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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「判決前夜 ビフォア アンド アフター」(1996)</span>


 
メリル・ストりープが主演ということで「判決前夜 ビフォア アンド アフター」(原題:Before and After、1996)を見た。オリジナルをカタカナにしただけのタイトルでは、
”家の大改造・ビフォア・アフター”に間違われるといっても、「前夜」はニュアンスが少し違う。平凡だが、”結審(最終判決)の行方”が近い。
 
裕福な家族4人(夫婦と息子、娘)がはた目には平和に暮らしていたが、あることがきっかけで、以前と以後(=ビフォア・アンド・アフター)では、歯車が狂ったように180度違う生活に叩き込まれるという話。B級サスペンス映画。
 

 
自分の家族(この映画では息子)がある日殺人容疑をかけられ、事件のあと、その息子が行方をくらまして、警官がやってきたら、家族の対応は・・・。家族3人の対応は全く違うものだった。
 
彫刻家の夫ベン・ライアン(リーアム・ニーソン)は、事件の朝、17歳の息子ジェイコブ(エドワード・ファーロング)とは折り合いが悪いらしく、いつものように口論して、家を出たのだが、その時にジェイコブから「あんたは偽善者だ」という言葉を残していた。
 
このベンという父親、初めから息子は無実に決まっている、という前提で行動し、たとえ犯人だとしても、あらゆる手段を使っても「息子を守る」と、気が動転していたとはいえ、事実関係を確認することもなく、息子の不利になるような証拠をすべて隠滅しようとするのである。あとから、その隠滅が、息子を後々苦しめること、自らが窮地に立たされることなど考えずに・・・。
 
ベンの行動は、どれをみても、イライラさせられどおしで、親のエゴ丸出し。
 
一方、妻キャロライン(メリル・ストりープ)は、病院で女医として働いているのだが、病院に担ぎ込まれてきた少女が、ジェイコブのクラスメートでキャロラインも知っているマーサであり、無残な傷を負わされ、間もなく死亡するのである。家に戻ったところで、そのマーサとジェイコブが交際していたことがわかり、マーサとジェイコブの口論している姿は目撃されていた。
 
警察の署長を追い返してから、ベンがジェイコブの乗っていた車のトランクを開けると、中には血のついたジャッキがあった。動転したベンはジャッキを洗い、トランクの血痕を消し去る。
 
ベンからこれを聞いたキャロラインは証拠隠滅がかえってジェイコブの不利になると主張。事実を伝えることと息子の消息・安否の確認が先と、ベンの独りよがりの判断を制止するのだが、”一家の家長”としての夫に従っていく・・・。
 
そんな中で、もっとも冷静で、的確な判断をしていたのが、皮肉なことに大人たちではなく、ジェイコブの妹ジュディスだった。
 

 
ジェイコブが姿を現さないまま、警察の捜査が開始。事件から5週間。ジェイコブは発見され逮捕される。
 
・・・
留置所に両親が面会に行っても、何も語らないジェイコブ。
裁判の前に、一時的に保釈が認められ、ジェイコブは家に戻るが、家族にも口を閉ざしたまま。ライアン家は、今や、人殺し一家、と周囲からは冷たい視線を浴び、キャロラインも病院を休職させられる。
 

そんな中、家族4人の夕食の席で、ジェイコブが口を開き、すべての真相を語る・・・。
 
そこには隠された衝撃の事実が・・・(あとは、省略。笑)。
 
・・・
最初、友人のウェルドンジョン・ハード)弁護士を雇っていたが、民事専門だったため、その弁護士の紹介で新たに刑事事件の敏腕弁護士デメリス(アルフレードモリー)を雇うことになる。
 
事実関係、家族の亀裂、裁判の行方、公正な判事が下した判決、などが見どころだった。
 

 
お金持ち一家の、アメリカでも裕福な夫婦、とりわけベンは、弁護士が外見がヒスパニック系で、やや見下した目で見ていたが、そんな色眼鏡で見られることなどものともせず、息子の弁護を有利に進めるために、的確なアドバイスをして、尽力するデメリスを演じるアルフレードモリー(「スパイダーマン2」「ダ・ヴィンチ・コード」)という俳優が、シャープで正論をいうところがいい。
 
ジェイコブ本人は、事実関係をすべて伝えたが、公正な判事の最終判決は、いかに・・・。 軽い? 厳しい? 妥当? (弁護士が”頭を抱える”ほどであり、やや厳しい判決であったことはまちがいない)。
 
考えさせられる映画ではあった。
 

 
96時間」の誘拐された娘のために奔走する元CIAや、ホローコーストから多くのユダヤ人を救った「シンドラーのリスト」のシンドラーを演じたリーアム・ニーソンだが、この映画に関してはまったく感情移入できない父親を演じていた。どう見ても”ソン”な役では。息子ジェイコブを演じていたエドワード・ファーロングは、見たことがあると思ったら「ターミネーター2」(1991)の少年を演じていた俳優だった。
 
 
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