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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「サイダーハウス・ルール」(原題:The Cider House Rules、1999)。

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サイダーハウス・ルール」(原題:The Cider House Rules1999)を実は見逃していた!のでみた。2000年にアカデミー助演男優賞マイケル・ケイン)とアカデミー賞脚色賞を受賞。脚色賞を受賞するほどで、ドラマとして見ごたえがある。「ギルバート・グレイプ」や「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」などラッセ・ハルストレム監督と、「ガープの世界」のジョン・アーヴィング脚本でタッグを組んだ、人間模様を描いた感動作品。

メイン州ニューイングランドの孤児院で生まれ育った青年ホーマーは院長から医術を学び分娩の助手を務めていたが、将来に疑問をもち院を出る。友人のリンゴ農園で仲間とともに暮らすうちに恋を知り成長するが、孤児院に戻り、亡くなった院長の遺志を継ぐことが新たな自分の場所と気づいていく姿を描く。

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1943年、メイン州ニューイングランドの山中にある、セント・クラウズ孤児院。そこで生まれ育った主人公ホーマー・ウェルズ(トビー・マグワイア)は、院長のウィルバー・ラーチ医師(マイケル・ケイン)が父親代わりとなり、息子同様に愛されて育った。

医師から心臓が弱いと言われたホーマーは、孤児院から出たことがなく、海さえも見たことがない。しかし他の孤児同様、人知れず誰かがここから連れ出してくれるのを待ち続けていた。

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成長したホーマーは、ラーチ医師の右腕として、出産の助手や、孤児たちの世話をして働いた。ラーチの教えは「人の役に立て」だった。ラーチ医師はホーマーを後継ぎにするつもりでいた。

しかし、ホーマーは医師免許がないため、自分では医者として人の役には立てないと考えていた。またホーマーは、ラーチ医師が孤児を増やさないために堕胎手術を行うのが理解できないでいた。

孤児院に一組の若いカップルがピカピカのオープンカーで登場。美しい娘キャンディ・ケンドール(シャーリーズ・セロン)と軍服姿のウォリー・ワージントン(ポール・ラッド)だ。二人は恋人同士だが、堕胎手術を受けるために来た。手術中、車で待つパイロットであるウォリーに、ホーマーは「ぼくも乗せていってくれないか?」と言う。ホーマーは、とうとう孤児院から旅立つと決めたのだ。

ウォリーの家はりんご農園を経営しており、ホーマーはそこで住み込みで働くことになる。ほどなくしてウォリーは、キャンディを残し戦地へと戻った。

ホーマーはサイダーハウスと呼ばれる小屋で、ミスター・ローズをボスとする季節労働者たちと寝食を共にし、仲間となる。彼はこの仕事で「人の役に立っている」と実感し、充実した日々を送った。やがてりんごの収穫を終えると、仲間たちは次の農園へと移っていった。

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恋人のウォリーが戦地に向かい寂しいキャンディは、次第にホーマーとの距離を縮めていく。ロブスターを知らないホーマーに、ロブスター漁を教えてごちそうする。

これまでに観た映画は孤児院で「キングコング」だけというホーマーを、ドライブインシアターや映画館に連れて行った。ホーマーにとって、サイダーハウスでキャンディと過ごす日々は、新しい人生そのものだった。二人は自然に恋に落ち、ウォリーに後ろめたさを感じつつも、関係を深めていく。

その頃、セント・クラウズ孤児院では、ラーチ医師の進退問題が浮上していた。ホーマーを呼び戻したい一心のラーチ医師は、彼の卒業証書などを偽造してまで、ホーマーを自分の後継者に仕立て上げ、彼に診察カバンを送りつけた。

しかしホーマーは、キャンディとの恋を手放すつもりはない。ホーマーの意思を知ったラーチ医師は、失意のまま、まもなくこの世を去ってしまうのだった・・・。

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キャンディとの幸せな日々はあっという間にすぎ、再びりんごの季節が巡り、労働仲間と久々の再会、ミスター・ローズの娘ローズ・ローズの堕胎、戦地から戻ったウォリーは下半身不随でキャンディの苦悩などさまざまなことがあり、ホーマーは、ひとり列車に乗り、セント・クラウズ孤児院に戻った。懐かしい小さな友人たちに歓迎され、ホーマーは笑顔を取り戻すのだった。

映画のオープニングとラストには、孤児院からの旅立ちと帰還のシーンは、同じ駅のプラットホームが登場する。

孤児院では、孤児たちが夜寝る前には本の読み聞かせをラ-チ医師がおこない、決まって「おやすみ。ニューイングランドの王子様たち」と挨拶していたが、のちに同じ言葉が、ホーマーから孤児たちに発せられていたシーンも印象的だ。

サイダーハウス・ルール」というのは、季節労働者が寝泊りする小屋の決まりごととして小さな紙切れが貼ってあった。その紙に書かれたルールとは、ベッドでタバコを吸わないこと。屋根に上って食事をしないこと。屋根で居眠りをしないこと、といった労働者たちにとっては「イカレたルール」だった。労働者たちは、このルールをつくった人間は現場を理解していない。ルールは俺たちが一日一日決めていく、というのだ。

孤児院では、養子に引き取りたいとい夫婦が時々訪れるが、子供たちは、自分がもらっていかれるように、品を作ったりする。全く泣かない赤ん坊は、戻されたりする現実が厳しい。引き取り手が赤ん坊を叩いて泣かせたら、泣くのがやまないので2度戻されるのだ。

この映画のシャーリーズ・セロンは、マリリン・モンローをほうふつとさせる。

トビー・マクガイアは、1998年公開の「カラー・オブ・ハート」に続く翌年公開のこの「サイダーハウス・ルール」で注目され、2002年からの「スパイダーマン」シリーズで主人公ピーター・パーカー/スパイダーマンを演じ、人気を不動のものにする。