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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「裸の町」(ジュールズ・ダッシン監督、原題:The Naked City、1948)フイルムノワール。

映画「裸の町」(原題:The Naked City、1948)は、ジュールズ・ダッシンが監督の殺人事件の地道な捜査を描くフィルム・ノワール作品。音楽はミクロス・ローザ。主演はバリー・フィッツジェラルド、ハワード・ダフ、ドロシー・ハート、ドン・テイラーなど。この映画の最大の特徴は、ロケ撮影によるリアリズムの徹底と言われる。当時のハリウッド映画はスタジオ内での撮影が主流だったが、この作品はニューヨーク市内で実際に撮影された。街の雑踏、地下鉄、通行人、建物などがそのまま背景として使われていることにより、リアルな都市の息遣いが感じられる。

映画は新聞記事風のナレーションで始まる。「これからご覧いただく映画は『裸の街』という映画です。私は製作のマーク・へリンジャ―です。(略)スタジオやセットを一切使用していません」というドキュメンタリー風の語り口により、観客に「これは実際にあったこと」という感覚を植え付けることに成功している。

主人公を一人に絞らず、刑事、容疑者、市民など複数の視点で事件を追う群像劇の構成もすばらしい。これにより一つの事件が多面的に描かれ、犯罪映画というよりもむしろ大都会の断面を映し出すような作品となっている。


カメラマンのウィリアム・H・ダニエルズによる撮影は、光と影のコントラストを活かした典型的なノワールの美学を保持しながら、リアルな都市空間にそれを巧みに融合させている。特にラストのウィリアムズバーグ橋での追跡シーンは、サスペンスと映像美が見事に噛み合っていて印象的だった。

映画とドキュメンタリーの融合を試みた先駆的なフィルムノワールで、その後のテレビドラマなどにも多大な影響を与えた。

第21回アカデミー賞では、撮影賞(ウィリアム・H・ダニエルズ)と編集賞(ポール・ウェザーワックス)を受賞。2007年には「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とみなされ、アメリカ国立フィルム登録簿に登録された。

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ニューヨークのアパートにて、2人の男によってジーン・デクスターというモデルが殺される。ベッドで首を絞められ、バスタブ内で発見されたことから「バスタブ事件」として新聞で大きく報道される。

翌朝、警部補ダン・マルドゥーン(バリー・フィッツジェラルド)は彼女の遺体の検死を行う。 

その後、彼らは過去に彼女を診察したストーンマン医師(ハウス・ジェイムソン)をはじめとする周囲の人々への聞き込みを行う。 

警察はジーンのモデル仲間のルース・モリソン(ドロシー・ハート)の婚約者フランク・ナイルズ(ハワード・ダフ)を疑うが、彼にはアリバイがあった。

そのころ、刑事ジミー・ハロラン(ドン・テイラー)はストーンマンの家から盗まれた指輪をナイルズが質入れしたことを突き止める。

また、ジーンの遺体にあった指輪も盗品だと判明する。探偵たちがルースを連れてナイルズの家に行った際、ガルツァー(テッド・デ・コルシア)という男がナイルズを狙って発砲するが、仕留め損ねる。 

その後、警部補マルドゥーンはナイルズの部屋から大量の宝石を見つけるが、ナイルズからはルースにあげた分も含めて、全部ジーンからもらったものだと証言する。

刑事ハロランは、イーストリバーで遺体となって見つかった宝石泥棒バカリス(ウォルター・バーク)が、ガルツァーと協力関係にあったことを突き止める。 

さらにその後、警察からの召喚に応じたボストンの宝石商から宝石を売りに来たのがナイルズだと認め、彼が持参したストーンマン医師の紹介状を見て信用したと明かす。

それを聞いたナイルズは降参して罪を認め、ストーンマン医師も共犯者だと話す。

また、ストーンマン医師も探偵からの尋問を受けて降参し、ジーンを愛していた彼は妻が夜会を開くたびに、訪問客の不在をジーンとナイルズに知らせていたことを明かす。

また、ガルツァーとバカリスはストーンマンが雇った人物であり、報酬目当てにジーンを殺したことを証言する。

ガルツァーは追ってきたハロランの拳銃を奪って倒し、ウィリアムスバーグ橋から地下鉄の線路に降りてきたところを射殺される。

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ジュールス・ダッシンと言えば「裸の街」と言われるほど有名な映画だが、今回アマゾンプライムで初見。1940年代のニューヨークのありのままの風景が見られる。すでにエンパイヤステートビルなどの超高層ビルがそびえたち、当然自由の女神もある。

劇中、フランクが殺人現場におらずクラブにいたというと「クラブで使った50ドルはどこで手にいれた」とダン警部補が問い詰めるシーンがあり「ブリッジで勝った」などと言い逃れを連発するフランク。フランクの居場所が確認されると「ロクデナシのくせに悪運が強い奴だ」と警部補たち。

ダン警部補にすれば「1晩50ドル!」と驚く。ハロラン刑事も「家族で1週間食べられる額です」という。当時の貨幣価値がわかる。

愚か者につける薬はないとはよく言ったものだ」という字幕があったが、日本語の「馬鹿に付ける薬はない」に相当する英語もあるようだ(笑)。

ベテラン警部補のバリー・フィッツジェラルドが味わいがあってすばらしい。

<主な登場人物>
■ダン・マルドゥーン:バリー・フィッツジェラルド…ベテランの警部補。    
■ジミー・ハロラン:ドン・テイラー…26歳の若い刑事。    
■フランク・ナイルズ:ハワード・ダフ…ルースの婚約者。ロクデナシの優男。
■ルース・モリソン:ドロシー・ハート…殺されたジーンのモデル仲間。フランク・ナイルスの婚約者。
■ペレリ:トム・ペディ…イタリア系の刑事。
■ストーンマン:ハウス・ジェイムソン…医師。ジーン殺害の黒幕。
■ウィリー・ガルツァー:テッド・デ・コルシア…体格のいいプロレスラー。
■ドナヒュー:フランク・コンロイ…警部。    
■ハロラン夫人:アン・サージェント…ハロラン刑事の妻。
■ビート・バカリス:ウォルター・バーク…ウィリーの相棒。
ジーン・デクスター…元モデル。2人組の男に殺害される被害者。以前の名前はメアリー・バトーリー。    
■マーサ・スウェンソン:バージニア・ミューレン…デクスター家の家政婦。42歳の未亡人。

  

アマゾンプライムで配信中。YouTube(下)でも見られる(字幕なし)

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