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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(2019)を見る。ミステリー。

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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(原題:Knives Out、2019)を見る。アガサ・クリスティーの「オリエント急行殺人事件の」のポワロ探偵の謎解きミステリーに似ているなと思ったら「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」監督のライアン・ジョンソンが“ミステリーの女王”アガサ・クリスティーに捧げ100%オリジナル脚本で撮り上げたというのだ。

宣伝文句は、一瞬先も読めない、巧みなストーリーテリング。オールスターキャストたちの役との奇跡の一体化。究極のハイテンション・ノンストップ・ミステリーが誕生!と仰々しい。映画批評サイトのロッテントマトで批評家/観客共に満足度96%という驚異の数字を叩き出した本作。

出演は、事件の被害者である富豪のミステリー作家ハーランにクリストファー・プラマー。プラマーは、この作品の前に「ゲティ家の身代金」という映画で、やはり大富豪を演じていて、役柄が重なる。

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事件の謎を解く個性的な名探偵ブノワ・ブランには、ジェームズ・ボンド役でおなじみのダニエル・クレイグ。さらに「アベンジャーズ」シリーズのキャプテン・アメリカ役、クリス・エヴァンスが一族の問題児を怪演。そのほかジェイミー・リー・カーティストニ・コレットマイケル・シャノンドン・ジョンソン、アナ・デ・アルマスと、かなり“クセ者感”のある実力派たちが勢揃いした。

・・・

NY郊外の館で、巨大な出版社の創設者ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が85歳の誕生日パーティーの翌朝、遺体で発見される。 警察はハーランの死因を自殺と認定するが、正体不明の者が私立探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)を雇い捜査を依頼する。

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ブランはハーランが家族と緊張関係にあったことを知る。ハーランは実の娘リンダの夫であるリチャードの不倫をばらすと脅していたし、義理の娘ジョニへの小遣いは猫ばばを理由に減らしていたし、次男ウォルターは出版社をクビになっていたし、孫のランサムとは言い争いをしていた。

ブランの知るところではなかったが、パーティーのあとでハーランの看護師マルタ・カブレラが誤っていつもの薬の代わりにモルヒネを致死量以上注射してしまうが、解毒剤が見つからず、そのままでは数分の命となる。マルタを守るため、ハーランはニセのアリバイを作るようマルタに指示する。マルタはハーランの指示通りに事を運ぶが、ハーランの年老いた母親がマルタを目撃しランサムと勘違いする。

マルタはウソをつくと必ず吐いてしまう癖があるため、ブランが尋問する際に真実は述べるのだが全ては明かさない。ブランは彼女に捜査への協力を求める。敷地を捜索する際に、マルタは証拠を隠滅しようとする。

ハーランの遺書が明らかにされる。それにはマルタに全財産を与えると書いてあり、マルタはもとよりハーランの遺族も動揺する。遺族はマルタをなじるが、ランサムの助けで逃げ出す。ランサムはマルタを説得して告白させ、遺産から分前をもらう約束で協力を申し出る。残りのスロンビー一族はマルタに相続放棄するよう説得しようとする。ウォルターはマルタの母親が不法移民であることをばらすと脅すのだった・・・。

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・・・

ミステリー特有のミスリード的な描写があって、予想外の結末に進んでいく。遺産相続を巡る争いは、古今東西同じで、「犬神家の一族」「女系家族」などがあるが、遺書に意外な人物の名前が記されていて、全員が驚愕するのだ。

時系列で真相が明らかになっていくミステリーで、面白かった。

ダニエル・クレイグの探偵役だが、劇中では「南部訛り」と一族から指摘されやや小ばかにされていたが、やや誇張した話し方が気になった。ジェイミー・リー・カーティスは、風貌があまりにも変わり果てていて、わからなかった。

クリストファー・プラマーも現在90歳で、12月に91歳。俳優としては現役最高齢の一人ではないか(クリント・イーストウッドよりも1歳上)。

 

主な登場人物:

■ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ):

名探偵。匿名の人物からの依頼で事件を捜査する。

■ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー):

