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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「その夜の侍」(2012)</span>


映画「その夜の侍」予告編
 

 
 
昨年公開の日本映画で、キネマ旬報選出ベスト10に入っていた1本の「その夜の侍」を見た。あと残り1本「終(つい)の信託」を見れば、10本は「鑑賞(完勝)」したことになる。
 
その夜の侍」はテーマも登場人物もまるで感情移入できるものではなく、いらだちと嫌悪感を抱かせるが、出演している堺雅人山田孝之谷村美月安藤サクラなどの個性的役者を見るだけで価値がある一本だった。
 
タイトルの「侍」の意味が、よくわからない(笑)。
「目には目を」でなく、復讐も成し遂げることなく、殺し合いはせずに、侍のように、潔い・・・ということ?
 

 
平凡な鉄工所の工員・中村健一(堺雅人)は、妻が自動車に轢かれ死ぬが、ひき逃げ犯・木島宏(山田孝之) への復讐の機会を待っていた。犯人宛に、「お前を殺して、俺も死ぬ」という文面を、毎日送りつけていた。妻が殺された日のちょうど5年後に、「復讐」を決行する日がやってきたが・・・。
 

 
健一が台所に立っていると、電話で、「出ないの、プリンを隠れて食べているでしょ。
今夜はコロッケにするから」と妻の留守番電話の声。この声は、5年前に録音されたものであることがわかる。電話に出ないわけだ。相変わらず、コンビニのプリンを食べ続けている健一。
 
一方、木島は、自堕落な生活をしており、ひき逃げをしても反省のかけらもなく、その場を逃走するような、救いようのない最低人間。タレこみがあって2年間の服役。そんな男に、その怖さから子分のように従う男たち。
 
山田孝之の最近の映画は「シーサイド・モーテル」「闇金ウシジマくん」のように、怖~いお兄さん役が多い。こういうやけっぱちの役柄が特にぴったりのようだ。たまに「指輪をはめたい」のようなまともな?人間の役もある。
 

警備員役の谷村美月は「阪急電車 片道15分の奇跡」などで存在感のある女優だなと思っていたが、若手では有望な演技派女優の一人だろう。
 
「その夜の侍」では、ひょんなことから、木島と接点を持つようになり、孤独に暮らしてきたからか、ヒト(他人)が、そばにいること自体に、平凡な喜びを感じる。
 
最低の人間と思いつつも犯人の木島とつるんでいる一人が、星(田口トモロヲ)。
 
この星という男も、木島の犯行を密告したと思われ、体中に灯油をかけられ半殺しの目にあうが、離れずにいるところが変わっている。田口は、映画では、チョイ役かわき役が多いが、NHKの番組「プロジェクトX」のナレーションを担当していた時の声が印象深かった。
 
綾野剛は現在テレビドラマ「空飛ぶ広報室」で主演を務めるが、「その夜の侍」では、金髪で、木島の相棒のような役割で、実は木島が自動車で人をはねたときに同乗していたのだが、救急車を呼ぼうとしたところ木島から静止され、片棒を担ぐことになった。木島の犯行を言いふらしたのは自分だったと後で告白したが・・・。
 
ホテトル嬢を演じている安藤サクラは、ビキニ姿で登場、ナイスバディを披露するとともに、カラオケソングでマイクを持って「三日月」を歌う。歌手顔負けのうまさ。出番は少なかったが、この映画と「愛と誠」の演技で、キネマ旬報日本アカデミー賞で、助演女優賞と「かぞくのくに」で主演女優賞と、昨年は当たり年となった。
 
でんでん坂井真紀新井浩文(「闇金ウシジマくん」)なども出演している。
 
最後のいざ、宿敵と「対決」といったシーンは、雨の中、泥まみれで戦うシーンは、西部劇か何かを見ているようで、カメラも、転がる人間を舐めるように映し出し、見どころだった。
 
映画としては、中途半端なエンディングで、いまいち納得のいく展開ではなかったのが残念。
 
 
★★
 
 
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