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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「リリィ・シュシュのすべて」(2001)</span>


 
リリィ・シュシュのすべて」(2001)をついに見た。
リリィ・シュシュ」にまで、食指を伸ばすとは、fpdも映画の守備範囲が広い(笑)。
それも中学生たちが主役で、いじめ、万引き、恐喝、暴行、援交、リンチ、自殺、そうしたドロドロが描かれている映画であるのに・・・。
 
ブログ友のひろちゃんが、2000年代の映画ベスト10で「3位」に位置付けているからというわけではないが、岩井俊二監督自身が、この作品を自身の遺作にしたいという入れ込みようと、今が旬の女優を追っかけていたら、たどり着いたのだった。
 
この映画で、蒼井優が初主演(当時15歳)を果たし、同級生から援交を強いられる中学生を演じているほか、伊藤歩は20歳で中学生役で出演、レイプされ、丸坊主で、学校に現れる衝撃。

主人公・星野の母親役で、稲森いづみが出演するなど、女優陣がいまからみるとすごい。同級生が、「星野の母ちゃんは美人だよ。稲森いづみに似てんだよ」というのもおかしい。
 
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映画の内容はどうかといえば、なかなか一言では言い表せない。
映画の冒頭は、電車の中で、居眠りをしている年配者のカバンを置き引きする中学生たちのグループ。その後も、レコードショップで、棚からカバンにCDをごっそり万引きするシーン。駐車場では、高級車に乗った人から、財布を奪うなど、中学生の無軌道な悪質なシーンの連続。
 
インターネットの掲示板の書き込みを軸にしていて、その中身は、リリィー・シュシュという歌手をめぐるストーリーの展開が一面にあると同時に、中学生たちの葛藤などが描かれる。
 
映画の中で、電気が走るような画面のざわつきの中で、「RELOAD」(回復する傷?)という映像が再三あらわれる。どうやら映画のテーマは、抜け出せない”閉塞感”のようで、ラストでは、タコ(カイト)上げのシーンがあり、蒼井優扮する津田詩織が「カイトになりたい。空を飛びたい」という言葉を残して、まさに突然、あっけなく自殺してしまう。
 
最初の畑のシーンで、CDを聴いていたのが主人公の星野(忍成修吾)で、星野は小学生の時にいじめを受けていたが中学校では、悪がきのリーダー格になっていた。その星野から仕事として、津田は援交を強要されていたのだった。ラストシーンでは、同じ畑で、津田がリリィ・シュシュの曲を聴くシーンがある。
 
タイトルになっているリリイ・シュシュは劇中で主人公の蓮見(市原隼人)が夢中になっているカリスマ・ミュージシャンの名前だが、リリイの生涯を描いているわけではなく、題名に深い意味はない。

主人公の蓮見はいう。「僕にとって、リリイだけが、リアル」と。
リリイ以外は、現実のいじめや友人の裏切りも、すべてはリアルではなく、だから彼は生き続けることができるということか。
 

 
星野の命令に従っている蓮見(市原)に対して、津田詩織(蒼井)が、「あんた、(星野に)たかられてんだって」といって、津田が、蓮見を何度も蹴り上げるところがいい(笑)。そして、援交で得た何枚かの一万円札を投げ捨て、足でくしゃくしゃに踏みつけて、使えないようにするシーンも印象的だ。

悲劇ともいえる息苦しい場面が多い作品。
映画のキャッチ・コピーは「14歳の、リアル」。
14歳にとってのリアルを描いた映画ということのようだが、その時代の空気までも描いているということのようだ。

中学生仲間でお金を貯めて、沖縄へ行こうとするが、結局沖縄での、現地の人たちとの交流も描かれて、大沢たかお市川実和子などが出演しているが、沖縄のシーンは、必要だったのか。
 
「1980年12月8日、ジョン・レノンが殺された同じ日に、リリィ・シュシュは生まれた」とか、お金を貯めた中学生が、「沖縄へ行くより、プレステ2が間もなく発売される。
DVDも見られるらしい」「DVDって何?」といった、今から思えば当たり前のことが、その当時の時代の特徴を表していて興味深い。
 
岩井監督の「花とアリス」をアバターに使用しているひろちゃんは高評価の映画だが、今一つ、共感できるところがなく、乗り切れなかったのが残念。出演はほかに勝地涼など。
 
★★ 
 
 
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