ルイス・ブニュエル監督の「ビリディアナ」(原題:Viridiana,1961)をデジタルリマスター版で見た。この映画は、カンヌ映画祭の最高賞(パルムドール)を受賞。ホームレスたちによる”最後の晩餐”のパロディ・シーンが強烈。
食卓に一堂に並び、挙句の果てに、食卓テーブルの食器類を破壊。
反宗教的として、当時大スキャンダルとなり、イタリアとスペインでは上映中止になったといういわくつきの作品。ブニュエルは”スキャンダル監督”の名を轟かせた。
「ロビンソン漂流記」のルイス・ブニュエルが、フリオ・アレハンドロと共同でシナリオを執筆、ブニュエルが演出の反宗教的人間ドラマ。モノクロで、素晴らしい撮影を行ったのはホセ・F・アグアーヨ。音楽は、グスタボ・ピッタルーガがクラシック音楽を編集。
出演は、主人公ビリディアナを演じる清楚で美貌が光るシルヴィア・ピナル、「渇き」のフランシスコ・ラバル、「狂熱の愛」のフェルナンド・レイ、ほかにマルガリータ・ロサーノなど。2017年12月23日よりリバイバル上映された。お堅い難しい映画かと思ったらそうではなく、相当ブラックも効いていた!
ブニュエル監督の作品では、カトリーヌ・ドヌーブ主演の「昼顔」「哀しみのトリスターナ」といった耽美的な映画を見ているが「ビリディアナ」は、”ハレルヤ”の音楽をバックに、狂乱の踊りや、パイ投げもあって、そのどんちゃん騒ぎぶりなど風刺コメディ作品とも言えそう。
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学費を出してくれた伯父ハイメ(フェルナンド・レイ)から知らせが来て「1度自分の家に来てほしい」との伝言。血縁関係にあるとはいえ、彼とは1度しか会ったことがなかった。その彼への訪問には気が進まなかったが、修道院長から「是非会いにゆきなさい」と言われ、仕方なく修道院から外へ出る。彼女はもうすぐ一人前の修道女になるため、誓いの式に臨む予定だった。
だが、ビリディアナは、それでも屋敷を出た。
恵まれない者や障害者を集め、自分の屋敷につれて来て生活の面倒をみ、仕事と信仰を与えて、希望を持たせることを考えるのだった。そのころハイメが他の女の間にもうけた息子ホルヘ(フランシスコ・ラバル)が、情婦ルシアを伴ってやって来た。
合理的な彼は荒廃した農園を整え、屋敷の改築にかかった。
かたくななビリディアナに自分への関心を持たせようとし、情婦はそれを嫉妬して去った。ホルヘは子供連れの女中ラモナを誘惑した。
そして自分たちのあまりの乱行に気づいて怯気づいたホームレスたちは一人、二人と屋敷を去った。そこへ突然ホルヘたちが帰って来た。ホルヘは殴られ、縛られてしまった。
ホームレスたちの一人がビリディアナに襲いかかった。
ホルヘは大金を与える約束でホームレスのひとりにビリディアナに襲いかぶさった男を殺させた。一夜があけた。あまりのショックに、ビリディアナは一度も訪れたことのなかったホルヘを訪ねた。それはビリディアナは、ホームレスたちの行動にショックを受けたからで、ビリディアナは、性格も変わってしまい、ホルヘとともに過ごすことに決めたのだったが。そこにはラモナもいた・・・。
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ホルヘは、愛人と、いとこにあたるビリディアナにもちょっかいを出し、ふたりの女を両側に侍らしてご満悦のシーンで「FIN」(笑)。ビリディアナもいつか修道院を作るという夢も捨てたのか、自暴自棄になったのか虚ろな表情だった。
乱痴気騒ぎにまぎれて、ソファの後ろでの痴態。それを面白がって覗き込むホームレスたち。とにかくハチャメチャ。犬が登場。猟犬カネロは、馬車に繋がれて、歩かされていたが、その飼い主は、良犬にしたければ餌をやるな、がモットー。いくらなんでもひどい仕打ちに、見かねた男にカネロは買い取られて救われるが。しかし、周りには、まだ馬車に繋がれた犬の姿が。
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