ミステリー作家。85歳の誕生パーティの翌朝に遺体で発見される。

■メーガン・“メグ”・スロンビー(キャサリン・ラングフォード):、

ハーランの孫。ニールとジョニの娘。大学生。

■ジェイコブ・スロンビー(ジェイデン・マーテル

ハーランの孫。ウォルトとドナの息子。

■ドナ・スロンビー(リキ・リンドホーム

ウォルトの妻。

■フラン(エディ・パターソン

ハーランの家政婦。ハーランの遺体を発見する。

■アラン・スティーヴンス(フランク・オズ

ハーランの弁護士。

■ワネッタ・“グレート・ナナ”・スロンビー(K・カラン):

ハーランの母親。年齢不詳(息子が85歳なので100歳は超えているはず)。

■ヒュー・ランサム・ドライズデール(クリス・エヴァンス):

ハーランの孫。リンダとリチャードの息子。問題児でハーランの遺産相続人から外される。

■マルタ・カブレラアナ・デ・アルマス):

ハーランの献身的な看護師。嘘をつくと必ず吐いてしまう体質。

■リンダ・ドライズデール(ジェイミー・リー・カーティス

ハーランの長女。リチャードの妻。不動産業界の大物で会社経営。

■ウォルター・“ウォルト”・スロンビー(マイケル・シャノン):

ハーランの次男。ドナの夫。父親の出版社のCEOだがクビを宣告される。

■リチャード・ドライズデール(ドン・ジョンソン

リンダの夫。浮気をしていることをハーランに知られている。

■ジョニ・スロンビー(トニ・コレット)

ハーランの亡き長男ニールの未亡人。ライフスタイル・グルインフルエンサー。金銭的に困窮している。

■エリオット警部補(ラキース・スタンフィールド):

地元の刑事。

■ワグナー巡査(ノア・セガン):

捜査に加わった警官。ハーラン作品のファン。

 

★訃報:東映会長・元俳優、岡田裕介、死去。71歳。

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東映会長の岡田裕介が18日午後10時58分、急性大動脈解離のため死去。71歳。1970年に俳優として「赤頭巾ちゃん気をつけて」で東宝から映画デビュー後、「実録三億円事件 時効」「火宅の人」などに出演。

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岡田裕介はプロデューサーとして、吉永小百合高倉健と初共演した1980年の「動乱」(森谷司郎監督)、2012年「北のカナリアたち」をプロデュース。

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1984年「天国の駅 HEAVEN STATION」(出目昌伸監督)、1988年「華の乱」(深作欣二監督)、2001年「千年の恋 ひかる源氏物語」(堀川とんこう監督)では企画、2005年「北の零年」(行定勲監督)、2018年「北の桜守」(滝田洋二郎監督)では製作総指揮を務めるなど、吉永小百合の主演作品を数多く手掛けていた。

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東京撮影所長などを経て、2002年に東映社長に就任。2014年から東映グループ会長を務め、日本映画製作者連盟会長なども歴任。父は映画プロデューサーとして知られた元東映名誉会長の故岡田茂

陣頭指揮に立って製作を進めていた映画「いのちの停車場」(成島出監督、2021年公開)に主演する吉永小百合20日東映を通じてコメントを発表した。

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「信じられないことです。お疲れが溜まっていらしたのですね。これから映画の完成まで、どうぞお力を私達に与えてください。見守ってください。吉永小百合

 

ご冥福をお祈りいたします。

映画「ラブ・アクチュアリー」(2003)再見。

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映画「ラブ・アクチュアリー」(2003)を再見(Netflix)。クリスマス時期の定番映画。映画も、クリスマス5週前、4週前、3週前・・・と続く。

この映画を最初に見た時は、いろいろなエピソードが詰まった群像劇と思ったくらいだったが、見なおすと、再発見も多い。

「落ち込んだらヒースロー空港に行けばいい。そこでは、親子、恋人、夫婦、友達が再会してハグをしたり、幸せな気分に浸れる」というナレーションで始まる。

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エピソードが多すぎて一部だけ紹介。

■イギリス首相デイヴィッド(ヒュー・グラント):

アメリカ大統領がイギリスを訪問して、いろいろ交渉した後の合同記者会見。上から目線のアメリカ大統領(モデルはクリントン大統領か?)に対して、英国首相(ヒュー・グラント)が言う。

