「修羅雪姫」(しゅらゆきひめ)は、1973年公開の明治時代の日本を舞台にした異色の時代劇。監督は、1970年当時、話題作を連発していた藤田敏八(「八月の濡れた砂」「赤ちょうちん」「スローなブギにしてくれ」ほか)。
「キル・ビル」を先に見ていたので「修羅雪姫」を見たところ、物語が復讐劇であること、主人公が女性であること、殺陣など「キル・ビル」は、まるで「修羅雪姫」をリメイクしたのではと思えるほど似通っている。「キル・ビル 2」では、映画のエンディングで、梶芽衣子の「修羅雪姫」の”恨み節”の曲が流れている。これを劇場で聞いたときは、椅子から落ちそうになった(爆)。
自分の亡き後も、復讐を遂げてもらうために子供がほしかったのだった。
やがて獄中で身篭り、まわりの囚人仲間に、産まれた女の子「雪」に事情を伝えるように言い残して死んでしまう。
原作では、仇の一人、北浜おこのに対する仕打ちは破産に追い込むだけだったが、映画では既に首を吊って息絶えているおこのを、雪が一太刀で真っ二つに切断するという仕打ちが壮絶だった。翌1974年には続編「修羅雪姫 怨み恋歌」が製作された。「修羅雪姫」というタイトルは、この中に出てくる作家(黒沢年男)が、実は雪が探していた仇の息子であり、雪の姿を物語にして発表した記事の見出しだった。
明治の時代背景として、上流階級の仮面舞踏会のシーンもあり、西洋スタイルの”文明開化”のシーンも出てくる。
映画は、刀で切った時に、水道管が破裂したような真っ赤な血しぶきの飛ぶさまは、気の弱い人は、目をそむけてしまうほどだろう。タランティーノ監督は、「キル・ビル」でそのあたりは、同じように描写していて、バイオレンス作品となっている。
誰にでもお勧めという映画ではない。
怖いもの見たさのひとは、「覚悟を持って」ご覧ください(笑)。
藤田敏八(ふじた・としや)監督作品:
愛の渇き(1967年)脚本
非行少年 陽の出の叫び(1967年)監督・脚本
にっぽん零年(1969年)演出・構成
非行少年 若者の砦(1970年)監督・脚本
野良猫ロック ワイルド・ジャンボ(1970年)監督・脚本
新宿アウトロー ぶっ飛ばせ(1970年)監督・脚本
野良猫ロック 暴走集団'71(1971年)監督
八月の濡れた砂(1971年)監督・脚本 ☆☆☆☆
八月はエロスの匂い(1972年)監督・脚本 ☆☆☆
エロスの誘惑(1972年)監督 ★★
赤い鳥逃げた?(1973年)監督・脚本
エロスは甘き香り(1973年)監督 ★★
戦争を知らない子供たち(1973年)脚本
修羅雪姫(1973年)監督 ★★
赤ちょうちん(1974年)監督 ☆☆☆
修羅雪姫 怨み恋歌(1974年)監督
妹(1974年)監督 ☆☆☆
バージンブルース(1974年)監督 ★★
炎の肖像(1974年)監督
裸足のブルージン(1975年)監督・脚本
横須賀男狩り 少女・悦楽(1977年)監督・脚本
実録不良少女 姦(1977年)監督
危険な関係(1978年)監督
帰らざる日々(1978年)監督・脚本
もっとしなやかに もっとしたたかに(1979年)監督
ホワイト・ラブ(1979年) 脚本
十八歳、海へ(1979年)監督
天使を誘惑(1979年)監督・脚本
スローなブギにしてくれ(1981年)監督 ☆☆☆☆
ダイアモンドは傷つかない(1982年)監督 ★★
ダブルベッド(1983年)監督
波光きらめく果て(1986年)監督
リボルバー(1988年)監督
★★