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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「レベッカ」(1940、日本公開1951)

 
 アルフレッド・ヒッチコック監督のアメリカ進出第一作映画「レベッカ」(1940)を再見した。ダフネ・デュ・モーリアの「レベッカ」を原作とした、英国で活躍していたヒッチコックの渡米第一作は、いきなりアカデミー賞最優秀作品賞撮影賞(黒白部門)を獲得した。
 

1970年代初めにテレビで放送されたのを見て以来となり、内容はおぼろげだったが、今回見て、思い込みがあったことに気づいた。
 
シェークスピア俳優として有名なローレンス・オリビエと美人女優のジョーン・フォンテーンが主演で、ジョーンが美貌と知性を備えたレベッカという女性を演じていたのかと勘違いしたが、全
く違っていた。
 
なにしろ映画にはレベッカは一度も登場しない! この映画の主人公の女性”わたし”が、夫の先妻・レベッカの影と戦う姿が描かれている。
 
 こんな話:
英国コーンウォル海岸近くにマンダレイという荘園を持ったマキシム・ド・ウインター(ローレンス・オリヴィエ)はモンテカルロで知り合った娘”わたし”(ジョーン・フォンテーン)と結婚して帰邸した。
 
マキシムは美しい先妻レベッカを失って、2度目の結婚だった。城のような豪邸の家政婦のダンバース夫人(ダニー)(ジュディス・アンダーソン)は、レベッカを熱愛、”わたし”を成上りの闖入者のように扱い、レベッカの居間は生前のままに保存。レベッカの高価な衣装などを”わたし”に見せ、レベッカと”わたし”では比べ物にならない、という底意地の悪さを見せていた
 

レベッカの死後も、まるでレベッカが家を支配しているようだった。
恒例の仮装舞踏会のとき、ダンバース夫人のすすめで、”わたし”は廊下にかけられた美しい画像の婦人と同じ衣裳をつけたが、それがひどくマキシムを驚かし心を傷つけたようであった。
 
画像の女性はレベッカだった。”わたし”は、夫の心をまだレベッカが支配しているように感じ絶望するが・・・。また、住所録、ハンカチ、刺繍などに「R」(レベッカの頭文字)の文字があった。これらは全てダンバース夫人が縫い付けたものだった。
 

豪邸には、ダンバースのほか、使用人が何人もいたが、全てが、一年前に亡くなったレベッカと”わたし”を比較しているようだった。
 
マキシムの姉ベアトリス夫妻も訪ねてきたが、ベアトリスの夫は”わたし”に「乗馬は? ダンスは? ルンバは?」と聞くが、「すべてたしなんだことがない」と答えるしかない”わたし”。マキシムが助け舟を出して「絵画をすこし」と付け加える。
 
ダンバース夫人は、事あるごとに、”わたし”に嫌味を言ってきた。
マンダレーを去りなさい」「あなたはここではお呼びでない」「(あなたは)生きる値打ちもない」などと。
 
”わたし”は、レベッカの関係した手紙類を発見、その破棄を思い立ち、ダンバース夫人を呼びつけて言った。
 
「全ての手紙を処分してください」。
するとダンバース夫人は「これは、奥様レベッカ)のものです」と言ってきた。
 
「(いまは)私奥様です」。
これは気丈で、反撃に出た瞬間ですっきりした。
 
・・・
レベッカは、教養・知性があり、美しかったと口々に語られるのだが、やがてその本性がマキシムの口から暴かれる。実はレベッカと結婚して4日後には、レベッカの本性が分かり、悪魔のような性格だったが、世間体のために「良き妻・よき夫」を演じていくことを約束したのだった。マキシムはレベッカに魂を奪われていたのではなく、憎んでいたのであり、亡霊が離れなかったのだった!
 
・・・
マキシムは、新しい妻”わたし”にレベッカが淫蕩的な女性であり、彼を苦しめ、死の日、レベッカにののしられたマキシムが遂に彼女を追いつめた結果、レベッカが倒れて頭を打って死んだこと、それを彼はヨットに運んで沈めた事実を打ち明けた。
 
一方、レベッカが死の当日訪ねた婦人科医師はレベッカが不治の癌に犯されていたことをつげ自殺の原因を証明した。レベッカは自殺を決意して、夫のマキシムに自分を殺させようとしたのだった。

 
このレベッカの深いたくらみは、マキシム夫妻が知るのみであった。いよいよレベッカから解放された二人がマンダレイへ帰り着いたとき、邸宅はダンバース夫人と共に焼けおちてしまっていた。
 
・・・
ヒッチコック作品でも、まだサスペンス的な要素は薄い印象だった。
ただ白黒の画面は印象的だった。

 
豪邸の使用人の中心的な人物・ダンバース夫人を演じたジュディス・アンダーソンが恐ろしい程の存在感がある。感情を表に出さず、能面のようだが、裏では、仕える主人のいとこと密会していた。それを見られたことから、男に目で合図するところなど、怖さをにじませる演技にはうなる。
 
ジョーン・フォンテーンはこの映画でブレイクする人気女優となった。
ヒッチコックは女優を売り出すのがうまい。
 
かつての名作も、20歳頃見たのではわからないことも、今見直すと新たな新鮮さを感じたり、わかりやすかったりすることが多い。社会経験もない学生で見ても、見たというだけで、その当時は納得したかどうか。年齢によって理解度も違うので、見直すことも必要のようだ。
 
 
☆☆☆
 
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