「英国は小国かもしれないが偉大な国だ。シェイクスピアチャーチルビートルズショーン・コネリーハリーポッターデヴィッド・ベッカムの右足・彼の左足も素晴らしい(記者たちの笑いに包まれる)。いじめっ子の友達はいらない。”力”でかかってくるのなら、私も強い姿勢をとる。大統領、お覚悟を」

”サー”ショーン・コネリーはレジェンドだ!(笑)。

■妻を亡くしたダニエル(リーアム・ニーソン)と息子サム(トーマス・サングスター)。

サムは10歳くらいか。同級生のジョアンナ(オリヴィア・オルソン)が好きで片思いという。ダニエルがサムを激励する。「勇気を持って伝えることだ。映画でもロマンスが実現するのは最後だ」といって「タイタニック」のレオ(レオナルド・ディカプリオ)とケイト(ケイト・ウインスレット)の格好をする。サムは「僕のことはいいから、お父さんの恋愛関係はどうなっている?」とませた口を聞く(笑)。

モテるには音楽だと、学園祭でジョアンナが歌うバック・バンドでドラムを叩く。ジョアンナがアメリカ行きの飛行機に乗る直前で、空港の通関を潜り抜けて、飛行機の最終ゲートまでジョアンナを追いかける!。ジョアンナは、サムの名前を覚えていて軽くキス。

■イギリスでは持てないコリンアメリカを目指す。

アメリカに行けばモテるはずと、ウイスコンシン州に旅立つコリンバーに入ると、「ビールの王者・バッドワイザーを」と注文。イギリス人とみて美女が寄ってくる(そんなバカな!?と思うがモテモテなのだ。)美女を引き連れて帰国する。美女は、コリンの友人たちがイケメンだったので、とちったかなと思う(笑)。

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■堅物の作家ジェイミー(コリン・ファース)、ポルトガルまで、彼女を追いかける。

作家ジェイミーの家政婦オーレリアが、原稿が風に飛ばされて、湖のなかにダイビングするなど、一緒に冷たい水にはいり、親しくなる。契約が終わり、別れるが、オーレリアを忘れられず、飛行機でポルトガルまで追いかけて、求婚する。オーレリアが働くレストランで大勢の家族や客がいる中で、答えは「イエス」だった。

そのほか、様々な、エピソード、ラブストーリーが描かれている。

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エマ・トンプソンはさすが。

 

★「プチケーキ」に新製品「カフェモカ」が投入されたら、買わない選択肢はない!(笑)。

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最寄りのスーパーのチラシを見ていたら、時々購入する「プチケーキ」(どれでも94円)に新製品「カフェモカ」が追加となった、とあった。

コーヒーもそうだが「カフェモカ」のネーミングに弱いfpd(笑)。

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少々まとめ買い。写真を撮る前に「カフェモカ」を食べてみた。やはりうまい。それまでは、ティラミス首相、モンブラン大統領だったが、カフェモカ法王といったところか。

甘党はさらに、セールの「文明堂」のカステラも爆買い。こちらも「抹茶」何とかに弱いfpd

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甘いものは、何でも受けて立つ!

映画「シューベルトの愛し方」(2016、ドイツ映画)を見る。

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シューベルトの愛し方」(2016、ドイツ映画)を見る。タイトルのシューベルトは、ドイツのコメディアン、オーラフ・シューベルトのこと。

一族の家系には歴史上の錚々たる人物が名前を連ねているシューベルト家。その名家の一人息子、オーラフ・シューベルトは、容姿的にハゲでブ男の上、自己中心的な性格で、およそ恋とは無縁の人物。風貌はほとんど、ジャック・ニコルソン

f:id:fpd:20201119085111j:plain オーラフ・シューベルト

そんなシューベルトの父親(マリオ・アドルフ)は、家系が途切れることが悩みの種で、早く孫の顔が見たいというが、父にうんざりしていたシューベルトは、渋々花嫁探しを始めるのだが・・・。

・・・

コメディというジャンルだったので見たが、わがままな主人公にはいらつく。次々に見合いをするが、ほんの数分で、自己中な性格が見ぬかれて、ハイさようなら。

ところが、一人だけ、メガネで化学研究者の女性パメラと意気投合する。

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この映画の見どころはシューベルトの父親を演じるマリオ・アドルフの味わいのある演技。

