「STEP-UPステップアップ」久しぶりのダンス映画を見た。
ブラック音楽好きのファンは必見でしょう。
出演者はほとんどが新人。監督は女性監督で、「恋は邪魔者」などのアン・フレッチャー。
落ちこぼれの若者、チャニング・テイタム(タイラー)は、ボルチモアの黒人街に住み、
ダンスが得意。アートスクールの窓ガラスを壊し、機材などを破損させたことで、罰としてその
学校(上流の子弟が通う)で、掃除をさせられることに・・。学校では、ダンス・コンテストを
目指すノ-ラ(ジェナ・ディーワン)が、いた。母親は、一流大学入りを希望しているが、
ノーラの夢は、ダンスの道を歩むことだった。そのためには、まもなく開かれるコンテストで、
ダンス業界の重鎮の前で、実力を示さなければならない。パートナーが怪我で、リタイヤしたこと
から、タイラーと組むことになるのだが・・・。お互いに好意を持つようになるが、紆余曲折。
いったんはあきらめて、母親の勧めで大学行きにかたくむが、その母親が、娘(ノーラ)が
小さいころからダンス好きで、写真等を眺め、将来もダンスをしたいのだったということを思い
起こし、本人の希望通りの道を進むよう伝えるシーンなど、なかなかジーンときます。
ジェナ・ディーワンは、いや魅力的です。練習中では、真剣そのものの表情だが、化粧すると、
ぞくっとする、美しさを見せる。それほど長身ではないが、タイツ姿で踊るシーンでは、すらりと
均整のとれた肢体がすばらしい。どこかで見たことがあると思ったら、未公開(機内で見た)映画
「Take The Lead」(アントニオ・バンデラスが、実にかっこいい役)にでていた。女優のサリー・
フィールドに似ているな、と思いました。女校長役のレイチェル・グリフィスは、味のある役柄で、
コンテストの結果に大満足の表情がいい。チンピラ青年タイラーに、コンテスト後、耳打ちして、
「成績証明を持って、月曜日に、来るように」(転校希望を受け入れたということ)というせりふ
など、ちょっと粋だった。
映画全体の進み具合やテンポはやや粗雑だが、最後のクライマックスは、いってみれば
「フラガール」のラストの感動的シーンに通じる
ものがあり、すばらしかった。
クラスメートを動員して演じられる新旧ダンスは審査員たちにも受け入れられ、主役の2人は
ダンサーとして見事に“ステップ・アップ”することになった。青年のダンスのスキルはずば抜けて
いるわけではないが、階級社会のアメリカでは、パフォーミングこそがクラス間の壁をぶち破る手段
として有効なことが、物語の根底にあるようだ。
ダンス映画としては、「フラッシュダンス」「ダーティ・ダンシング」などがあったが、
「ダーティ~」が好みだったので、それに近い内容で、小品ながら好感の持てる映画でした。
青春映画で、元・青年(笑)には、どうかなという当初の危惧はふっとんでしまった、いい映画で
した。