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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「わが教え子、ヒトラー」(2008)

 

わが教え子、ヒトラー
(2008、原題:Mein Führer=私の指導者は、独裁者アドルフ・ヒトラーに演説を指導した教師がいたという史実を下敷きにしたドイツ映画である。
 
”教え子”というタイトルでは、まるで子供時代の教師から見たヒトラーというような受け止め方をされてしまいそうだが、まったく違う。
 
ヒトラー関連の映画というと、堅苦しい映画ではないかという先入観あったが、ユーモアと風刺が効いている。これはコメディだ
 
ヒトラーと密室で対面したユダヤ人の教授に扮しているのが、「善き人のためのソナタ」で名演技を示し、後に亡くなったウルリッヒ・ミューエ。
 

 
ヒトラーにも弱点があった。幼いころ父親から厳しくしつけられ、虐待を受けていたことがトラウマになっていた。
 
そのことを、ヒトラーが教授に話すと、教授は、「無抵抗な子供をいじめるのは、弱い立場のユダヤ人をいじめるようなものだ」と諭すのだが・・・。
 
この映画の監督は、レヴィというユダヤ人。
ヒトラーナチスを笑うことにより、独裁者の愚かさを描いている。
 

登場するドイツ軍人たちは、あいさつ代わりに「ハイル・ヒットラー!」とハイル!
ハイル!と口にして、自分の軍の位を言う。その滑稽さも描く。
 
実際には、「ハイル・マイン・フューラー!」という。この映画のタイトルのMein Führer (マイン・ヒューラー=私の指導者)のことで「ヒトラー万歳!」ということだ。
 怪物のイメージがあるヒトラーだが、実は孤独で暴力に向かう哀れな男として描かれている。
 
ヒトラーが演説の前の日に予想もしなかった事態が起こる。
そして、演説の当日となるのだが・・・。
 
ヒトラーユダヤ人教授との関係は、あたかも「英国王のスピーチ」におけるジョージ6世とライオネルの関係にも似ている。
 
BSで放送されたので、見た。同じ時間に名作「ラスト・ショー」(1971)があったが、こちらは、封切りで見ており、感動しているので「わが教え子、ヒトラー」を見ることにした。
 
☆☆☆