「ブレット・トレイン」(原題:Bullet Train, 2022)を見る。原作は伊坂幸太郎の「マリアビートル」。アメリカ映画だが、舞台は日本で新幹線の中がほとんどという密室劇のアクション・コメディ。
背景の日本はすべて合成のようで、外国から見た日本がどこかのアジアの国のように見える。主演はブラッド・ピットだが、真田広之の堂々とした存在感が大きい。
物語の主人公は、久々に仕事復帰を果たした殺し屋レディバグ(ブラット・ピット)。彼のコードネームである「レディバグ」は、幸運を運んでくるといわれる「てんとう虫」を意味するが、彼はいつも事件に巻き込まれ、自分とは無関係の人の死に遭遇しており、世界一運の悪い殺し屋と言われていた。
レディバグはある日、依頼人のマリア(サンドラ・ブロック)から、東京発・京都行の高速列車「ゆかり号」内でブリーフケースを盗み、次の駅で降りるだけの簡単な仕事を請け負う。
高速列車に乗りこんだ彼は、早速ケースを発見するが、なぜか9人の殺し屋たちに命を狙われ、降りたくても降りられない事態に。やがて、偶然乗り合わせたはずの殺し屋10人の任務が交錯し、過去と因縁がつながっていく。
・・・
登場人物の相関関係を理解しないと複雑でわかりにくい。単純にブリーフケースを盗むだけという目的のために、なぜ新幹線に乗り、途中下車をするという手の込んだことをするのか。ブリーフケースの中身は何か。
同じようにブリーフケースを狙う殺し屋たちは何の目的があるのか、誰の差し金なのか、様々な疑問があり、最終的にすべての仕組まれた意図がわかっていく。
・・・
いろいろなサプライズがある。蛇が終始現れて気持ち悪い。最後のほうでペットボトルの飲料水「FIJI」というのがやたら登場する(笑)。
声だけしか登場しなかった女性が、最後に顔を見せるが、これが今や大女優のサンドラ・ブロックだったり、列車内でカメオ出演の様な形でライアン・レイノルズが出演している。
なんと言っても驚きは、登場する曲だ。
冒頭、いきなり「サタデーナイト・フィーバー」の中の曲の一つ「ステインアライブ」が登場。そのほか、ピーター・ポール&マリーの「500マイル」や「時には母のないこのように」に至っては懐かしさがこみ上がる。
アメリカでも大ヒットした坂本九の「上を向いて歩こう」(アメリカでは「SUKIYAKI」ソングとして知られる)などは、日本の原作に対するリスペクトか(笑)。
劇中、流れる14曲は以下の通り。
- アヴちゃん(女王蜂) - Stayin' Alive(レディ・バグが東京から新幹線に乗るシーン)
- Siiickbrain feat. Pussy Riot - Power(木村がプリンスに近づくシーン)
- Engelbert Humperdinck - I’m Forever Blowing Bubbles(レモンたちが救出劇を思い返すシーン)
- Alejandra Sanz - La Despedida(ウルフの回想シーン)
- UPSAHL - My Time to Shine
- 奥田民生 - Kill Me Pretty(ホワイト・デスの手下が登場するシーン)
- Big Fella - Couple of Fruits
- カルメン・マキ - 時には母のない子のように(レモンが木村を撃つシーン)
- Shuggie Otis - Sweet Thang
- Song For Memories - Five Hundred Miles(レモンが悲しむシーン)
- 麻倉未稀 - Holding Out For A Hero (Dance Version)(京都から新幹線が出発するシーン)
- 坂本九 - Sukiyaki(上を向いて歩こう)(ウォーターボトル視点に変わるシーン)
- Rare Earth - I Just Want To Celebrate(エンディング)
- モモもん(Dominic Lewis) - Momomon(新幹線の専用車両で流れる曲)
・・・
列車の中の抗争、バトルはかなりグロいシーンもある。BD(ブルーレイ)でみたが、特典映像として、撮影の裏側、スタントの存在、監督の意気込み、俳優たちの映画を作りこんでいく内側などが面白かった。
■「にほんブログ村」にポチッと!。