「ジョジョ・ラビット」(原題:Jojo Rabbit, 2019)を見た。MOVIXさいたま(初日・初回)にて。アメリカ、ドイツ合作。今年のアカデミー賞の作品賞ノミネート作品9本のうちの1本で、助演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)など計6部門でノミネートされている。トロント国際映画祭観客賞を受賞している。
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舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友だちのアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)の助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。
しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、教官から”ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかわれてしまう。
そんなある日、母親(スカーレット・ヨハンソン)とふたりで暮らしていたジョジョは、家の片隅に隠された小さな部屋で、ユダヤ人の少女エルサ(トーマサイン・マッケンジー)がこっそりと匿われていることに気付く。
ジョジョが頼りとしているのは、ちょっぴり皮肉屋で口うるさいアドルフだけだが、アドルフの目を気にしながらも、エルサに惹かれていく。
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この映画は音楽ファンにはたまらない映画だ。
タイトルが出る前にかかる曲は、なんとビートルズの「抱きしめたい(ドイツ語版)」だ。ビートルズ世代としては、感涙もの!
こちら:https://youtu.be/6qAazPVLONM
ほかには、「タブー」(レクオーナ・キューバン・ボーイズ)「ディプシー・ドゥードゥル」(feat.チック・ウェブ・アンド・ヒズ・オーケストラ) (エラ・フィッツジェラルド)「大人になんかなるものか」(トム・ウェイツ)「ヒーローズ (ドイツ語版)」(2002 Remaster)(デヴィッド・ボウイ)などだ。
この映画を監督したのは、俳優でもあるタイカ・ワイティティ監督で、劇中のヒトラーも演じている。描かれるのは、10歳男児の目を通して見た“戦争”という世界であり、戦時下に置かれた男児の“心”。無知で愚かで純粋無垢。経験の足りなさゆえ、妄想と思い込みの中でマジメに生きる生物。この映画のユーモアはほとんどが、そうした愛すべき男児のアホさ、けなげさ、滑稽さから来ている。
これまで、ナチス物の映画は数多く作られたが、戦争への辛口で、ブラックなユーモアを効かせたヒューマンドラマとしては面白い。スローモーションの映像のすばらしさや、戦争の悲惨さ、爪痕も描いている。ジョジョが、ユーゲントの親友に「友達の女の子というのは実はユダヤ人だ」というと、関係ないよ、と気にしないのがいい。
スカーレット・ヨハンソンは今回のアカデミー賞で「マリッジ・ストーリー」では主演女優賞、「ジョジョ・ラビット」では助演女優賞とWノミネートされているが、ライバルが強力で果たしてどちらかでも獲得なるか。