「恋におちて」(Falling in love) trailer
「恋におちて」(1984)は、ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープの名優共演で描いた大人の純愛(不倫)映画。ハリウッドの男優、女優の演技派ナンバーワンをそれぞれあげるとすれば、躊躇することなく、この二人を挙げるだろう。
二人とも、分別と理性を備えている普通の大人だが、やがて、意識し始め、その思いに歯止がきかなくなり・・・。
劇場公開時に見ているが、きょう再見した。
初めて見たときには、軽いタッチのラブ・ストーリーという印象だったが、改めてみると、かなりシリアスでもあり、家族を持つ男(デ・ニーロ)も夫がいる女(ストリープ)のそれぞれの伴侶、またそれぞれにいる、何でも話せる親友の存在などが、ストーリーに深みを与えている。
列車が大きな要素となっている。
同じ電車に乗り、降車駅はひと駅異なるが、オープニングから、主人公の二人を
同時に映し出すが、近くを素通りしたり、電話ボックスでとなりになったりするがなかなか出会わない。「いつ出会うのか?」観客はやきもき・ハラハラする(笑)。
結局書店で、出会うことになるが・・・。
クリスマス・イヴのニューヨーク。
書店で運命的な出会いをしたフランク(デ・ニーロ)とモリー(ストリープ)。ふたりは同じ通勤列車に乗り合わせた事をきっかけに急速にお互いを意識し始め、デートを重ねる度に精神的にも魅かれ合って行く。
すでにそれぞれ申し分のない家庭があり、「これ以上はいけない」と思いつつも、互いの感情を押さえられなくなってきた頃、双方の家族に浮気がばれてしまう・・・。
主演二人の演技が実に自然なムードで展開。
ロマンチックな大人の恋愛作品ということだが、モリーは、デートの前に、まるで20代の女性のように洋服をとっかえひっかえ鏡の前に立つ。「やだ、これじゃあエレノア・ルーズベルトだわ」とわくわくする半面「何してんだろう。気は確か?(What are you doing?)」と自問し、ブレーキが常にかかる。ラグビー選手のような肩幅の広い洋服を着たり、ピンクのド派手な衣装になったり、女学生のようなしぐさがかわいい(爆)。
デ・ニーロも、ギャング映画のような強面は一切なく、心やさしい「普通のおじさん」ぽい服装などが決まっている。友人に「俺はハンサムか?」と聞いたりする。
当時の映画のうたい文句:
男は走り、女はためらうマンハッタン発、愛の終列車―
フランクの友人が、”アパートの鍵貸します”ではないが、以前から、自分の家を使うことがあったらいつでも「使っていいよ」といっていたので、そこに行くことになったのだ。モリーは、結局、理性が目覚め、一線だけは越えることはなかった。
フランクは、家に帰ると妻から「何か隠していることがあるでしょう」と問い詰められ、「別に」という歯切れの悪さに、さらに問いつめられ、白状することに。「女性に会った。しかし、なにもなかった」「なにもなかった」と数回繰り返して言っていた(笑)。
奥さんから、平手打ちを一発お見舞いされ、奥さんと子供二人はしばらく実家に帰るということに。
一方、モリーは、時々電話がモリーにかかってくることなどから、夫は、妻の不倫を察していた。おりしも、フランクから電話。最悪のタイミング。フランクは「引越し中で、空港に向かう前にひと目でも会いたい」という。夫の「終わったはずだ!」の制止を振り切って、モリーは家を飛び出してしまう。(結局、この時は会えなかったのだが)
時は過ぎ、数カ月後、再びクリスマス。
と再開し・・・。
話の様子から、フランクの家族はいまだに別居中で、モリーも「あれから」といいかけて話を止めたところを見ると、別居しているような様子がうかがえた。いったん「メリー・クリスマス」と別れたがフランクは、モリーの乗る電車に乗るために走って、電車に飛び乗った。車両の中で、二人は見つめ合い、微笑む。
出演:
ロバート・デ・ニーロ | (Frank Raftis) |
メリル・ストリープ | (Molly Gilmore) |
ハーヴェイ・カイテル | (Ed Lasky) |
ジェーン・カツマレク | (Ann Raftis) |
ジョージ・マーティン | (John Trainer) |
デイヴィッド・クレノン | (Brian Gilmore) |
ダイアン・ウィースト | (Isabelle) |
ヴィクター・アルゴ | (Victor Rawlins) |
☆☆☆