
「アガサ・クリスティ 華麗なるアリバイ」(原題:
Le Grand Alibi、仏、2008、日本公開2010)を見た。
アガサ・クリスティ生誕120年と銘打たれた作品。
とはいえ、いつも登場するはずのポワロ探偵は登場せず、ミステリーの常套手段のアリバイ崩しというのもテーマになっていない。
8人の容疑者
登場人物が9人、オープニングから登場し、名前と関係性をアタマに入れるのに一苦労。
・・・
ミステリーの女王、アガサ・クリスティの名前と、タイトルの「華麗なるアリバイ」に惹かれてみたが、ミステリーとしては肩透かしの空振り三振。殺人の背景にある複雑な人間関係のドラマ仕立てとなっているのが救いで、評価をいくつか見ると、原作を台無しというのが多いようだ。
・・・
フランスの片田舎にある、プール付きの豪邸。
大邸宅の主である上院議員のアンリ・パジェス(ピエール・アルディティ)とその妻エリアーヌ(ミュウ=ミュウ)が週末のパーティに親しい友人7人を集めたのだった。
パーティには、何人もの女性と関係を持つ精神分析医のピエール(アンリ・パジェス)と、その妻クレール(アンヌ・コンシニ)が招待されていた。そこにピエールの現在の愛人や過去の火遊びの相手、復縁を迫る元恋人らが加わり、パーティの場は独特の緊張感が走る。
翌日、一発の銃声が。プールサイドには撃たれて血を流すピエールと放心状態のクレールの姿があった・・・。
名探偵ポアロを排除した舞台版がベースとなっている。本作は、クリスティーの原作の中でも、推理小説というより一般小説に近いものと言われているようだ。ゴージャスな雰囲気の中、上流階級の男女が起こす愛憎うずまく殺人事件は、フランス映画らしくユーモア交じりのゲームのよう。
暇を持て余して、きまぐれ心を起こした邸宅の主の議員夫人の思いつきから、ピエールを取り巻く複数の女たちが一堂に会してしまう。「あの人も来るの?」「この人も?」と集まるゲストたち。その結果が、二つの殺人である。
屋根に上ってのアクションシーンは、ややスリリングだったが、一瞬で迫力はない。記憶に障害を抱える老婦人(エマニュエル・リヴァ!)の、すべてを達観したたたずまいが、事件を俯瞰する神の目のように見えるのが印象的である。
・・・
二時間ものの日本のサスペンス・ドラマのほうが面白いという酷評まであった(笑)。
★★
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:クリックお願いします♪。