シューベルトは、ガールフレンドは必ず父親に紹介するといって、パメラを父親に紹介する。パメラが、生物関連の研究者と知ると、父親が専門用語であれこれ聞き、パメラがまた専門用語で返すというシーンは、抱腹モノ。話に加われないシューベルトは完全に蚊帳の外。

そして、シューベルトはパメラと結婚。

小ネタだが、病院で、生まれた赤ん坊を看護師が連れてくると黒人。一瞬、驚くが、「別の番号の子供と間違えた」と別の赤ん坊を連れてくるといった具合。

シューベルトが赤ん坊を父親に見せると、父親は安心するが、すぐに息を引き取ってしまう。

マリオ・アドルフというとイタリア系ドイツ人俳優で「赤いテント」(1970)を思いだすが、まだ現役で出演しているのには驚いた。現在90歳。

f:id:fpd:20201119084959p:plain マリオ・アドルフ

マリオ・アドルフは1954年に俳優デビュー。

出演作品には「女と男」(1957)「ダンディー少佐」)(1965)「国境は燃えている」(1965)「ナポリと女と泥棒たち」(1966)「ブリキの太鼓」(1978)「マフィアの妻(おんな)たち」(2005)「サム・ペキンパーの情熱と美学」(2005)などがあるが、1950年代後半、岸恵子の夫だったイヴ・シャンピ監督の「スパイ・ゾルゲ/真珠湾前夜」(1961)では、岸恵子小沢栄太郎らと共演している。

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ドイツ映画は、コメディもやや面白みに欠け一般受けするとは思えない。映画も残念な映画。

 

 

 

映画「シカゴ7裁判」(原題: The Trial of the Chicago 7、2020)を見る。アカデミー賞有力。

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シカゴ7裁判」(原題: The Trial of the Chicago 7、2020)を見る(Netflix)。骨太の実録法廷映画。アーロン・ソーキンのオリジナル脚本を自ら監督した。”シカゴ・セブン”と呼ばれた実在の被告たちを描く。

主演はエディ・レッドメインアメリカでは新型コロナウィルスの流行により配給のパラマウントは劇場公開を断念し、Netflixに権利を売却。Netflixは配信に先駆けて、一部の映画館で公開。アカデミー賞の有力候補になりそう。

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ベトナム戦争真っただ中の1968年。ケネディ大統領暗殺後、後任を選ぶ大統領選挙を控えた8月28日、イリノイ州シカゴで 民主党の全国大会が開かれていた。それに合わせて全国から反ベトナム戦争派の若者たちが集結し、集会やデモを繰り広げていた。

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そして、会場近くのグランド・パークでは、デモ隊と警察が衝突し騒乱となり、数百名の負傷者を出す事件へと発展した。

共和党ニクソン政権が誕生した約5ヶ月後、デモに参加した各グループのリーダー的存在だった7人が、暴動を扇動したとして共謀罪などの罪に問われ、法廷に立つことになる。

型破りなメンバーたちは、保守的なジュリアス・ホフマン裁判長(フランク・ランジェラ)に反抗し、繰り返し法廷侮辱罪に問われる。中でもブラックパンサー党のボビー(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)は弁護士をつけずに自らを弁護、仲間が警察の捜査で射殺された怒りをぶつけ、ついには身体を拘束される。温厚なデリンジャージョン・キャロル・リンチ)までも、裁判長への反発から職員に暴力をふるってしまう。

弁護士のウィリアム・クンスラ―(マーク・ライランス)は起死回生をかけて、クラーク前司法長官(マイケル・キートン)を証人として召喚する。

クラークは当時の捜査で暴動のきっかけを作ったのは警察側であるという結論に至った事を証言。検察側の弁護士のシュルツは、それは前政権の時の判断だと応戦する。

裁判の終盤、市民から録音テープが証拠として提出される。それはトム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)が集会で、警察が友人に暴力をふるったことに逆上して聴衆に血を流せと扇動している声が記録されていた。証言に立ったアビー・ホフマン(サシャ・バロン・コーエン)は聖書を引用してヘイデンを弁護する。

