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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「ありふれた事件」(1992、ベルギー)</span>



ありふれた事件」(1992、ベルギー、日本公開1994)を見た。
この映画のポスターを見たら、サスペンスのカテゴリーで、もしかしたらヒッチコック的な殺人事件をめぐるストーリーの面白さがあるだろうと期待して見たのだが・・・。

その期待は、180度裏切られた。
決して”ありふれた”事件を扱っていなかった。

ネットの映画解説allcinemaの言葉を引用すれば「モラル無き狂気の犯罪者の姿を、ドキュメタリー映画の撮影隊が追うスタイルを取った、ベルギー発の異色のバイオレンス・モキュメンタリー」ということになる。モキュメンタリーとは、映画やテレビ番組のジャンルの1つで、架空の人物や団体、虚構の事件や出来事に基づいて作られるドキュメンタリー風表現手法である。

モキュメンタリーは「モック」と「ドキュメンタリー」の合成語であり、「モックメンタリー」「モック・ドキュメンタリー」ともいう。また「フェイク・ドキュメンタリー」と呼ばれる場合もある。

この映画は、無名の3人の若者が自分たちで製作会社を設立し、全ての製作工程を分担・協力(出演も兼ねる)して作り上げているというものだ。相当、見るに堪えないシーンも出てくる。


映画の導入部、列車の通路にひとりの男が立っていた。
そこを通り過ぎようとする一人の中年女性。

次の瞬間、男は後ろから、ひもで女の首を締め、横の客室(コンパートメント)に引きずり込み、息が絶えるまで、ひもできつく締めつける残忍さ。

いきなりのあっけにとられるシーンで始まるが、この男が、普段は、家族や周りの人達と、普通に会話している姿が映し出される。そして、また容赦ない殺人が行われるシーンと交互に描かれていく。見ている側は混乱する。ジキルとハイドなのか。

この映画は、こうした鮮烈な描写により数々の映画祭でセンセーションを呼び、そのリアリティから“本物の殺人現場を撮ったのではないか”とまで言われたという。そのあまりにも平然と殺人を犯し、強盗を行うシーンの多さから、途中で、映画を見るのをやめた人も多いようだ。嫌悪感を抱かせる映画であり、見るには覚悟が必要かも。

・・・
金と快楽のために平然と人を殺し、物を盗み、女を犯すベン。
そんなベンの生き様をドキュメタリーにしようと3人の映画クルーが密着して撮影を続けていく。

強盗を生業とする主人公のベン・ブノワは、カネを貯めていそうな老人や、カネの匂いのする家にあたりをつけて強盗をはたらく殺人鬼。独自の理屈で犯罪を犯罪とも思わず、詩を吟じたりする。

月初めには年金目当てに郵便局員を襲い、血にまみれた手で死体処理の方法を語り、詩をよむ。年金手帳から住所を割り出し、強盗殺人を繰り返す。

強盗殺人犯であるベンの様子をフィルムに収めて映画の完成に漕ぎつけようとする3人のクルーは、。ベンの、こうした「ありふれた事件」に触れ、次第にその感覚を麻痺させていく。


      (C)1992 Belvaux-Bonzel-Poelvoorde for Les Artistes Anonymes
 

簡単に”仕事”として人を殺してしまうベン(構えはハリー・キャラハン?)

過去5年間で、数十人を殺すほどの殺人鬼。
お金を持っていそうな高齢者がターゲットだが、中には、「金持ちでないガキも2-3人いた」(本人の弁)という。

殺人鬼のベンだが、映画好きのようで「ロベール・オッセンは、役者としても監督としてもすごかった」と言ったりする。また「フィリップ・ノワレの”追想”はよかった」と言うセリフも。ロベール・オッセンといえば古くは「戦士の休息」「個人教授」や「愛と哀しみのボレロ」などで知られるフランスの俳優。



・・・
死体を次々と、重しをつけて崖から放り投げるシーンが多く、平穏な風景と残虐なシーンとの対比を際立たせている。

殺人鬼は、当然のことながら、最後には報いを受けることになるのだが・・・。
映画はモノクロ。96分。R15指定。昨年、公開20年を経て、デジタル・リマスター化されたDVDが発売された。

★★ (お薦めしません)


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