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★日本の映像、アニメ業界にも「黒船」来襲?(笑)

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数年前に、銀座界隈は中国人観光客の爆買の姿が目立っていた。ダイソーなどの百均や秋葉原も賑わっていた。てっきり日本製は高品質で外国(中国製)は品質が良くないから買っているのだろうと思っていた。

実はそうではなかったようだ。

実際は日本がデフレ(物価が安い)という理由だった。外国でレストランなどで食事をするとわかるが、ラーメン1杯で10ドルから12ドルする(単純に1,200円)。寿司だって40~50ドル(5,000円)だ。

日本のように、吉野家の牛丼並みの350円などはありえない。ダイソーの台湾の店に行ったことがあるが、日本の百均のイメージではなく、だいたい200円で、ほぼ倍の値段だった。

日本が、この30年間、物価は変わらず安いが、一方で給料(収入)も横ばい。この間、外国では、収入が右肩上がりで上がっていた。20年くらい前は、日本の給料を100とすると、中国は10分の1、台湾や韓国は3分の2といったところだった。ところが、いまは、年収でいえば、日本は、台湾や韓国に追い越されているというのだ。

というわけで、日本はモノも待遇もやすいということから「日本買い」が進んでいるようだ。外国が日本に目を付けたのは、最初は、モノであり、北海道の一部の土地ニセコ町)などの買収だった。

前置きが長くなったが、ここにきて、世界に冠たるアニメ王国・日本のアニメーター、クリエーターといった人材やアニメ企業などもターゲットになっているようなのだ。

例えば日本のアニメ制作を例にとると、これまでは、テレビ局、大手広告代理店、出版社などからなる「製作委員会」が、下請けの制作会社にコストを押さえて制作を依頼していたが、ネットフリックスに代表される「黒船」がやってきて、直接、制作会社に3倍の値段で発注するという事態が起こっているのだ。

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そんなに潤沢なおカネを出してくれるなら願ったりかなったりの制作会社ということになるのではないか。場合によっては、ネットフリックスが製作会社を丸ごと買ってしまうといことも十分ありうる。

映画、ドラマを作るにも、日本のテレビのキー局4-5社の年間予算は、NHKの予算2,000億円にも及ばない。ネットフリックスの年間投資額は、NHKの5倍の1兆円なのだから、レースにならない(笑)。

前にも記事にしたが、日本の俳優などを抱えたプロダクションは、テレビ局詣ででなく、ネットフリックス詣でにシフトしているようだ。

特にコロナ禍で、テレビ局などは大御所タレントなどのリストラに躍起になっているというニュースをよく目にする。若い世代を中心とする「テレビ離れに悩むテレビ局。テレビ局は生き残りのために、ネットフリックスにドラマ配信などを提供するというモデルが多くなっている。

一方、ネットフリックスは潤沢な資金があって、内容には口出ししないで丸投げだというので、スポンサーやテレビ局などの制約などがなくありがたいものなのだろう。

昨年大きな話題となった「全裸監督」に出演した山田孝之は、ギャラがこれまでの倍増で、ギャラ女王の米倉涼子に並んだといわれた。その「全裸監督2」が6月24日から配信される。

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米倉涼子も「ドクターX」の最新シリーズを蹴ってネットフリックスに出演する。一説では1話700万円という(「ドクターX」が推定1話500万円といわれる)。ネットフリックスの場合、最低10話として、7,000万円となる。

ギャラの高さも一つの要因だが、もう一つは、世界配信による知名度アップにつながりハリウッドからのオファーも期待できるからである。

ネットフリックスが自社のオリジナル製作に力を入れているのは、かつてディズニーなどからリースしていた作品が、ディズニーが動画配信に参入したことで、作品を引き上げられてしまっているからだ。

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テレビは完全に斜陽。テレビの時代は終わった。テレビ局は、蓄積されたコンテンツを配信会社に売る。テレビ局も制作会社も、動画配信の時代に現れた黒船に乗った方が未来が保障される。大げさに言えば、テレビ業界も令和の黒船に飲みこまれるということだ。通信会社も、スマホで配信動画を見られるということで、配信会社とさまざまに提携している。

黒船は、ネットフリックスだけでなく、ディズ二―も自社で実写の制作を強化すると、映像資産が膨大なだけに、ネットフリックスを駆逐してしまうこともありうるかもしれない。