1970年代はじめに「ラスト・ショー」「ペーパー・ムーン」など優れた映画を送り出したピーター・ボグダノヴィッチ監督が、13年ぶりにロマンチック・コメディを監督し、現在75歳だが、健在ぶりを見せている。
10月の「東京国際映画祭」でも上映されたボグダノヴィッチ監督の作品は「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」(原題:She's Funny That Way, 2014)で、往年の”スクリューボール・コメディ”にオマージュを捧げた文句なく楽しい傑作であるという評価がなされている。
スクリューボール・コメディ(Screwball comedy)というのは映画のジャンルのひとつで、主に1930年代から1940年代にかけてアメリカで流行したロマンティック・コメディ映画群を指す。その特徴は、常識外れで風変わりな男女が喧嘩をしながら恋に落ちるというストーリーにある(スクリューボールとは、guchさんが詳しいように、野球における変化球の一種のひねり球で、転じて奇人・変人の意味を持つ)。
こんな話:
新進のハリウッドスターが、記者からインタビューを受けている。
高級コールガールを商売にしていたことを恥ずかしげもなく振り返り、そこから彼女のキャリアのきっかけを作った舞台演出家を巡る爆笑の物語が語られていく・・・といった内容。
この映画は、ボグダノヴィッチ監督にとっては、本格的な劇場用長編としては「ブロンドと棺の謎」(2001)以来、およそ13年ぶりとなる。
この映画の面白さは、当人たちの意図せぬところで繋がっていく人間関係が笑いを誘う脚本が秀逸であり、転がるように進行する物語を淀みなく流れに乗せ、90分にまとめるボグダノヴィッチの熟練の技が冴えて素晴らしいというもの。これぞまさに洗練の極みであり、ボグダノヴィッチ75歳にして新たな黄金期の到来を期待させてしまうほどである。
「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」予告編一部
予告編を見ると、雰囲気が最近のウディ・アレンの映画のようでもある。
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「おかしなおかしな大追跡」(1972)は、1972年の全米興行収入第3位。アメリカ喜劇映画ベスト100第61位。ライアン・オニール(「ある愛の詩」)とバーブラ・ストライサンド(「追憶」「ファニー・ガール」)の名コンビで、大いに笑わせた。スラプスティック・コメディ(体を張った動きの多い喜劇)の傑作と言われた。
主な監督作品:
「殺人者はライフルを持っている!」Targets (aka Before I Die) (1968)
「金星怪獣の襲撃 新・原始惑星への旅」Voyage to the Planet of Prehistoric Women (aka The Gill Women of Venus and The Gill Women) (1968 デレク・トーマス名義、ソ連映画「火を噴く惑星」に追加撮影・再編集)
「Directed by John Ford」 (1971, ドキュメンタリー)
「おかしなおかしな大追跡」 What's Up, Doc? (1972) ☆☆☆☆
「ペーパー・ムーン」 Paper Moon (1973) ☆☆☆☆
「Daisy Miller 」(1974)
「At Long Last Love」 (1975)
「ニッケルオデオン」Nickelodeon (1976) ☆☆☆
「Saint Jack」 (1979)
「They All Laughed」 (1981)
「マスク」 Mask(1984) ☆☆☆
「Illegally Yours」 (1988)
「ラストショー2」 Texasville (1990)
「Noises Off 」(1992)
「愛と呼ばれるもの」 The Thing Called Love (1993)
「ブロンドと柩の謎」 The Cat's Meow (2001)
「Hustle」 (2004, TV)
「Runnin' Down A Dream」 (2007, ドキュメンタリー)
「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」She's Funny That Way (2014)
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