岩井俊二監督作品で、67分という短い映画だが、爽やかな瑞々しい青春映画となっている。
若々しい松たか子がいい~い!
松たか子は、1996年の「ロングバケーション」、1997年の「ラブジェネレーション」のドラマですでに人気を不動にしており、1996年には、史上最年少(19歳)でNHKの「第47回NHK紅白歌合戦」の紅組司会に抜擢されるほどだった。1997年には歌手デビューを果たしている。
ストーリー:
四月、桜が満開の季節。
慣れない土地で独り暮らしを始める。おとなしい性格の彼女は、ズケズケとモノを言う変わった性格の友人・佐野さえ子(留美)やアパートの隣人の北尾照子(藤井かほり)など、個性の強い人々との触れ合いの中で、次第に心を開いていく。
だが、そんな卯月もさえ子に大学の志望動機を聞かれた時だけは、思わず言いよどんでしまった。実は、卯月には人に言えない不純な動機があった。それは、高校時代に憧れていたひとつ上の先輩・山崎(田辺誠一)と同じ大学に通いたかったからだ。
山崎を追って上京してきた卯月は、彼がバイトをしている「武蔵野堂」という本屋に頻繁に通うようになる。ある日、山崎はついに彼女のことを想い出してくれた。卯月は、都会の片隅で愛の奇跡を信じるのであった。
・・・
映画の中で、”劇中劇”として「生きていた信長」という時代劇映画を卯月は、数人の観客の中で見る。映画は、本能寺で殺されたのは信長ではなく家康だったという設定の映画だった。劇中劇で侍を演じていたのは江口洋介、伊武雅刀など。
卯月の座っていた座席の近くにいたサラリーマン風の観客(光石研)が、空き缶を下に落としたふりをして、徐々に卯月に近づいてきたので、カバー付きの本を席に置いて、その場を逃げ出してしまう。自転車で逃げる卯月を追いかけてくる男は、忘れ物だと言って、自転車の前かごに本を投げ入れるが、卯月はひたすら自転車をこいで立ち去った。都会は変な人間(痴漢など)がいると思ったことだろう。
それは1年前。卯月が高校3年に進級した時に、片思いだった山崎先輩が東京に行ってしまったのだった。先輩は、伝え聞くところ「武蔵野大学」という大学に入ったらしい。どうやら有名大学らしい。
卯月のナレーション:「担任の森山先生は、出来の悪い私が大学に受かったのは
”奇跡”だというが、これは”愛の奇跡”と呼びたい」と期待を膨らませる卯月だった。
中には「帰国子女です。」という女子もいて「英語はできるの?」と英語で話しかけてきた男が、デートを申し込んできたが、「タイプではない」と流暢なネイティブ英語で返されるシーンもいい。
卯月の自己紹介の順番になると「北海道旭川の出身です。性格は明るいほうだと思います。趣味はレコード鑑賞です」だった。のちに「釣りサークル」に誘われることになる佐野さえ子は「なんで、この大学に来たの?」としつこく聞いてきたが、「うーん」と返答に窮してしまう卯月。確かに楡野卯月という名前は覚えにくいが、「名前はなんだっけ」と何度も聞いてくる佐野さえ子は、かなり変人だった。
引越し業者が、アパートに荷物を運び込むシーンで、卯月も手伝いたく、何か自分でも手伝えないものかとうずうずするするのだが、なかなかタイミングが合わず、体をよけたりする動きが面白い。作業員からみれば「手伝わなくてもいいから邪魔をしないでくれ」と言いたくなるだろう(笑)。
狭い部屋に荷物がいっぱいになり、運送作業員の一人が、ベッドがあるのだから、布団2枚はいらないでしょう、と勝手に発言。すると、ほかの作業員は「お客さんが来た時など必要でしょう」というと、別の作業員は「いらない、いらない。俺の場合はいらなかった」というのだ。お前の事など誰も聞いていない(爆)。
気楽に見られて、後味のいい映画だった。松たか子のための映画と言える。
Gyaoの「昭和TV」で配信中。
☆☆☆
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:ついでにクリック・ポン♪。