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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「キャプテン・フィリップス」(2013)

 
2009年にソマリア海域で実際に起こった海賊船による貨物船人質事件を扱ったサスペンスドラマ「キャプテン・フィリップス」(原題:Captain Philips, 2013)を見た。見ごたえがあった。トム・ハンクス主演で、監督は「ボーン・アルティメイタム」「ユナイテッド93」のポール・グリーングラスソマリア人の海賊を演じた役者たちが、生き生きしていてその緊迫感などに引き込まれた。
 
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2009年4月、米バーモント州アンダービル。「マークス海運」の名前が見える。
援助物資として5000トン以上の食糧を積み、ケニアに向かって航行していたコンテナ船マークス・アラバマ号は、ソマリア海域で海賊に襲われ、瞬く間に占拠されてしまう。
 
53歳のベテラン船長リチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、20人の乗組員を解放することと引き換えに自ら拘束され、たった1人でソマリア人の海賊と命がけの駆け引きを始める。米海軍特殊部隊(SEALS)の救出作戦とともに、緊迫した4日間を描いている。脚本は「ニュースの天才」「アメリカを売った男」のビリー・レイ
 
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映画のモデルとなったリチャード・フィリップスは、映画を見て、トム・ハンクス演じるフィリップスの目の演技で恐怖が伝わったとして、絶賛したという。現実はもっとひどかったが、という感想。
 
ハリウッド映画は、「事実の基づく」といった映画が多いが、この映画も、制作・公開されたのは、事件のあったわずか4年後であり、企画はすぐに始まっていたことがうかがえる。
 
この映画の面白さは、ソマリア人の海賊の4人のそれぞれの性格描写などが細かく描かれていること。漁師たちだが、将軍と呼ばれるボスの厳しい命令で、海賊となって、船舶を襲い金品を奪ってきたのだ。収穫なしで帰れば、厳しい叱責や仕置きが待っていそうだ。
 
                                         武装したソマリア人の海賊たち。

 

海賊がアメリカの貨物船の船長に「金庫にいくらある?」と聞くと、「30,000ドル(約300万円)あるから、ソマリアに帰れと」と応えるが、敵もしたたか。「バカにするな。そんなはした金じゃない。乞食扱いするな」だった。当時テロ集団として話題になっていたアルカイダの名前を引用して「俺たちはアルカイダではない。これはビジネスだ」とうそぶく。キャプテンを人質にして、数百万ドルの身代金をせしめようとたくらむのだった。
 
                                 無線で援軍を要請する船長。
 
           海賊たちを交渉で説得する船長だが・・・。
 
海賊は、船のどこかに船員たちが隠れているとみて「徹底して隅から隅まで探していく」と言って捜し始めるサスペンスや、米海軍特殊部隊の交渉人が、ソマリア人の海賊4人の身元の割り出し、海賊たちに、一人ひとりの名前をぶつけて、交渉していく姿や、その交渉術や駆け引きなどが面白い。
 

        「殺すなら、オレを先に・・・」と訴える船長。


4人のソマリア人は、隠れた乗組員が出てこないと、1分ごとに一人づつ殺すと脅迫。船長のフィリップスは、「殺すなら私をさきに」と訴えるが、船長は、取引の条件にしたいため生かしておくと考える海賊。

 
4人のソマリア人のうち、最年少は無理やり駆り出されたような16歳くらいの若者もいた。この若者は、フィリップス船長との交流で、将来の生き方などを諭されていたのだが、海軍特殊部隊の銃の標的になり命を落としてしまう。この時のフィリップス船長の複雑な心境がにじみ出ていた。
 
負傷して、病院で治療を受けるフィリップスに向かって、早口で話しかける女性医師の言葉は、機械的に聞こえむなしくフィルップスの耳をすり抜けていった。3人のソマリア人のうち3人は射殺され、残ったリーダー格の男は、30年余の刑務所行きとなった。フィリップスは、新たな任務を背負って職に就いた。
 
トム・ハンクスの出演映画に外れなし、という映画だった。
 

 
駆逐艦やヘリコプター、無線機の傍受、救命艇、落下傘部隊、海賊と船舶の乗組員との駆け引き、救命艇のなかの「座席番号15番」という意味するところなど、見所が多かった。
 
  予告編
 
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