fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ブラックブック」(2007)

 「ブラックブック」を昨日最終の回で観てきました。

東京では、新宿・高島屋タイムズスクエアの「テアトル・タイムズスクエア」でしか上映されていませんでしたね。はじめて行ったこの劇場、椅子席が45度近く傾斜していて、どの席からでも「視界良好」で気に入りました。

この映画は、最初から最後まで、カリス・ファン・ハウテンという女優をカメラは追っています。単なる美しさだけでなく、キュートさ、演技力で見せて(魅せて)くれます。
 
このハウテンには、参りました。ノックアウトされました。実に魅力的です。大げさに言えば、この10年間では、ベスト1女優にランク付けしたいと思います。
監督が「氷の微笑」「ショーガール」などのポール・バーホーベンですから、ちょっとエロチックなところもあり、映画の展開に釘付け、といったところです。画面の色調もよく、1944年の戦争末期の状況がよく出ていました。戦争を題材にしているものの、サスペンス、ストーリーの展開などエンターテインメントとして楽しめました。

ブラックブック」という日記帳がタイトル。詳しい説明はないが、この手帳には裕福なユダヤ人のリストが。このリストを元に、脱出を手助けする風に見せながら、虐殺し、金品を強奪するというものでした。恐ろしい手口です。

当時、生きるため、お金のためなど、他人を売っても生き延びようとする人間たちを、痛烈に描いています。ポスターの宣伝に「裏切り」とありますが、誰が信じられるのか、まさかという人が「裏切り」を行なっていたということが、次々に明らかになるストーリー展開。

そんな中で、奇跡的としか言いようのない、生き抜いたひとりのユダヤ人女性(カリス・ファン・ハウテン)の波乱の日々を描いていました。現在は、イスラエルの地で、夫と子供二人に囲まれて生活しているが、ふと振り返っての回想からスタートしていきます。

ユダヤ人迫害によって家族を射殺された元歌手のラヘル(ハウテン)が、ドイツ将校ムンツェに近づいていき、復讐に乗り出すという、言ってみれば「女の武器」を利用!。しかし、ムンツェを本気で愛してしまうことから、さらに数奇な運命を辿っていくことになる・・・。

ラヘルから改名したエリスは、凄まじい状況の中で、毅然と、またしたたかさで、スパイとして活動していく。裏切り者が、複雑に入り組んでおり、展開はいかに・・・と最後まで興味を引く映画でした。
 
ドイツ将校に、ベッドで「髪を染めているな。ユダヤ人ではないのか?」と迫られたときのハウテンの裸の体当たりの演技。胸をさらし、腰をさらし「これがユダヤ人?」と逆に訴える・・・。参ります。余談ですが、アンダーヘアまで、染めるシーンも…。オランダのアカデミー賞といわれる賞で「主演女優賞」を獲得しているのは当然過ぎるでしょう。

映画のラストで、平和に見えた新天地でも、再び戦争の影が・・・。余韻を残しています。

 ☆☆☆☆

【追加】ちなみに「fpdの映画スクラップ帖」リストには、「アランドロンのシネマコンサートの会」に参加させたい人リストがあります。筆頭は札幌のguchさん(笑)。

殺したい人のリストはありません。「殺人許可証」(License to kill)を所持していないので。