「アウトレイジ」 予告編
「アウトレイジ（Outrage)」とは、極悪非道の意味。
この映画には、いわゆるいい人・善人は、一切登場しない。
警察官までもが、ヤクザ組織とつるんでいる。
次から次に、やくざの組員が殺されたり、指を詰めさせられたりのバイオレンス・シーンがつづく。
以前「アウトレイジ」の予告編を見たときに、「バカ野郎」「コノヤロウ」のヤクザ同士の罵り合い、罵倒言葉が真に迫っていて、興味があったが、ようやく見ることができた。北野武監督作品のヤクザ映画の真骨頂かもしれない。
ヤクザ同士の熾烈な権力闘争を描いた北野武監督の第15作目の作品。
関東最大の暴力団山王会の若頭・加藤（三浦友和）は直参の池元組組長・池元（椎名桔平）に、池元と付き合いのある村瀬組を締めるよう苦言を呈する。そこで池元は配下の大友組組長・大友（北野武）に、その役目を任せるが・・・。
ヤクザも、喧嘩だけでなく、マイナーな大使館を巻き込んで、恐喝して裏で「カジノ」経営をさせたりするため、インテリ・ヤクザ然としたネイティブ英語を話す石原（加瀬亮）のほか、いかにもヤクザのような風采の國村隼、石橋蓮司、警察官の小日向文世、山王会・会長の北村総一朗などの豪華キャストが集結している。
ひ弱そうな警察官（小日向文世）だが、大友からは「弱くても、ヤクザにたかれるんだからいいよな、警察官は」という痛烈な皮肉も言われる。ヤクザから、賄賂をもらっている警察官だが、自身が出世しても、”後任”を紹介し、挨拶に行くと、その後任者にも、早速「賄賂」が渡される。「俺にはないのか？」という前任者に「バカ言うな」という大友。「今の時代、金よりも出世だ」とうそぶく警官。
ラーメン屋で、ラーメン屋の主人が調理しているところへ、ヤクザが入ってきて、
「クスリ」の売買をやっていることを知られ、「どの組から言われているのか」を詰問され、指を切られるのだが、切られた指の破片がラーメンのどんぶりに、添え物のように飛び散っていったり、暴力シーンが多い。
サウナでは、ヤクザ全員が刺青。
大友（北野武）は、無表情で、全員を銃で撃ち、殺してしまう。
山王会の若頭・加藤を演じる三浦友和は、会の
No.2の若頭でありながら、会長からは、「頼りない」といつも叱責されている。そういうモヤモヤが、最後には爆発するのだが・・・。
タケシ監督の渾身のヤクザ映画だった。
シリーズ「２」の続編も見なくては・・・。
映画の撮影は、ほとんど撮り直しなしだったのだとか。
北野監督も、演技にそれほど、指示を出さないのだとか。
椎名桔平がこの映画では、凄みがあってい。椎名が困ったというのは、刺青に6時間かかり、そのあとで、女とのベッドシーンがあったのだが、監督は「普通にやれ」という一言だけだったとか。「普通」と言われても、と。
とにかく、簡単にヤクザの親分が殺される。
ついには、総元締の山王会・会長までも・・・。
スーツで、黒塗りの車というイメージが強いヤクザ社会だが、その中での上下関係の厳しさ。登場人物が、本物に見えてきた（笑）。
映画の最初の方に出てくる暴力バーのシーン。
普通のサラリーマン風の男が飲んで、精算して帰ろうとすると、請求書が「60万円」！ キャッシュでは払えない、というと、怖いお兄さんが出てきて、「カードがあるだろ」。会社が近くだから、一緒に取りに来てというサラリーマン風の男。会社に事前に電話をしておき、「ボッタくりヤクザバーに入ったようだ。100万円用意しておいてくれる」と携帯で電話。そこに、バーの若造と会社に戻ると、そこは、ヤクザ組織の拠点だった！
バーのほうのヤクザ組織では、とんでもない組織の人間に関わってしまったと、「落とし前」として、若造の指を詰めさせたり、「倍返しの２００万円」を持って、謝罪に行くのだが・・・。抗争はさらにエスカレートしていく。
大きな声では言えないが、大昔、２０代後半の頃、”ぼったくりバー”の被害にあった経験があるので、そういった怪しい雰囲気のバーなどは２度と近づかないことにしている（笑）。もっとも、酒はビール1、２杯くらいしか飲まないので問題はないが。
映画のタイトルは「OUTRAGE」だけで、ほかの出演俳優のクレジットも、日本と英語が併記。海外の観客を意識した映画。欧州では、特に北野監督は人気があるという。この映画は、俳優も、名脇役が多く、見ごたえがある。
☆☆☆
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加してます：クリック♪。