裁判の最後、裁判長から陳述を求められたヘイデンは、裁判の最中も続いているベトナム戦争で戦死した米兵の名前を次々と読み上げる。激高する裁判長をよそに、他のメンバーや弁護士、傍聴人までもが起立する。ついにはシュルツも立ち上がり死者への哀悼を示した。ヘイデンらは懲役5年の判決を受けるが、後に再審理となり、検察側は追訴を断念する。

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「わが愛は消え去りて」(1970)でデビューしたフランク・ランジェラが判事(裁判長)を演じているが、その横暴ぶりがすさまじい。被告人に弁護の機会を与えず、結論ありきの裁判を進める。法廷の中では、なにか意見を言おうものなら、法廷侮辱罪で退けてしまう。弁護側が前司法長官を証人として喚問する。マイケル・キートン演じる前司法長官が登場すると流れが変わる。

弁護側は、裁判長の制止を振り切って、ベトナム戦争で亡くなった若者たち5,000人の名前と年齢を一人一人読み上げるシーンは感動的。傍聴席からは全員が起立し拍手をする。

今見るべき映画の1本かもしれない

 

主な出演者: 

エディ・レッドメイントム・ヘイデン

サシャ・バロン・コーエンアビー・ホフマン

ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世:ボビー・シール

ジェレミー・ストロング:ジェリー・ルービン

ジョセフ・ゴードン=レヴィット:リチャード・シュルツ

アレックス・シャープ:アレックス・シャープレニー・デイヴィス

フランク・ランジェラフランクジュリアス・ホフマン

ジョン・キャロル・リンチデイヴィッド・デリンジャー

マーク・ライランスウィリアム・クンスラー

ケルヴィン・ハリソン・Jr.:フレッド・ハンプトン

マイケル・キートンラムゼイ・クラーク司法長官

ジョン・ドーマン:ジョン・N・ミッチェル

J・C・マッケンジートム・フォーラン

ノア・ロビンス:リー・ウィンナー

ダニエル・ハラハティ:ジョン・フロイネス

ベン・シェンクマン:レナード・ワイングラス

マックス・アドラー:スタン・ウォジョハウスキー

ウェイン・デュヴァル:ポール・デルカ刑事

 

 

映画「MOTHER マザー」(2020)を見る(Netflix)。長澤まさみが新境地。

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MOTHER マザー」(2020)を見る(netflix)。「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」の大森立嗣監督、長澤まさみ主演の意欲作。

2014年に実際に起きた“少年による祖父母殺害事件”に着想を得た映画。事件というのは、母親の歪んだ愛情しか知らずに育った少年が、その母親の一言がきっかけで凶行に走るという痛ましいもの。

自堕落な生活を送りながら実の息子に異様な執着をみせる母親・秋子を長澤まさみが演じ、その母親に翻弄されながらも歪んだ愛にけなげに応えようとする少年・周平を本作がスクリーンデビューとなる奥平大兼が演じる。

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まったく共感できない母親。「自分の子供に対して、どのように育てようと勝手」という無責任な親で、仕事もしないで、パチンコに興じる。お金がなくなると、妹や両親に何度も無心する。断られると、息子をダシに使ってお金を借りようとするのだ。

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なにより、両親を殺害するのを息子に指示して実行するのだが、息子は息子で、母親大好きで、母をかばって自分で罪をすべてかぶって服役する。「食事ができて本が読めるから、社会に出たくない」というのだ。結局、親が学校にも行かせず、真剣に育てようとしない育児放棄(ネグレクト)が根底にある。救いようのない母親。

長澤まさみが、笑いやコミカルな要素を一切封印して、悪女に徹して、化粧っけなしのノーメイクで演じて、まさに新境地開拓といったところか。

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長澤まさみにつけ入るダメ男の阿部サダヲも、サラ金から借金しては逃げ回る最低男で、住むところがなくなると、長澤まさみのところに泣きついてくる。

万引き家族「誰も知らない」にも通じるほとんどホームレス状態で生きる家族を描いているが、殺人が絡んでいるだけに重い。

救いようのない映画だった。ただ唯一の救いは、息子が、本を読む、勉強したいという意欲があったことで、12年間の収監の決定を受けたが、その間に、学校で学べなかった分、本を読んで、勉強して、独り立ちできるだろうということは予感できた。

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