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Netflixオリジナルドラマ「ある告発の解剖」(原題:Anatomy of a Scandal、全6話、2022)を見る。

Netflixオリジナルドラマ「ある告発の解剖」(原題:Anatomy of a Scandal、全6話、2022)を見る。1話40分前後というのが見やすい。法廷を舞台に視聴者の心をとらえるサイコスリラ―。スキャンダルを通じて、正義と特権の狭間にある真実に揺れる英国の政治家エリート一家を描く。日本語タイトルが固い(笑)。「アナトミー・オブ・ア・スキャンダル」とカタカナにしなかったのはいいが。

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主人公の名前がホワイトハウス(笑)。

ソフィー・ホワイトハウスシエナ・ミラー)は、内務大臣の夫ジェームズ(ルパート・フレンド)と子供二人と暮らしている専業主婦。大学時代から付き合っているジェームズと、幸せな結婚生活を送っていた。

ジェームズはトム・サザン首相(ジョフリー・ストレトフィールド)と懇意の間柄で、将来を約束されている特権階級の政府官僚。ある日ジェームズと部下のオリヴィア・リットン(ナオミ・スコット)との不倫が報じられ、キャリアの危機に直面する。

不倫スキャンダルから、ジェームズは性的暴行(レイプ)罪で起訴されることになり裁判が開かれる。5か月間不倫関係にあったオリビアの突然のレイプ告発の目的は…?復讐かそれとも?

ジェームズ・ホワイトハウス事件の裁判を担当するのが敏腕検察官のケイト・ウッドクロフト(ミシェル・ドッカリー)。ケイトが事件を暴きたかった理由や隠された過去とは・・・?

幸せだった結婚生活が一変し傷ついたソフィーは、裁判を通して夫を信じる気持ちが次第に揺らいでいくのだが…。

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現在、スキャンダルの渦中にある人物とそれを取り巻く人たちの多くが、20年前の大学卒業パーティの同級生たちであり、その当時の状況がフラッシュバックされて交互に描かれていく。

洗練された、この上なく幸せな世界で暮らすジェームズだが、20年前にも問題を起こしていたことが徐々に発覚していく。

法廷弁護士であり、自らの信念をもとに突き進むケイト・ウッドクロフト(ミシェル・ドッカリー)は、実は改名して正体を隠していたが、20年前に、学生仲間のパーティに参加した一人で、ジェームズにレイプされた過去があった(そんなご都合主義的展開でいいのかという突っ込みが入りそう)。

裁判で、ジェームズを糾弾する口調の激しさは、陪審員たちの反感すら買ってしまい、陪審員たちの裁判の総意は「無罪」だった。

しかし、これで事件落着とはならず新たな火種もあったという結末を迎える。

ケイト・ウッドクロフト自身の名誉までをも傷つけうる事態に陥り、ソフィーもジェームズのもとを離れていく。妻ソフィーから言われた最後通告の言葉は「いいところだけを切り取ってつなぎ合わせてつくろっているだけ」だった。

レイプ事件を扱う検察、弁護士がともに女性で、その意味では、ジェンダー(性差)によるフィルターがないことで、先入観を排除している。「合意」があったかどうかが争点になっていたが、きわめて証明は難しい。

それまでの両者の関係性やことばのやり取り、行動までが事細かに隠すことなく露呈する。検察官のケイト自身は独身で上司と不倫中で、ジェームズに対する追及の言葉は微に入り細にいってすさまじい。自身が20年前に受けた屈辱を晴らすための個人的な攻撃のようでもあった。

ジェームズは、不倫の事実は事実として認めたものの、レイプはなかったと一貫して主張していたが、オリヴィアの言葉にもあいまいさが残っていたことも弁護士から指摘されていた。「ここ(エレベーター内)ではだめ」は暗黙の了解なのか。陪審員たちの心証も徐々に変化していった。オリヴィアの言葉は信用できない、と。

検察官の個人的な怒りのような発言も陪審員たちにはマイナスに響いた。

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映画界における監督やプロデューサーなどが女優に対して行ってきたセクハラ問題などが最近多く取り上げられているが、その意味では、このドラマはタイムリーであったかもしれない。

シエナ・ミラーは「アメリカン・スナイパー」の主人公クリスの妻役を演じていた女優。

【主な登場人物】

■ジェームズ・ホワイトハウスルパート・フレンド):保守党の国会議員で、メディアが選ぶイケメン政治家ランキング1位の人気議員だが、不倫関係にあった元部下からのレイプ告発を受ける。

■ソフィー・ホワイトハウスシエナ・ミラー):ジェームズの妻で、オックスフォード時代から交際している。当初は夫の潔白を信じているのだが、次第に疑いを持つようになる。

■オリビア・リットン(ナオミ・スコット):ジェームズの元部下で、かつて不倫関係にあった。関係が終わった後にジェームズからレイプされたとして、彼を告発する。

■トム・サザン(ジョフリー・ストレトフィールド):英国首相。ジェームズとはオックスフォード時代からの友人で、レイプ告発を受けた後にも擁護的な立場をとるのだが、どうも裏がありそう。

■クリス・クラーク(ジョシュア・マグワイア):保守党のメディア対策担当者。政権にとってダメージとなりかねないジェームズを切るべきと考えている。

■ケイト・ウッドクロフト(ミシェル・ドッカリー):敏腕検察官で、ジェームズ・ホワイトハウス事件を担当する。自身は未婚で、元上司の検察官と不倫中。

■アンジェラ・リーガン(ジョゼッテ・シモン):ジェームズの弁護士だが、検察側のケイトとも友人関係にある。

 

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