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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「砂糖菓子が壊れるとき」(1967)若尾文子主演。</span>



曽野綾子原作、今井正監督の「砂糖菓子が壊れるとき」(1967)を見た。
若尾文子主演の映画を見ようと、進路を”若尾”方向に向けたところ、タイトルが面白そうだったので予備知識なしで見たら、なんと主人公・千坂京子(若尾文子)は、マリリン・モンローがモデルだということを知った。

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映画の初めから、京子の歩く後ろ姿が、モンロー・ウォークを彷彿とさせたほか、役柄が肉体派女優だったし、睡眠薬自殺を図るなど、あたかもモンローの生き様のような描かれ方だった。

モンローが実人生で結婚歴のある野球選手、作家なども登場、映画賞に縁はなかったが劇中劇の新作映画「砂糖菓子が壊れるとき」では、「ナポリ映画祭」で最後の作品が主演女優賞を受賞したという、多少の味付けはある。そういえば、モンローが主演した「お熱いのがお好き」のモンローは、”シュガー”という名前だった!(笑)。



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千坂京子(若尾文子)は肉体派女優というレッテルのもとにスターの座を得た女だった。その派手な男性遍歴の経験からも、私生活と銀幕から与える京子のイメージは肉体派にふさわしいものと思われていた。

しかし、実際の京子は、初心で、幸せな結婚生活を求めるただの女であった。
京子はまだ女優にならない頃、自分のヌードを吾妻(根上淳)に撮らせていた。

その可憐な姿を見た映画プロダクションの工藤(志村喬)は、京子を主演に「櫛」を製作した。この映画が一躍京子をスターダムにのしあげたのだ。たちまちのうちに華やかな女優生活に足を踏み入れた京子は、活気のある毎日の中に何かもの足りない心のさびしさを覚えた。純で素朴な京子にとって、頼りになる男だけが欠けていた。

そうした京子が、この華美な世界で次々と男を求めていくのは、きわめて自然と言うことができた。監督の栗原、芸能記者の奥村(津川雅彦)、大学教授・天木(船越英二)などがその相手だった。

奥村は京子のヌード写真が公表され、芸能界のスキャンダルとして騒がれた時、失意の京子に近づき、慰めてくれたものの、京子の身体が目的であった。芸能界での唯一の友人として奥村を信頼していた京子には打撃であった。

また、教養を身につけようと聴講生として大学に通った京子が天木教授を知った時、彼女は自分に必要なのはこの人だと考えて喜んだが、天木に肉体を求められ、彼女は再び深い絶望に陥らねばならなかった。

こうして、真の人間としての男を求めている京子は、逆にその男性遍歴を一人の男に満足できないセックス女優として、芸能誌に書き立てられていった。そんなある日、ホームラン王の土岐(藤巻潤)を知った京子は、間もなく彼と結婚した。健康で明朗な土岐は彼女の、満されぬ心の空洞をうめてくれるはずだった。

彼女をよく知る友人で、付人の春江も、京子と土岐の結婚を喜んだ。
だが彼女の思惑とは異なり、二人の間には何の精神的な結びつきもなかった。

失意の京子は、春江と二人で八ケ岳山麓のホテルを訪れた。そこの透明な澄んだ空気を吸った彼女は生き返る心地がした。そんな時、京子はホテルで作家の五木(田村高廣)に会った。

五木は京子と話合った後、京子の過去を分析し、京子は一人で生きていかなければならないと教えた。それ以来、五木は京子の支えになった。しかしある日、付き人の春江(原知佐子)が電話で、京子のナポリ賞受賞を知って、京子の寝室に行くと、京子は受話器を手にしたまま死んでいた。京子が最後に電話をしようとした相手が果して誰なのか誰にも分らなかった(MovieWalker)。

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映画はオープニングから、インパクトがある。
女優の京子(若尾文子)が、撮影のため、ミンクのコートを着て撮影現場を訪れるのだが、付き人の女性が、衣類は「こちらに脱いで」というと、「(コートの)下にはなにも着ていないわ」と、コートを脱ぐと全裸で、撮影に臨むのだ。

京子が、映画で脱いで体当たりの演技をしているのは、その背景には、病気の母親にギャラの一部を仕送りしていたのだった。

京子の元に台本が来た時に、キスシーンの相手役が気に入らないから「別の人にしてほしい」とわがままを言ったり、道を歩いていて、ファンに取り囲まれサインを頼まれた時に、ふと耳にした言葉「カラダはいいけど、ちとアタマの足りん役ばかりだよな」という声が耳から離れないのだ。

京子は、知性や知識の面でコンプレックスがあったようで、友人の芸能記者・奥村(津川雅彦)が結婚するというと、「(相手は)学問のある人?」と聞くのだ。奥村は、京子に遠慮して語ったのかわからないが「右を向けといえば、3年も右を向いているような人だよ」と返していた。

京子は、映画の新人賞を取れると期待したが、選考委員会のベテランらしき女性の委員が「演技もなくストリッパーと同じ」で、取れなかったのだ。

モンローと結婚した野球選手のジョーディマジオを彷彿とさせるホームラン王の土岐(藤巻潤)は、直情的で、妻がスクリーンでとは言え「裸を売りものにしている」のに腹が立ち「(妻を)布でくるんで箱に入れて鍵をかけて」鍵を胸にしまい込みたいなどと子供じみたことを言う。その挙句、「女優か妻か」の選択を迫り、離婚した。

付き人の女性が映画「砂糖菓子が壊れるとき」で、ナポリ映画祭の主演女優賞を京子が受賞したという電話を受け、それを伝えに行くが、京子は睡眠薬の飲み過ぎで亡くなっていた。奥村(津川雅彦)は「自殺か事故死か、睡眠薬の飲みすぎか。(京子が受話器を握っていたので)どこへ(電話を)かけるつもりだったのか」というと、春江は「天国かもね」とつぶやくのだった。

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若尾文子は、お色気ムンムン(当時33歳)で、絶頂期だったかもしれない。
芸能プロ社長役で志村喬も出演。死ぬ間際に、京子にプロポーズするのだが・・・。

1960年代の邦画も面白い。

☆☆☆



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