「いぬやしき」(2018)を見る。アニメ原作の映画化で、CGやVFXを駆使した、荒唐無稽の「まさか」のSF映画。「ターミネーター」や「ウエストワールド」のような機械人間の壮絶な戦いが描かれる。
佐藤健(たける)が、悪役を演じ「バトルロワイヤル」の殺人ゲームや「悪の教典」のサイコ殺人教師のように手当たり次第に殺人を犯すのでまったく共感できない。
木梨憲武は、外見はさえない中年のおっさんだが、ドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」で堤真一が演じたような、困った人を助ける正義のヒーローを演じる。二階堂ふみが全く生かされていないのが残念。三吉彩花は、この映画のあと「ダンスウィズミー」(2019)のミュージカルで魅力全開となった。
CG技術などで「スパイダーマン」並みの映像は見どころだが、興行的には大コケだという。迷い犬「ハナコ」が登場するが、タイトルの「いぬやしき」は犬が多く住む屋敷ではなく、主人公の名前だった。
・・・
会社や家族から疎外されている、定年を目前に控えたさえない風貌の初老のサラリーマン・犬屋敷(いぬやしき)壱郎(木梨憲武)。
会社の上司からは、営業成績が悪いことから給料ドロボーとののしられ、リストラをほのめかされる。家では、娘の麻里(三吉彩花)から洗濯物は一緒に洗うなとくぎを刺されるなど不潔なダメおやじ扱い。パートで働く妻・万理江(濱田マリ)からもあれこれ口うるさく言われて、ますます落ち込む毎日の壱郎。
そんな中、医者から末期がんによる余命宣告を受け、そのことを家族にも知らせるタイミングを失い虚無感に襲われる。ある日、公園にいると、突然光に覆いかぶされ、爆発音が響き渡る。
犬屋敷は謎の事故に巻き込まれたのだ。偶然その場に居合わせた高校生・獅子神皓(ししがみ・ひろし)(佐藤健)とともに、機械の体に生まれ変わり人間を超越した力を手に入れていた。
自分に背く人々に対して、指を向けて「バン!」と銃を撃つマネをすると、指を向けられた人間は、実弾を受けたように即死する。秘められた力を人類滅亡に向けているのだった。
一方、壱郎は、助けを求めている人の声が聞こえると、その現場にいき、救うことができた。病院で余命いくばくもない患者を蘇生させることができた。強大な力を手に入れた2人の男たちの力が、それぞれ善悪に向けられ、やがて、壱郎と皓の戦いがはじまるのだった。
・・・
主人公の息子が、家のカネを持ちだしたりしていたのは、同級生の不良たちに”カツアゲ”されていたことが発覚。パワーを持った同級生の神皓が不良のリーダーをたたきのめすところだけは、人助けだったが、それ以外は、人類憎しで、殺戮を繰り返すというすさまじさ。
新宿東口の「LABI」(ヤマダ電機、のちに撤退)の大型スクリーンは「君の名は。」にも登場したが、3面を使った皓のメッセージ映像や、通行人たちの倒れる姿、都内の都庁や各地のビルの爆破風景などVFX技術がふんだんに使われているのは見どころ。
主な登場人物:
◇ 犬屋敷壱郎(主人公。58歳の老け顔サラリーマン):木梨憲武
◇ 犬屋敷万理江(壱郎の妻):濱田マリ
◇ 犬屋敷麻理(壱郎の娘):三吉彩花
◇ 犬屋敷剛史(壱郎の息子):福崎那由多
◇ 獅子神皓(犬屋敷同様機械の体を手に入れた高校生):佐藤健
◇ 獅子神優子(皓の母親):斎藤由貴
◇ 安堂直行(獅子神の幼なじみ):本郷奏多
◇ 渡辺しおん(獅子神のクラスメイト):二階堂ふみ
◇ 萩原刑事:伊勢谷友介
映画の当たりはずれでは「ハズレ」の部類か(笑)。
おすすめ度:★