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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">日本の名監督紹介は見ごたえがあった(TV SMAP)</span>






きのうの「SMAP&SMAP」は引き込まれた。

映画記者役で、案内役の広末涼子がいい女優になったなと、思った(おっと、脱線)。
助手役が、日本の偉大な監督について知らない、という若い視聴者の目線で
レポートしていたのがよかった。その、知らなかった助手が、監督の偉大さに
引き込まれていくラストのころの番組のシーンは、なかなかいいです。

TVでは、日本が世界に誇る日本映画の ”3大監督”を紹介していた。

まずは、小津安二郎監督
カメラを低く固定した「ローアングル」手法が有名だが、畳を画面にほとんど写さなかった
背景などが面白かった。照明の光のアンバランス(光の反射などによる)の関係だったのだ。

東京物語を今はない銀座「並木座」で見たのは、1970年ころ(このブログのメイン写真に)。
ずいぶんとゆったりした映画で、日常を描いていたのが印象的で、画面の構図なども、
綿密に計算されつくされていたことをきのうのTVではじめて知った。そうだったのかと感動したのは、
「最初のシーン」と「最後のシーン」の構図が同じだったこと。唯一つ違うのは、
二回目のシーンでは、奥さんが亡くなっていなくなったこと(隣にいない空間を描く)で、
寂しさを表現したのだという。外から声をかけてくる近所のおばさんの挨拶のせりふも、
最初と最後でほとんど同じ・・・というところも凄い。(奥さんが亡くなられて)
「さびしくなりますね」のせりふがあるが。

セリフを二度繰り返す、というのも「なるほど」と思った。俳優の感情をより深く表現する
ためだという。「東京物語」のほかでは、「小早川家の秋」を見た。淡々と描いて、やはり
非凡なのでしょう。

次に溝口健二監督
「赤線地帯」くらいしか見ていないが、”ワン・シーン・ワン・カット”を見ると、確かにカットのつなぎがなく、「雨月物語」では、2人の女性が、竹やぶの中を走るシーンが延々と続く・・・。まったく、カットのつなぎがない。女優も、一瞬たりとも息を抜けないことがわかる。田中絹代のせりふ一つに徹夜だったというのも、こだわりが凄い!

フランスのゴダール監督は、「世界の3大監督は?」との質問に答えて、言った言葉。
「1に、溝口、2に溝口、3に溝口」というのは、迫力がある(笑)。

最後に、世界のクロサワ(ナベアツではない)黒澤明監督
すべてのシーンについて、「絵コンテ」を自ら描いて、すべてのカットを自身でつくる、
というのは知っていたが、「天国と地獄」のシーンで、鉄橋を渡る列車から見える
風景で、2階建ては邪魔だから、取り壊して平屋にして撮影し、あとで、修復代を払って
立て直させたというのは、聞いたことがあったが、改めて徹底・完ぺき主義に驚かされる。

七人の侍の名シーン。
敵の軍勢をおびき寄せて、戦う有名なシーン。
西部劇の迫力にはかなわないから、「雨を降らせた」シーンにしたという。そしてあの迫力。
見る側は、あのシーンを見て、あまりにも迫力があり、リアルで言葉も出ないほどだった。

椿三十郎のラストシーン。
あまりにも長い時間の緊張。
「まだか、まだか、・・・」と観客をじらせる間合い(笑)。
いい加減、待った後で、あのシーン!(納得!)

名監督のこだわりを感じさせた、TV番組だった。