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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「哀しみのトリスターナ」(1970)

 
 
哀しみのトリスターナ」(原題:Tristana、1970)を”遂に”見ることができた。
この映画が公開されたのは1971年1月下旬で、日比谷みゆき座だった。
 
なぜ覚えているかというと、この映画の前に公開された映画「Z」(1970)をみゆき座で2回続けてみた時に、予告編でかかっていたのが「哀しみのトリスターナ」だった。その主演女優の美貌が印象的で、その女優こそ最も輝いていたころのカトリーヌ・ドヌーブだった。こんな美人女優がいるのかと思った(笑)。
 
映画を見れば「カサブランカ」のイングリッド・バーグマンか「裏窓」のグレース・ケリーかと思うようなドヌーブだった。
 
Z」を見て感動の余韻がしばらく続き「哀しみのトリスターナ」を見る機会を逸してしまった。その後「哀しみのトリスターナ」はテレビでも放送されず、DVD化もされなかった。
 
この数十年間未見で気になっていた映画の一つだった。
ほかの未見作品ではフランソワ・トリュフォー監督の「大人は判ってくれない」(1959)「突然炎のごとく」(1962)など。数日前に偶然ビデオレンタル店で「哀しみのトリスターナ」を発見、見ることができた。ハリウッド映画は多いが、1960年~1970年代のヨーロッパ映画はなかなかおいていないようだ。
 
前置きはともかく、この映画は「昼顔」(1967)ルイス・ブニュエル監督作品。
「昼顔」は24歳のカトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎え、現実と幻想、妄想が入り交じるエロティシズムにあふれたブニュエルの異色作だった。2番館で1970年代初めごろに見ている。
 
「哀しみのトリスターナ」は、数奇な運命にもてあそばれて、多難な人生を歩む、薄幸の美女の愛と憎しみを描く。ブニュエル作品は、一筋縄ではいかないようだ。話を省略したり、つなぎ目が無かったり・・・。
 
ニート・ペレス・ガルドスの小説をブニュエルとジュリオ・アレジァントロが脚色、撮影はホセ・F・アグアーヨ、音楽はクロード・デュランが各々担当。
 
出演はカトリーヌ・ドヌーヴのほか、マカロニ・ウエスタンや「夜の刑事」のフランコ・ネロ、「ビリディアナや後に「フレンチ・コネクション」で存在感を見せたフェルナンド・レイ、その他ロラ・ガオス、アントニオ・カサスなど。
 
映画を見て驚いたが、舞台がスペインなので、フランス人女優のドヌーブも、イタリア人俳優のフランコ・ネロスペイン語を話しているがスペイン語の吹き替えのようだ。聞いていてやや違和感があった。
 
哀しみのトリスターナ」の見どころは、トリスターナが娘から「美しい女」へと変わっていく過程が描かれるところ。クライマックスが近づくにつれて、トリスターナは、屈折していくが、同時に傲慢で、冷酷でありながらも、美しい女へと変わってい
 
かつての熱心にピアノの勉強をする若い娘の面影も、貧しい画家と恋に落ちたときのかわいらしさも失っていき、何ものも寄せ付けない凛とした美しさだったそうした数奇な運命をたどったヒロインの物語である
 
 
・・・
舞台は1920年代のスペイン。
幼ない時に父を失い、16歳の時、母が死んだトリスターナ(カトリーヌ・ドヌーブ)は、母の知人ドン・ロペ(フェルナンド・レイ)に養女として引き取られた。
 
ドン・ロペは貴族であり、職業を持たず、先祖から伝わる土地や財産で食べていた。人間で一番幸福なのは働かない事だと彼は言う。しかし、1920年代終りのこの頃では、そういった生活は苦しいものだった。
 
邸にはサトゥルナ(ロラ・ガオス)という女中がて、トリスターナは、ロペの簡単な身のまわりをすれば良かった。或る日、サトゥルナの息子達と遊ぶうちに教会の鐘楼に登った彼女は、鐘をつかせて貰った。
 
その夜、トリスターナは無気味な夢を見る。鐘にぶら下がってカッと眼をひらいたドン・ロペの生首だった。彼女は、悲鳴をあげて目を覚ました。ロペが来て、気を落着かせるが・・・。

 

 
・・・
トリスターナは親子以上に歳の離れた貴族の養女となるが、貴族はトリスターナをやがて妻にするが、トリスターナは、貴族からますます気持ちが離れ憎しみを覚えていく。そんなときに若い画家と出会い・・・。その画家を演じているが、マカロニ・ウエスタンで名をはせたフランコ・ネロ。この映画では、好青年ぶりをみせている。
 
トリスターナは、病により右足を切断、不自由な身になるが、ドヌーブが杖や車いすで熱演していた。また、貴族に使える家政婦の息子はろうあ者で、コミュニケーションは手話で行い、ろうあ者の学校の模様や、そうした少年たちのサッカー風景なども描かれている。
 
外国映画では、人の名前がタイトルになることが多いが、原題の「トリスターナ」を「哀しみのトリスターナ」としたのはいい。
 
映画は、期待していたほどの内容でもなく、物語の起承転結も明確でないなど今一つ入り込めなかったのが残念。
 
★★
 
 
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