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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「翔んで埼玉」(2019)を再見。

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翔んで埼玉」(2019)を再見した。今年の日本での洋画を含む全公開映画の中で興行収入第11位(37億6,000万円)。今もなお、MOVIXさいたまでは上映が続いている。予想もしない大ヒット作品となっている。

(最新興行ランキング:https://pixiin.com/ranking-japan-boxoffice2019/

 

映画は導入部から引き込まれる。

なぜか男たちが白いタイツ姿でダンス、バレーを踊るシーンを背景に、オープニングで画面に文字が現れる。

「最初にお断りしておきますが、この物語はフィクションであり、実在の人物名団体名、とくに地名とは一切関係ありませんので、そこんとこよろしくお願いします。 原作 魔夜峰央。」

なぜか「スターウォーズ」のオープニングのように英語のナレーションではじまる(Long, long time ago …)。その内容は、埼玉県の生い立ちから。古い地球儀が登場し、カメラが日本列島をズームアップしてゆき現在の関東地方を捉える。

「その昔、東京都・埼玉県・神奈川県東部というところが一体となって出来ていた大国があった。武蔵国(むさしのくに)である。ときは1871年廃藩置県により広大な武蔵国から重要都市であった東京が独立。そして同じく幕末の開港以来重要都市となっていた横浜も南部と相模国を引き連れて独立を果たし、現在の神奈川県となった。まあ簡単に言えば、良いとこ取りされ切り捨てられた余りの出来た海なし県、それが現在の埼玉県というところである。」

 

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映画は、埼玉県熊谷市に住む3人家族が車で東京に向かう途中で、ラジオから流れる埼玉都市伝説が、映像化されて行く。埼玉県民は通行手形がないと、東京には入れない。

運良く東京屈指の名門校・白鵬堂学院に入れても出身地でランクづけされる組の編成だ。クラス分けは、白金などのハイソの地域の出身者はA組。ややランクの下がる中央区などはB組。埼玉県出身者は、最下層のE組で、掘っ立て小屋に押し込められ、虐げられている。豪華な校舎には入れてもらえず、差別的な扱いを受けている。

玉出身者の中で病気になるものが現れ、白鵬堂学院の生徒会長として力を持つ壇ノ浦百美(二階堂ふみ)に薬を頼むと、「埼玉県民はそこらへんの草でも食わせておけ埼玉県民なら治る」と相手にもされない。

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百美(二階堂ふみ)や麗(GACKT)が活躍する【伝説パート】と、埼玉県在住のある家族を通して、その伝説を振り返り、埼玉への郷土愛を再認識する【現代パート】の2部構成となっている。

【伝説パート】では、埼玉県人が東京へ入るための必須アイテムとして登場する“通行手形”の撤廃と、自由を求めて戦う百美・麗の前に、埼玉同様、自県の通行手形の撤廃をもくろむ対抗勢力として、千葉県が立ちはだかる。

一方、東京都と密な関係を築き、埼玉と千葉の東京進出を快く思わない神奈川県という勢力も登場。東京、埼玉、千葉、神奈川をはじめ、群馬、栃木、茨城をも巻き込んだ関東一帯の各勢力が複雑に絡み合う、壮大なスケールで物語は展開する。   

【現代パート】では、埼玉県在住の菅原家(ブラザー・トム、麻生久美子夫婦と娘・島崎遥香)を中心に物語が展開される。娘の結納の為一路東京へ向かう道中、車内のラジオから流れてきたのは、百美と麗らが埼玉県人の自由と誇りをかけた戦いの日々を綴った物語。

二階堂ふみの男子高校生役・百美と、GACKTの存在感が大きい。

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大手証券会社の御曹司・麗(GACKT)は、アメリカ帰りで、父親が財界の大物。百美の父親は東京都知事中尾彬)。この都知事は、運営する学園に対してこの大物から10億円もの寄付を受けていた。将来、百美を都知事にした暁には、その財力のバックアップを見込むために、大物の息子・麗を学園に呼び寄せたのだ。

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小ネタが埼玉県民には、笑わせる。「春日部」「所沢」など、やや県内でも田舎っぽい?「と、と、と・こ・ろ…」と地域の名前を口にするだけでも、口が埼玉になるなどと貶(けな)すのだが、現代パートで登場する熊谷は、群馬県境にあり”ほぼ群馬”というのは当たっている!(群馬県のとなりの深谷fpd出身地もほぼ群馬で、納得。笑)。

しかし、”埼玉県民の誇りをもて!”と過去にも、立ち上がった伝説の人物もいて、麗もその人物と出会い立ち上がる。

麗の父親・西園寺宗十郎麿赤兒)は、お手伝いのおかよを通して、麗にメッセージを送っている。念には念を入れるタイプで、「このビデオ・メッセージは5秒後に消滅する」と「スパイ大作戦」(=ミッション・インポッシブル)のように旧型テレビが爆発して消滅する。

埼玉の自虐ネタのオンパレード。

GACT演じる麗がいう。

「埼玉県民はなんと呼ばれているか知っているか」と。

「ダ埼玉・くさい玉・うさんくさい玉・うるさい玉・青くさい玉・アホ臭いたま・バカくさい玉・貧乏くさい玉・面倒くさい玉・小便くさい玉・じじくさい玉などだ」

埼玉の名物は「草加せんべい」と「深谷ねぎ」以外にあるのかという問いに「ない」と答えが返っていたが、実際には、アジア一の団地、日本一のショッピングモール、埼玉県発祥の「ファミリーマート」、ファッションの「しまむら」、ガリガリ君赤城乳業)などたくさんあるということが紹介されていたが…。

白鵬堂学院の3年生の下川信男 (加藤諒)は、東京人から虐げられていた一人だが「ヘラヘラして気づいていないふりをしていたが、何もないけど住みやすくいいところだ」という。実際に、全国住みやすい街ランキングの上位に大宮、浦和(ともに現さいたま市)が入っている。

こうしたことからそれまで埼玉出身を隠したがっていた現代パートの菅原(ブラザー・トム)は、サイパンに新婚旅行に行ったサイパンで、地元の娘から「出身はどちら?」と聞かれて「From Tokyo」と答えていたことを悔いるところがおかしい。fpdも、台湾や外国で、出身地を聞かれた時に、出身は埼玉だが「near Tokyo」と言っていなかったか?(笑)。東京に延べ20年以上住んでいたので、東京人と言えないこともないが(笑)。

さいたま市が「♪なぜかひらがな~♪」などと歌詞の中であったが、ダサいとは思わない。「埼玉県埼玉市」と堅苦しいよりも「さいたま市」のほうが柔らかくていい♪

「翔んで埼玉」は、関東は東京一強のなかで、二番手は神奈川、そのあとは千葉か埼玉かと競うような展開だったが、東京都が通行手形の発行を渋っていたのは、通行手形の闇発行で裏金を集めていたからで、通行手形撤廃を求めて埼玉・千葉が連合軍となって都庁を攻める展開だった。

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日本の埼玉化計画は序章であり、次の計画は「世界埼玉化計画」という壮大なものだった…で映画は締めくくられる。続編はあるのか。