン・チャップリンキム・ノヴァクエリザベス・テーラーなどが続く。
 
  再生不可
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映画の冒頭、モノクロ画面にわびしい雰囲気だが豪邸が映し出される。探偵が豪邸の客間に8人の人物を集めて、殺された殺人犯が判明し、証拠がある、と宣言する。居合わせた8人には、動機があり、その動機が語られる。
 
「犯人は・・・」と言いかけたところで、画面が中断。
映写機による映画上映会で、映写機が故障してしまったのだ。
毎週金曜の夜に教会で映画上映会が開催されており、ミステリー映画を見ていたのだった。まさに最後の謎解きの場面で映写機が故障したのだが、ミス・マープルが犯人を言い当てるのだった。フィルムは切れたがキレのいい映画のオープニングだ(笑)。
 

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場面は一転して、1953年、ミス・ジェーン・マープル(アンジェラ・ランズベリー)の住むイングランドの片田舎セント・メアリ・ミード。いつもの静けさが嘘のように賑わっていた。久しぶりに映画に復帰する往年の大女優マリーナ・クレッグ(エリザベス・テイラー)や、映画監督である夫のジェイソン・ラッド(ロック・ハドソン)ら、ハリウッドの撮影隊がゴシントン荘に長期滞在し、大作映画スコットランドの女王メアリー」の撮影が行われるのである。
 

 村をあげての歓迎ムードの中、ゴシントン荘ではマリーナがホステスとなって村の人々を招待し、盛大な交歓パーティーが催されようとしていた。ミス・マープルもパーティーに参加しようと出かけたはいいが、子供が離した犬のリードに足をすくわれ転倒、足首を痛めてしまい、やむなく帰宅するはめとなってしまった。
 
そんな中、今回の映画のプロデューサー、マーティ・N・フェン(トニー・カーティス)が妻である女優ローラ・ブルースター(キム・ノヴァク)を伴って現れた。マリーナとローラは犬猿の仲であり、二人の共演はトラブルを引き起こすと懸念されていた。
 
そしてパーティーの真っ最中、戦時中にマリーナの慰問公演を見て感動したという村の女性、ヘザー・バブコック(モーリン・ベネット)が突然倒れ、急死してしまう。
 
パーティーで手伝いをしていたミス・マープルの家政婦チェリー(ウェンディ・モーガン)によると、ローラらが現れた際、ヘザーはマリーナに一方的に退屈な思い出話をまくしたてており、その時なぜか急にマリーナは、階段に飾られた聖母子像を見つめて「凍りついて」いたという。
 
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検死の結果、ヘザーの死因はカクテルに混入された毒によるものと判明。しかもその毒入りのカクテルは、ジェイソンが作り、もともとマリーナが飲むはずのものだったこともわかった。
 

 
映画の撮影が開始されたが、ローラとマリーナの不仲がやはり障害になって一向に捗らない。マリーナはコーヒーに毒が入っていると騒ぐなど、心配されていた精神状態は次第に悪化していく。
 
ミス・マープルの甥であるロンドン警視庁のクラドック警部(エドワード・フォックス)は、関係者たちに事情聴取を始めるが、マリーナは自分に脅迫状が届いていることを誰にも明かさずにいたと告げる。
 
そんな折、ジェイソンの助手のエラ・ジリンスキー( ジェラルディン・チャップリンが毒殺される。エラはジェイソンへの愛からマリーナの存在を疎み、不可解な行動をとっていたのだった。
 

ミス・マープルとクラドックは、ヘザーがマリーナの身代わりで殺されたという最初の前提が間違っていたのでは、と気づく。ヘザーは何をマリーナに話していたのか。そしてマリーナに新たな危機が迫っていた・・・。
 
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アンジェラ・ランズベリーは「ナイル殺人事件」にも出演していたが、どこにでもいそうな口うるさいオバさん役が適役のようだ。
 
エドワード・フォックスは、映画俳優としては173センチと背が低く、193センチのロック・ハドソンと並んで歩くシーンでは、20センチ差はありすぎで小さく見えた。
 
「007」シリーズで名を成したピアース・ブロスナンがノンクレジットで出演していたというが気が付かなかった。
 
それはともかく、エリザベス・テイラーと言えば1950年代~60年代にかけて、ハリウッドで常にトップ10のマネーメイキングスターであり、70年代は興行的にも出演作品が低迷し、1980年になって「クリスタル殺人事件」に出演、この映画の中の大女優の復帰という役柄と重なるところがある。
 
バターフィールド8」(1960)と「バージニア・ウルフなんかこわくない」(1966)で2度のアカデミー賞主演女優賞を獲得している。「クレオパトラ」(1963)では、当時の金額で700万ドルの収入を得たという。今で換算すれば10倍の7,000万ドル(80億円)といったところか。
 
”リズ”の愛称で子役の時から親しまれたエリザベス・テイラーは、3年前の3月に
79歳で亡くなったが、生きていれば、昨日(2月27日)誕生日で、生誕82年だった。
 
「クリスタル殺人事件」は、ポワロ探偵が登場せず、探偵による鋭い洞察で一件落着、というエンディングがないのがさびしい。
 
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