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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「或る夜の出来事」(1934)


或る夜の出来事」( It happened one night、1934)予告編
 

 
名作の誉れ高い或る夜の出来事」(1934)をようやく見た。
映画の一ジャンルといわれる「スクリューボール・コメディScrewball comedy)」の代表作とのこと。
 
主に1930年代から1940年代にかけてアメリカで流行したロマンティック・コメディ映画群のことで、その特徴は、常識外れで風変わりな男女が喧嘩をしながら恋に落ちるというストーリー。(ちなみに、スクリューボールとは野球における変化球の一種のひねり球で、転じて奇人・変人の意味を持つ)。
 
原作は当時の売れっ子作家サミュエル・ホプキンス・アダムズが、雑誌コスモポリタンに載せた小説「夜行バス」。
 
これを、名脚本家でキャプラのよき相棒でもあったロバート・リスキンがシナリオを書いた。全編を通じて、おしゃれな台詞、キビキビした物語の展開は最後まで飽きさせない。
 
アカデミー賞では主要5部門でノミネートされ、5部門とも受賞した(作品賞監督賞フランク・キャプラ主演男優賞(クラーク・ゲーブル主演女優賞(クローデット・コルベール脚色賞)。この5部門(脚色賞/脚本賞含む)を全て制したのは、1975年の「カッコーの巣の上で」まで実現していないというから、当時は大記録だったようだ。
 
ニューヨークの屈指の大銀行家、アンドルース(ウォルター・コノリー)の一人娘エリー(クローデット・コルベール)は、頑固な父親の反対を押し切って、飛行家キング・ウェストリー(ジェームスン・トーマス)と婚約。
 
それに怒った父は、娘をヨットに監禁してしまう。ところが、すきを見てエリーは海に飛び込んでしまい、キングのいるニューヨークに向かう。そして、マイアミからニューヨークに向かう夜行バスに乗り込んだ。
 

そこに乗り合わせたのが、上司とウマが合わず失業中の新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)。ほんの些細なきっかけから、二人は座席を争って大げんかするが、そのうちにお互いの心に恋が芽生えていく。
 
バスを降りた二人は、乏しい持ち金をやりくりして、安宿の一室に泊まることになるが、部屋の真ん中にロープを張り毛布を掛けて、「ジェリコの壁」と呼ぶ。なかなか素直になれない二人だが、お互いの恋心は強くなる一方であった。
 
それでも、お互いの気持ちを隠し合い、意地を張りながらエリーとピーターは別れてしまう。エリーは父親の元に帰り、いよいよ結婚することになった。
 
結婚式の当日、真の恋人はピーターしかいないと、ようやく悟ったエリーは、父とプレイボーイを式場に置き去りにして逃げ出すのだった・・・(Gooより)。
 
エリ―の父親が、「エリ―を探した人には賞金を出す」という広告が新聞に出る。ピーターが「お金のことで相談がある」とエリ―の父親に連絡してきたのを知り、「あ、やっぱりな」とお金目あてかと思い込んだのだったが、予想外の展開になり・・・。
 
ラストシーンでは、結婚式場で、誓いの言葉の最中に花嫁が、よもやの脱走・・・。
プレイボーイとの結婚に反対の花嫁の父親も、にんまり。「卒業」のラストシーンの花嫁の脱走のようだ・・・。
 
エリーとピーターとの間にあった「ジェリコの壁」が取り払われることになった、という
オチはウイットに満ちている。脚本が素晴らしいということがあるだろう。
 
ピーターが、エリ―の父親に、お金のことで相談があるといったのは、エリ―の懸賞金の額のことではなくて、実際に自分で使った少額の経費のことだったのだ。この一例からも、父は、ピーターが几帳面で、しっかりしていると見抜いて、自分の娘の夫にふさわしいと判断するのだ。
 
クローデット・コルベールが、小粋だ
富裕層にありがちである甘やかされた自己中心的な令嬢役をコミカルに演じ、アカデミー主演女優賞を受賞。1936年には年収30万ドルを稼ぎ、アメリカで最も高収入の女優の一人となった。フランス出身でバイリンガルのようだ。
 
クラーク・ゲーブルが、「風と共に去りぬ」(1939年)の前に、コメディタッチの傑作映画に出演して、アカデミー賞主演男優賞を獲得。
 
古典的なラブ・コメディの秀作というのがよく理解できた。
 
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