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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「12人の優しい日本人」(1991)</span>





裁判劇・密室劇は、サスペンスに満ちて面白い。

古くは「十二人の怒れる男」「情婦」「白と黒のナイフ」などがあり、邦画では「キサラギ」など。

12人の優しい日本人」(1991)は、タイトルからわかるように、アメリカ映画の名作「十二人の怒れる男」をベースにしている。そして「日本にも陪審員制度があったら」という架空の設定で描かれる法廷・密室劇である。

ことしから、日本でも、陪審員制度が導入されたことを思うと、18年も前に今日を予見したような映画で、興味をそそられる。

原作は、三谷幸喜東京サンシャインボーイズのために舞台用に書き下ろした。

映画の監督は、中原俊豊川悦司の映画デビュー作(当時29歳)で、若いが、今日の演技派ぶりを
伺わせる存在感があった。

「十二人の優しい日本人」というタイトルが示すように、「良くも悪くも日本人の優しさ」(優柔不断な点などの皮肉もこめられているのか?)がみえる。

「人が人を裁く」ということに抵抗を示したり、陪審員に選ばれたものの、なかかな自分の意見を主張する人は少なく、回りの流れに迎合するなど、主張をコロコロ変える様がユーモアも交えて描かれている。12人のキャラクターは個性的に描かれていて面白い。

全員一致の評決にならないと、不成立ということで、別の陪審員グループに受け継がれるというシステム。最初の評決は「有罪1、無罪11」でスタートするのだが、だんだんと雲行きが怪しくなり、予断を許さない展開となる。




物語は、ある殺人事件の審議のために12人の陪審員が集められたところからはじまる。

最初に、陪審員の進行を務める1号が、飲み物を注文するために全員にほしいものを聞くが、そのあたりで、まずばらばらで、先が思いやられる予感がうまく描かれている。

12人は、1号、2号と呼ばれ、職業も年齢も様々。被告人が21歳と若くて美人だったことから審議は簡単に無罪で始まり、すぐ終わるかに見えたが、討論好きの2号が無罪の根拠を一人一人に問い詰めたことから、審議は意外な展開へ進んでいく。

有罪派と無罪派と分裂、さらに陪審員達の感情までもが入り乱れ、被告人が有罪の線が強くなっていく。ところがその時、他の者から浮いていた11号が事件の謎解きを推測し始め、それによって事件の新たなる真実が判明する。そして事態はまたまた逆転し・・・。

最後に意外な事実がわかり、事態は一挙にある方向に・・・。果たして。

舞台はまったくの密室のみ。

ある男性の死をめぐって事件か事故か、有罪か無罪かで激論を交わす様が面白い。
12人の性格描写が面白い。ある人は、まったく裁判などは不向きで、部屋にいること事態を嘆く。
主体性のまったくない人もいる。何にでも口を挟む者など、どうなるかと思ったが、結果は、なんとかまとまっていく。ユーモアのある結末だった。

陪審員1号 : 塩見三省
(女子校体育教師・40歳)
陪審員2号 : 相島一之
(精密機械製造会社々員・28歳)
陪審員3号 : 上田耕一
(喫茶店店主・49歳)
陪審員4号 : 二瓶鮫一
(元信用金庫職員・61歳)
陪審員5号 : 中村まり
(商事会社庶務係・37歳)
陪審員6号 : 大河内浩
(医薬品会社セールスマン・34歳)
陪審員7号 : 梶原善
(タイル職人・32歳)
陪審員8号 : 山下容莉枝
(主婦・29歳)
陪審員9号 : 村松克己
(開業歯科医・51歳)
陪審員10号 : 林美智子
(自営クリーニング店おかみさん・50歳)
陪審員11号 : 豊川悦司
(“自称”弁護士(役者)・年齢不詳)
陪審員12号 : 加藤善博
(大手スーパー課長補佐・30歳)
守衛 : 久保晶


☆☆☆