「シチリア !シチリア!」は、名作「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督による人生賛歌の映画だ。「ニュー・シネ・パラ」の時に監督はまだ32歳の若さだった。最新作に最近公開された「鑑定士と顔のない依頼人」 (2013)がある。「シチリア!シチリア!」は角川映画配給で、2010年12月に東京は角川シネマなど単館系で上映された。
日本の戦後と同様、イタリアの貧しい生活風景などが描かれるが、少年から大人へと成長していく主人公の視点を通して、家族の愛や絆、社会の変化や政治などをを見つめる。上映される映画はサイレントで、弁士が語る。
チーズ3個のために、子供が仕事に駆り出され、食べるのが精いっぱいという状況。
敗戦でアメリカ兵がやってくるなど日本の戦後とよく似ているようだ。
子供たちの遊びと言えば「駒」回しで、大人たちはカード(トランプ)に興じる。
子供が映像フィルムの切れ端(映画のシーン)を見て、次々にタイトルを語っていくところに、監督の映画への思い入れが入っているようだ。1940年代とみられる古い映画から、1960年代の「シシリーの黒い霧」や「続・夕陽のガンマン」まで、映画ファンなら知っているタイトルが次々に登場する。
トルナトーレ監督自身の半生を投影させた物語と言われ、名匠エンニオ・モリコーネのドラマチックな音楽が彩りを添えている。
戦中・戦後から現代までのシチリアの背景セットが壮観だった。
主人公の妻が5人の子を産むが、ソフィア・ローレンの「昨日今日明日」のような雰囲気もある。2時間20分とやや長い印象。激動のイタリアの戦後の数十年を描いている。大きな岩が三つあり、石を投げて、その石が2メートル間隔で並ぶ岩のすべてに当たると「宝」が見つかるヒントがわかるというのが、物語の最後のオチになっている。子供のころ挑戦した主人公が歳を取ってもう一度チャレンジすると結果は・・・。
「ニュー・シネマ・パラダイス」ほどの感動がないのが残念。
監督作品:
「教授と呼ばれた男」 Il camorrista (1986) 監督・脚本・原案
「ニュー・シネマ・パラダイス」 Nuovo cinema paradiso (1989) 監督・脚本・原案
「みんな元気」 Stanno tutti bene (1990) 監督・脚本・原案
「夜ごとの夢/イタリア幻想譚」 La domenica specialmente (1991) オムニバス映画、 監督
「記憶の扉」 Una pura formalita (1994) 監督・脚本・原案
「明日を夢見て」 L'uomo delle stelle (1995) 監督・脚本・原案
「海の上のピアニスト」 La leggenda del pianista sull'oceano (1999) 監督・脚本
「マレーナ」 Malena (2000) 監督・脚本・原案
「題名のない子守唄」 La Sconosciuta (2006) 監督・脚本・原案
「マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶」Marcello, una vita dolce (2006) ドキュメンタリー映画、出演
「L'ultimo gattopardo: Ritratto di Goffredo Lombardo」 (2010) ドキュメンタリー映画、監督・脚本
「鑑定士と顔のない依頼人」 La migliore offerta (2013) 監督・脚本
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