「私を信じて-リサ・マクヴェイの誘拐-」(原題:Believe Me: The Abduction of Lisa McVey、2018)を見る。実話がベースの変質者による誘拐事件を扱ったスリラー。前半は苛立ちを覚えるほど重苦しいが、後半はスリリング。虐待母への復讐劇の要素も。
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1984年フロリダ州タンパ。ドーナツ屋で勤勉に働く17歳のリサ(ケイティ・ダグラス)は愛想もよく看板娘として明るく客に接していた。しかし、それは外の世界で気丈に振る舞う姿だった。
現実は、帰宅すれば祖母の彼氏からの性的暴力に耐える毎日だった。実母は、アルコール依存症で麻薬中毒。リサが14歳の時にリサを家から追い出して、祖母に押し付けていたのだった。リサの妹は母のもとに残った。姉妹で会うこともままならない状況となった。
あまりに辛く苦しい毎日に、思わず「この世に逃げ場がないのなら…」と遺書めいたものまでしたためている。
ある深夜に自転車で帰宅の途中、車に後をつけられ、凶暴な男ロバート(ロシフ・サザーランド)に拳銃で脅かされ、車に連れ込まれる。目隠しをされて、郊外の人気のない空家のような建物の部屋でレイプされ、そのまま誘拐されてしまう。
リサは、あとで現場の証拠として、階段の段数を数えて記憶したり、車の座席に、指を噛んで血を出して、血を残したり、部屋では、窓ガラスや、トイレに指紋を残すなどしていた。
その頃、テレビでは、シリアルキラー(連続殺人)の事件が報道されていた。リサは機転が効き、誘拐犯の警戒心を解くために幼児を諭すように話を合わせ、通報しないことを条件に解放される。しかし、地獄の恐怖はそれから始まるのだった・・・。
奇跡的に犯人から逃れたリサだったが、家族や警察は、リサの証言を作り話だとして受け入れない現実にますます追い詰められていく。
祖母などは、ハナから嘘と決めつけ、警察の聴取に下手なことを言うなと釘を刺し、担当刑事たちも男友達と遊んでいたのを隠すために嘘をついているのだろうと取り合わないといういい加減さとずさんさ。
そんな中、リサの妹は「姉は嘘をつく人間ではない」と信じており、刑事の一人ラリー・ピンカートン(デヴィッド・ジェームズ・エリオット)だけは親身に向き合って、リサから詳しく聞いていくうちに、余りにも話の詳細がリアルで真実に違いないと確信して捜査に取り組んでいくところから、大きな進展を見せていく。
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87分というコンパクトさがいい。前半はいらいらさせられ重苦しい展開が続くが、後半は見ごたえがあり、最後には救いもある。
実話の映画化であり、実際の事件は、1984年、アメリカフロリダ州タンパ・ベイエリアを中心に起きた連続強姦殺人事件。リサ・マクベイは最後の被害者にして唯一の生存者となる。被害者の人数はわかっているだけで10名以上いたとされる。
唯一の生存者となったリサはその後、保安官代理(モデルとなった本人)としてヒルズボロー群の治安維持を担っているという現在の状況がエンディングで映し出される。
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