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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「赤い河」(1948、日本公開1952)ハワード・ホークス監督傑作西部劇。

 
 
ハードボイルド映画「脱出」(1944)や西部劇「リオ・ブラボー!」(1959)などで知られるハワード・ホークス監督の「赤い河」(原題:Red River、1948、日本公開1952)を見た。
 
ピーター・ボグダノヴィッチ監督の「ラスト・ショー」(原題:The Last Picture Show、
1972)に登場する、1950年代にテキサスで唯一の映画館で、消えゆく閉館の”最後の上映映画”(=Last Picture) が「赤い河」だった。40年越しにその「赤い河」を見ることになった。
 
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ハワード・ホークス監督は、「ヨーク軍曹」(1941)で、主演のゲーリー・クーパーアカデミー賞主演男優賞をもたらし、「脱出」(1944)では、ローレン・バコールを起用して、翌1945年にボガートと結婚したバコールは「三つ数えろ」(1946)やその後の作品で、ボガート&バコールのコンビは続いた。
 
ホークス監督とジョン・ウェインは、「リオ・ブラボー」(1959)「ハタリ!」(1962)「エル・ドラド」(1967)さらに遺作となった「リオ・ロボ」(1970)までコンビを組み、まさに
”クロサワとミフネ”のような関係に映る。
 
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「赤い河」は、南北戦争前後を舞台に、広大な牧場を持った開拓者とその養子が、新たな商機への道行きの中で様々な局面に遭遇し、衝突しながら苦難を乗り越えていく姿を描いた西部劇。ジョン・フォード監督の傑作西部劇「駅馬車」(1939)で人気の出たジョン・ウェインは、「赤い河」でさらにその名を高めることになった。

 

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映画の冒頭、「チザム交易路はテキサスの歴史の中に残っている。これは牛の大移動を成し遂げたダンスンとガースの”レッド・リバー・D”を巡る物語である」という説明がなされる。手紙の文面で記録が語られていくスタイルをとり、「テキサス初期の物語。1851年トーマス・ダンスンと友人のグルートは、カリフォルニアに向かっていた。幌馬車隊と共に3週間後、テキサスを通りかかった」といった具合で進行していく。
 
眼前に”レッド・リバー”があり、「レッド・リバーの向こう側はテキサスだ」といった言葉がある。牛には、その所有主を示す「烙印」が押されるが、その烙印は「D ll」と記された。2本の線は、レッド・リバーを意味し、「D」はダンスンの頭文字だ。映画の最後には、ダンスンの養子となったマシュー(愛称マット)・ガースの「M」の文字をとって「M ll」の烙印になるところでENDとなる。
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南部に広大な牧場を持つダンスン(ジョン・ウェイン)は、養子のマシュウ(モンゴメリー・クリフト)らと共に、東部へのビッグ・トレイルを敢行した。だが、道は険しく、ダンスンのいらだちは次第に募っていく。
 
やがて、レッド・リバー(赤い河)のほとりにさしかかったとき、牧童の三人が逃亡するという事件が起こった。厳しい処置をとろうとするダンスンに対して、マシュウは牧童の味方をし、ダンスンを脅してその場に置き去りにする。怒りに燃えたダンスンは、マシュウを殺すことを誓うのだが・・・。
 

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この映画のジョン・ウェイン演じるダンスンは、自己中心的で暴君のような性格で、とても共感できない。ダンスンのやり方に「間違っている」といえるのは、相棒のグルート(ウォルター・ブレナン)だけで、このブレナンが年の功で、自分勝手な人間をなだめるような場面で、味わいのある演技を見せている。
 
ダンスンにはついていけないと砂糖を持って逃げ出した仲間を銃で撃ってしまうというダンスン。逃げ出した人間は「縛り首」にすると息巻くダンスンに、我慢できなくなったマシューがついに、ダンスンとたもとを分ち、ダンスンから牛1万頭を引き取ってカンサスに向かってしまう。ダンスンは、仲間を集めて、マシューを追い、決着を付けようとするのだが・・・。
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1万頭もの大量の牛が、突進するシーンは圧巻。
西部劇というと、カウボーイが、牛を馬で囲いながら追っていくシーンが多いが、この映画は、迫力が違う。
 
映画の中でのセリフも面白いものがある。
■「銃より美しいのは(スイスの)時計と女だ
■(砂糖を持っていった男に対して)独り言のセリフだが、
  「甘党は、酒好きと女好きと同様にタチが悪い」(甘党だけど、何か?)。
■9,000頭もの牛を1頭21ドルで買い取る商人(ハリー・ケリー)のセリフ。
  「男は一生に月に向かって三回吠える。結婚したとき、子供が生まれたとき、
  仕事を成し遂げた時だ」。
 
傑作・本格西部劇の1本であることは間違いないだろう。
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