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<span itemprop="headline">映画「GO」(2001):日本アカデミー賞を席巻。柴咲コウ出世作。</span>


その年の映画賞を独占した作品としてタイトルだけは知っていて、気になっていた映画「GO」(2001)を見た。
 
前年に「バトル・ロワイヤル」で映画デビューした柴咲コウの本格主演映画で、柴咲コウが、日本アカデミー賞新人賞、最優秀主演女優賞を受賞するなど、女優としての地位を確立した映画でもある。同じく主演の窪塚洋介も新人賞を受賞した。
 
監督は、のちの「世界の中心で、愛をさけぶ」「今度は愛妻家」などの行定勲脚本は、宮藤官九郎
 
原作者の金城一紀は「映画化する際の桜井は柴咲コ
ウ」と最初から柴咲コウをイメージしていたといい、その通りのキャスティングとなった。
 
・・・
高校3年の杉原の国籍は韓国だが、普段はまったく気にしていない。桜井という少女とつきあうようになり、いつか自分の国籍を告白しなくてはならないと思っていたある日、同じ国籍をもつ親友に悲劇が起こる。
 
映画の冒頭は、駅のプラットホームの線路に降りて男が、入線してくる電車の前に立ちはだかり、ギリギリまで立ち続けている。ホームで見ている仲間とみられる男たちの声が響き渡る。「走れ!走れ!」でタイトル文字、GO。どうやら、肝試しを競うゲームだったようだ。
 
一転して体育館の中。
ナレーションで、「在日、民族、統一、同胞・・・」といった言葉が機関銃のように発せられる。どうやら差別用語、人種差別などのことばのようだ。”ボーダーライン(線引き)などオレが消してやる”というのがこの映画のキャッチコピー。
 
日本に生まれ、日本語を話しながらも、両親や、祖母が朝鮮出身であり、朝鮮学校に通うものや、韓国籍を取得して、一般の日本人の学校に通うものなど様々だが、日本の朝鮮学校反日教育は、凄まじいものがある。
 
そこでは、だれだれが日本語を話した、と教師に”密告”されると教師は、その人物に鉄拳を浴びせる。まして、日本の学校に転(うつ)りたいと言おうものなら、暴力が加えられていた・・・。
 

朝鮮学校の教師・金(キム)役の塩見三省の凄みと言ったら、最近の「アウトレイジ・ビヨンド」並みのど迫力だった(笑)。
 
杉原(窪塚洋介)は、日本人学校に転校するが、そこでは、バスケットボール・メンバーからも”ザイニチ”と罵られ、まわりからのいじめもすごい。杉原もついにキレて、暴力でメンバーを、「ブルース・リー」のように倒していく。それをたまたま気分的にも落ち込んでいた桜井(柴咲コウ)という女子高生が見ていて、杉原に心を惹かれていくのだった。
 
・・・
杉原と桜井は付き合い始めて、親密になっていくが、杉原が、どうしても言わなければならないこと(自分が日本人ではないこと)を言う時が来た。
 

杉原「俺は日本人じゃないんだ。
国籍は日本じゃない。」
桜井「どこ?」
杉原「韓国。中学までは朝鮮学校だった。」
桜井「なぜ言わなかったのか。小さい頃から両親に言われていた。中国人と韓国人だけは付き合うなと。血が汚いからだと。」
杉原「教育を民族学校で受けてきたバイリンガルだ。オリンピックでは、両方を応援できる。ハイ、おしまい。」
桜井「頭ではわかるけど、怖い。」
ということで、2人の交際は中断してしまうのだが・・・。
 
・・・
杉原の父親・秀吉(山崎努)は、杉原に小学4年の時からボクシングを教えてきた、スパルタ教育の父親。拳を作って、手を伸ばし、そのまま360度、腕を回していき、その範囲の円の中は安全だという。「その円の外側は、手ごわいヤツがいっぱいいるぞ」という。モノは、その外から奪い取ってくるんだ、ともいう。
 
息子が反抗すると、容赦なく、”怒りの鉄拳”が飛んでくる。それも血だらけになるまで叩きのめすから、恐ろしい。母親・道子役の大竹しのぶも負けず劣らず、容赦ないところがすごい。
 
若い警官役の田中哲司は気がつかなかった。
駐在でありながら、杉原に向かって「今度、合コンしようぜ。そこにいるから」というのだ。この警官「この仕事(警察官)は向いてないんだよね。オレ、根っからの文系なんだよね。制服がセーラー服だったりすれば道を聞かれなくて済むのに」ととんでもないことを言う。
 
タクシー運転手役に大杉漣など芸達者も多数出演しているのが見どころ。
 
コミカルなところもある。
杉原が、ジャン・クロード・ヴァンダムのことについて触れ「バンダムはいいな」というと、桜井は「バンダムではなく、ヴァンダム」と言い返す。それを、杉原は、朝鮮人の友人に、「面倒くさい女だぜ。バンダムでなくヴァンダムなんて言って」と。
 
かなりシリアスな映画だが、一見の価値のある映画だった。
 
主な出演者: 
杉原:窪塚洋介
桜井:柴咲コウ
秀吉 : 山崎努
道子 : 大竹しのぶ
タワケ : 山本太郎
元秀 :新井浩文
加藤: 村田充
正一 :細山田隆人
巡査 : 萩原聖人
タクシーの運転手 :大杉漣
金先生 : 塩見三省
加藤の父 :上田耕一
怖い落語家(桂きん朝) : 温水洋一
組員 : 津田寛治田中要次ボブ鈴木
里香 : 伴杏里
地下鉄の駅員 :戸田昌宏
桜井の母 : 銀粉蝶
桜井の姉 :高木りな
ナオミ : Kim Min
久子 : 姿晴香
警官 : 田中哲司
少年A : 椿隆之
電話前の挑戦者 : 仲島武士
挑戦者 : 井田篤
加藤の女 : 飯田れな
加藤の女 : 森高千春
 
スタッフ:
監督:行定勲
音楽:めいな
配給:東映
上映時間:122分
 
主な受賞:
キネマ旬報賞 日本映画ベストテン
・日本映画ベストワン
・監督賞:行定勲
・主演男優賞:窪塚洋介
 
・優秀作品賞
・最優秀主演男優賞:窪塚洋介
・最優秀監督賞:行定勲
・優秀音楽賞:めいなCo.
・最優秀撮影賞:柳島克己
・最優秀照明賞:高屋斎
・優秀美術賞:和田洋
・優秀録音賞:柴山申広
・最優秀編集賞:今井剛
・新人俳優賞:窪塚洋介柴咲コウ
 
問題作だとは思うが、気負いすぎているような気がしないでもない。
この映画の中でも語られていたが、桜井も「ナニ人であろうと関係ない」という言葉。
その通りだと思う。また「日本人といっても、曾(ひい)祖父さん、そのまた曾(ひい)ひい・ひい・ひい・・・は、大陸からだろうし、もっと遡ればアフリカにたどり着く」と言うセリフもあった。やや説教めいたセリフだが、そういえば、むかし、笹川某という人も同じようなことを言っていた。
 
 
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