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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「座頭市と用心棒」(1970)</span>



岡本喜八監督の「座頭市と用心棒」(1970)を見た。
勝プロダクション製作で、大映が配給。脚本は、岡本喜八吉田哲郎
撮影は、名手・宮川一夫、音楽は、伊福部昭が担当した。

出演は、勝新太郎三船敏郎の2大スターのほか、米倉斉加年岸田森神山繁細川俊之嵐寛寿郎寺田農草野大悟常田富士男、五味龍太郎、木村元、砂塚秀夫、田中浩、木村博人、浜田雄史、新関順司郎、熱田洋子、黒木現、滝沢修若尾文子などの豪華キャスト。

・・・
猛吹雪と大雨の中、子供の泣き声が響き、大人たちが刀で殺されていく。
座頭市勝新太郎)が斬り殺した相手から、周りの者が銭、着物などをはいでいく。
「(血まみれになった手をみながら)また手を汚しちまった。地獄には飽きた。雨はやだ。風も。そよ風、せせらぎ・・・そんな夢のあるある里があったっけ。もう、3年、2年になるかな」。

そんな市の独白の後、「座頭市と用心棒」というタイトルが現れる。
かつていたことのある里にもどってきた市は、「梅の匂い。せせらぎ。そよ風。来た、きたぞ。ここが里の入口だ。」

こんなオープニングで始まる映画だが、勝新太郎にとっては「座頭市」シリーズの20作品目で、黒澤明の名作「用心棒」の三船敏郎の用心棒のキャラクターをシリーズに登場させたわけで、この二人の個性がどのようにぶつかり合うのかが興味を引くところ。



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すっかり心が荒んだ市は、3年前に訪れた夢のような里に、骨休めにもどってきたが、状況は大きく変わっていた。

里は政五郎(米倉斉加年)一家に支配されており、政五郎一家は政五郎の父である絹問屋の烏帽子屋弥助(滝沢修)と対立していた。

2年前の凶作で飢饉になり、わずかばかりの蓄えがあった里に近隣の住民が押し寄せてきて、それから里を守るために長の兵六爺(嵐寛寿郎)が政五郎を雇い、住民たちを惨殺させたのだ。その数130人。兵六爺は長から下ろされ、今では亡くなった
130名を弔うため地蔵を130体彫り続けている。

政五郎一家には用心棒(三船敏郎)がおり、市と対立することになる。
用心棒は市をバケモノと呼び、そんな用心棒を市はケダモノと呼ぶ。

そこに絡んでくる大量の金の隠し場所。烏帽子屋弥助から200両を借りて身体を売るようになってしまった梅乃(若尾文子)などか関わってくる。

勝新太郎三船敏郎の大物同士の共演だったが、三船敏郎主演作を何本もとっている岡本喜八だからこそ実現できた作品かも知れない。

物語の基本は、2大勢力が対立している里という構図は「用心棒」(1961)を彷彿とさせる。いつの時代も、人間の金銭欲は変わらないもので、この当時も、弥助が金の延べ棒を隠し持っているということを、息子二人が嗅ぎつけて、狙うことになる。

一方、市は、銭金というよりも、里が穏やかな平和を取り戻すことだった。用心棒も、金目当ての腕利き浪人というわけでもない。三船敏郎はどのシーンもセリフも堂々としている。その存在感は、勝新太郎を食っているといってもいい。

酒好きで梅乃に惚れているのだが、実は泣き上戸というのも微笑ましい。
今では差別用語として、現在は使うことには抵抗があるが、市に対して「めくら」「どめくら」と何度も言うので、「どめくらですか。一度は良いです。二度目も良いです。しかし三度となると・・・」と返すと「どめくら、どめくら、どめくら」と何度も繰り返す子供っぽさもある。



大映の中心的な女優であった梅乃役の若尾文子がお色気たっぷり。
用心棒に反発しているようで実はこちらも内心惚れている。
ラストの二人の対決の鍵を握っており、用心棒に「市さんとは戦わないで」と頼んでいたのだが、重傷を負って死にそうになったため、用心棒は市との対決に臨む。

さて、どちらが生き残るのか!? と思っていたら留吉が「若尾文子さんは生きてるだよ」と割って入る。梅乃(若尾文子)の元に駆けつける二人。対決は終了!



ラストシーンで、立ち去っていく市に、用心棒は「どうもわからない。市はどうして1文(もん)にもならない仕事をするのか」」というと、「銭金で働く人じゃねえ」とある人物が言う。しかし、その後のシーンで里外れに積まれていた金粉の山に一目散で走り寄る市がおかしい。そこへ用心棒が現れる。「お前さんも(金目当てだったの)か?」「おめえもか?」と言うセリフが笑わせる。

しかし、金粉の山は風で飛ばされてしまっている。地面を探ってもちょっと手に付くだけで、ほとんど残っていない。残ったのは死体の山だけ。風に飛ばされてしまった金粉。用心棒と梅乃が結ばれたのがせめてもの救いとなっているようだ。

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