出演は「ガラスの靴」のレスリー・キャロン、「昼下りの情事」のモーリス・シュヴァリエ、「影なき恐怖」のルイ・ジュールダンのほか「八十日間世界一周」のハーミオン・ジンゴールド、「Z旗あげて」のエヴァ・ガボール、イザベル・ジーンズら。製作アーサー・フリード。
監督は「バラの肌着」のヴィンセント・ミネリがあたり、女流作家コレットの原作を、アラン・ジェイ・ラーナーが脚色。撮影監督はジョセフ・ルッテンバーグで、パリに10週間にわたってロケが行われた。音楽監督と指揮はアンドレ・プレヴァン。
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ジジ(レスリー・キャロン)はお祖母さんのマミタに育てられている無邪気な少女。マミタ(ハーミオン・ジンゴールド)の妹アリシタ(イザベル・ジーンズ)はかつて社交界でならした一級の貴婦人。そのもとにジジは学校が終わると行儀作法の稽古に通っていた。
ラシュイユの甥ガストン(ルイ・ジュールダン)もジジの無邪気さが大好きだった。このガストンは砂糖王の2世として豪奢な生活をしている。そのために人生に退屈しきっていた。
反対に叔父さんは、人生の総てが快楽の対象となるという楽天家。若く美しい女性が現れるたびに、マキシム・カフェに招待して盛大なパーティーを開いていた。このパーティーは社交界のバロメータで陰口と誇示と羨望が渦巻く豪華なものだった。
ガストンは常にリアネ(エヴァ・ガボール)という美女と同伴で現れた。このリアネとスケート場の先生とが怪しいという噂が伝わった。ガストンはリアネをクビにして、スケートの先生をパリから追放した。傷心の甥のためにラシェイユ氏は連日連夜の宴をはった。が、ガストンは一向に浮かなかった。ジジ一家や叔父さんと海に行った時つくづくジジの社交界にない清純な心の美しさに愛を感じた。
マミタお祖母さんは、ガストンこそジジの夫にふさわしいと想定していた。旅行から帰ったガストンは、ジジが今までの清純さとはうって変って俗物化されているのにがっかりした。
しかし、一方でその愛情は募るばかり、意を決してお祖母さんに心を打ち明けると今度はジジから「一時的なお世話なら受けません」と断られてしまう。失恋だ。この気持ちを粋人の叔父さんに相談すると「断った?そりゃよかった」と落ち着いている。外の女を探せということになった。早速叔父さんのパーティーが開かれた。
だがガストンが連れて来たのはジジだった。ジジの中に、消えていない可憐な清純さを知ったガストンは、マミタお祖母さんの所へジジを引っ張っていった。「ジジと結婚させてください」と(Movie Walker)。
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モーリス・シュヴァリエが狂言回してきな役を演じている。モーリス・シュヴァリエのユーモアセンス、貫録などがなかったら、普通のあまり盛り上がらない映画かもしれない。フランス出身の永遠の少女といわれたレスリー・キャロンがヒロインを演じた。
20世紀初頭のパリ・モードの再現が見どころ。ミュージカルとしては、ダンスなどがなく、あまりぱっとしない。MGM=ミュージカルといわれたが、下火になっていた時期でMGMの落ち目を強く意識してアカデミーの審査員たちは票を投じたともいわれている。
アカデミー賞を10部門も獲った割には、その恋模様などのストーリーは盛り上がりに欠ける。ただ、ジジは、おてんばで、オクてだが、やがて淑女に変貌していくところは「マイ・フェア・レディ」と共通していて、レスリー・キャロンの魅力が発揮されている。映画としては、過大評価されている作品の一つともいわれているようだ。
「恋の手ほどき」(原題:Gigi)
監督:ヴィンンセント・ミネリ
出演:
製作:アメリカ、1958年
MGM
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